東鳩ラン#6:『Chasing dogs』(Side A) 投稿者:水方
== はじめに ==============================================================
 この話はTRPG『シャドウラン』(米FASA/富士見書房)の世界観を使用し
ています。『シャドウラン』を知っている方には『にやり』とするように作っていく
つもりですが、知らなくても、ちゃんと楽しめる……ようでしたら、作者はうれしく
思います。
 当然ですが、文中にある固有名詞や人名などは全て架空であり、実在の名称その他
同一のものがあったとしても何ら関係ない事をお断りしておきます。
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◆アバンタイトル

 小型トラックは、カーナビの示すとおりに北東に向かった。
「まっさか、綾香から呼び出しがかかるとはね〜」
 ハンドルを握る好恵は、そう言って背筋をそらせた。
「それも最優先コールよ。びっくりしたわ」
「私も、迎えに来て下さったのが、坂下せんぱいだとは思いませんでした」
 助手席にちょこなんと収まっている葵が、あらためて好恵のほうをのぞき込む。
「あ、おかげで、せんぱいとこうやってお話しすることができましたし……久しぶり
に見ることができました」
「はん?」
 葵への視線をふさいでいたキャップのつばを、心持ち持ちあげた。
「凄かったです……せんぱいの蹴り」
「ありがと」
 目の前の信号が黄色になったので、好恵はアクセルをゆるめ、トラックはそのまま
停止線に滑り込んだ。
「これだけ世界が変わっても、世間はあんまり変わってない所があってね……」
 ハンドルにもたれながら、好恵は横を向いた。
「『女だてらに』なんてほざく奴に、手当たり次第ぶちかました結果さ」
「ちゃんとトレーニングされているんでしょう?」
「ん……」
 言いつつ、好恵の意識は過去へと飛んだ。


 葵や綾香とは違い、自分は《覚醒》による洗礼は受けなかった。
 いかに技量を突き詰めても、向こうは天性のバックアップがある。一時期はそれが
悔しく、空手の世界からも足を洗い、二人とは距離を置いて生きていこうとまで考え
ていた。
 そして、ある時から、葵は姿を見せなくなった。
 それが好恵には、妙に納得が行かなかった。
 それから今、目の前にするまで約6年間。
 葵はどう生きてきたのだろうか。
 話す姿こそ、6年前とそのまま、既視感すら覚える拳の上のライバル。でも、その
裏には、自分とは明確に違う世界が、状況が垣間見得ている。
 葵と会えることがあったのなら、その時はまた拳を交わしたい。
 ひとは、拳を交わせばわかりあえる。
 好恵は、そう信じていたから、フリードライバーとなった今も、なお格闘への研鑽
を怠らなかった


「……まぁね」
 返事をしたその時、信号が青に変わった。
 間髪を入れず、滑らかにトラックを進ませる。

 正面を向く好恵の顔は、心なしかほころんでいた。

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            "TO HEART" in 2057: Track #7
               『東鳩ラン#6』
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第六話 Chasing dogs (Side A)

★04:03 p.m.
「……と、いうわけさ」
 運転席で二人が言葉を交わしているころ、薄暗いコンテナの中で、浩之があかりに
状況を説明していた。
 普通ならば想い人同士がすぐ近くにいる薄暗がりというものは、何がしかのロマン
を感じさせるものなのだが、大量の同人誌を詰めた段ボールと、自家製の光ディスク
を目一杯収めたホルダーが、独特の匂いとともに周りをびっしりと取り囲んでおり、
かてて加えて二人の側に、厳格を持ってなる地上最強の執事が悠然と腰を下ろしてい
るのでは、ロマンもへったくれもありゃしない。
「わかったよ浩之ちゃん。つまり、そのいなくなった『おやっさん』……新田さん、
だっけ、その人を探すんだね」
「そういうことです」
 今まで口を閉ざしていたセバスチャンが、ゆっくりと同意した。
「既に、志保のヤツが『おやっさん』の髪の毛を確保している。この間のクバンのと
きと同じように、居場所をつき止めて欲しい」
 浩之はそう言って、あかりの手を取った。
「と、その志保から髪の毛受け取るのが先か」
 そう言っても、あかりの視線は定まっていない。
「……どうした?」
「そんなに……そんなに簡単に行くわけじゃないのよ」
「儀式魔術でしたら、芹香お嬢様の残された物品が、これから行く『シックス』に持
ち込んであります。それを使われればよろしいかと……」
 セバスチャンの申し出にも、あかりはふるふると首を振る。
 その姿が海の向こうにいる芹香をふと連想させ、セバスチャンは言葉を飲んだ。
「送呪用の素材はともかく、儀式には巫術小屋がいるの。今から場所を選んで、私専
用の巫術小屋を作り上げるのに、時間がかかっちゃう」
「おまえ専用の……『巫術小屋』だっけ。それでないとだめなのか?」
「浩之ちゃん、私はシャーマンだよ?」
「あ……!」
 言われて、浩之は思い出した。

 《覚醒》で魔法の力を行使できる者は、二種類ある。
 ネイティブアメリカンたちを始めとする祖霊崇拝に端を発し、トーテムと呼ばれる
生き方の規範から魔力を授かるシャーマンがひとつ。
 そして中世の錬金術さながらに魔法を学問としてとらえ、緻密な式や技術の積み重
ねで魔法を組み立てていくメイジがもうひとつである。
 シャーマンとメイジ、同じ呪文を扱いながらも、使役する精霊や魔法への姿勢が著
しく違うこの二者に対し、お互い仲が悪いというのが2050年代の常識だった。何せ、
トリデオの人気番組でも定番のギャグになっているくらいである。
 浩之を通じ、元々の付き合いもあるから、あからさまに避けることはないが、それ
でもあかりは芹香とはそれなりに距離を置いていた。
 無論、芹香のほうから話しかけられば普通に応じたであろうが、そもそも芹香は浩
之以外まともに話したことがあったであろうか?

「そっかぁ……かといって、今さらあかりのトコに戻るわけにもいかねぇしなぁ」
「ふむ、困ったことになりましたな」
 セバスチャンも腕を組んだまま、顔をしかめる。
「綾香お嬢様のお話しでは、『シックス』で儀式を行ってもらうことになっていたの
ですが」
「ま、仕方ないって」
 先ほど、魔力を行使できるものは二種類あると述べたが、実は第三の勢力がある。
 葵や綾香、そしてこのセバスチャンのように、魔力が己が肉体の鍛錬にのみ役立て
ているフィジカル・アデプトたちである。
 彼らは呪文を唱えたり精霊を召喚したりと言うのができない代わりに、他の手段で
はおぼつかぬような技を駆使できたりする。
 自分とは違う領域のことなど、ポンポン知っている方がおかしいと言えた。
「どうする?」
 浩之の顔を、潤んだ瞳であかりは見上げた。頼りにされているのにどうしようもで
きないことから、不安がありありとにじんでいる。
 まさしく、仔犬のような眼差し。
「心配すんなって」
 浩之のきつい眼差しがフッとゆるみ、そのままあかりの頭を優しく撫でる。
「何とかなるかもな」
「本当に?」
「本当ですか?」
 二人の視線が一点に注がれた。
「ああ、こいつ次第だけど」
 そう言って、浩之はリストフォンのスイッチを入れた。


★04:15 p.m.
「岩柿さん、ちょっとお願いがあるんですけど……」
「また改まって何だい?」
「今日のロケハンのことなんですけどね……」
 姫川琴音はそう言って、目の前のオーク……『闘神伝説エリスン』のディレクター
である岩柿に話し出した。
「……わけあり?」
 数分後、琴音の話を聞き終えた岩柿は、たった一言だけ聞いた。
「はい」
 毅然とした態度を見て、彼の意志は決まった。
「よっし、どうせスケジュールも押してたんだ。その線で進めよう」
「あ、ありがとうございます!」
 ぺこりと頭を下げる琴音の頭上から、声が飛んだ。
「喜ぶのはまだ早い。向こうでの演技次第だ。出来が悪けりゃ二度目は無いぞ」
「……はい!」


★04:38 p.m.
 高校時代よく行った、ゲームセンターの片隅のぼろいロッカー。
 そこの『11番』を密かに作った合鍵で開けると、茶色い紙袋が入っていた。
 中をのぞき込むと、グリスで汚れていたフィールドキャップが入っている。
 そして、ポマードにまみれてくっついている、数本の髪の毛も。
 浩之はそれを確認するや、足早にゲームセンターを飛び出した。


★04:52 p.m.
「着いたぞ」
 好恵の呼びかけに応じて、あかりは荷台から降りた。
「本当なら、いっしょに付き添いたい所なんだが……」
「ううん、わかってる」
 あかりはかぶりを振った。
「私は私のできる範囲で、精一杯頑張るから、浩之ちゃんは浩之ちゃんのできる事を
して」
「済まんな」
 浩之はそう言って、荷台から乗り出し、あかりの耳元に口を寄せた。
「場所がわかったら、すぐこっちに来いよ」
 そう言って、セバスチャンをちらと見た。
 その視線に気づき、セバスは咳ばらいひとつして、あらぬ方を向く。
「じゃ、頼んだぞ」
 あかりの頬に軽くキスだけ残して、浩之は荷台の扉を閉めた。
 程無くして進み出したトラックをしばし見やってから、あかりは頭を二度振り、ガ
レキがそこかしこに転がっている中を奥へと進み出した。


★04:59 p.m.
 荷物の搬入をしていたトロールに、半ば邪険にされながらも居場所を聞き、あかり
はガレキで囲まれた廃屋を回り込む。
 しばらく進むと、奥の一角で折り畳み式のキャンバスチェアに腰かけ、台本を読ん
でいる琴音の姿が見えた。
「こんにちは、姫川さん」
「こんにちわぁ」
 ぴょこん、と席を立ち、琴音は右手を差し出した。つられてあかりはその手を握る。
 じっとりと、汗ばんでいた。
「ごめんなさいね。……藤田さんから話を聞いて、急いで段取りを固めたもんだから
……」
「姫川さん、大丈夫なの?」
「はい、わたしは大丈夫」
 琴音はあかりの手を握ったまま、あかりがやって来た方に歩きだした。
「……時間、無いんでしょ?すぐに始めますよ……いいですか」
「はい」
 琴音を握る手に力がこもった。
「よろしくお願いします」


★05:13 p.m.
 来栖川エレクトロニクス第六事業部中央ビルディング。
 こういう名称をそらで言えるのは、広報部の担当ぐらいなものである。それでなく
 ても、日本語は省略形が作り易い言語だ。
 というわけで、ここは社内では『シックス』で通っている。
 来栖川の通信・電算部門を統括し、前世紀末は通産省と丁々発止のやりとりをした
由緒正しいセクションであるが、社会の激変に伴い事業規模の拡大もままなず、よう
やく 2053 年にこの新社屋を建造した以外は、鳴かず飛ばずの部署である、と言われ
ている。
 研究施設として『来栖川ソフトウエア分室』を敷地内に持つ以外は、いわば『離れ
小島』である立地が幸いして、本社の人間も滅多に立ち寄らない。
 そこの地下の一室に浩之、葵、好恵そしてセバスチャンが入ってきた時、既に綾香
と長瀬室長が会議机を挟んで言葉を交わしていた。
「さあ、これでみんな揃ったわね」
 挑戦的な視線のまま、長瀬室長をねめつける。
「おやっさんと……『コクーン』が奪われたって話は聞きました」
「あかりが今、居場所を特定しようと頑張っているよ」
 浩之が綾香のそばに一歩近づこうとしたが、きつい視線に押し止められた。
「それはひとまず置いておくわ。わからないのは『なぜか』って事よ」
 視線がいっそう冷ややかな槍となって、長瀬室長につきささる。
「なぜ、私に黙っていたの?」
「綾香それは……」
「浩之は黙ってて。……答えなさい、長瀬」
「……まだ、時期が至らなかったからです」
 長瀬室長は静かに言葉を選んだ。
「マルチ復活の?」
「それはきっかけにしか過ぎません」
 しん、と水を打ったような静寂が、一同を包んだ。


★05:21 p.m.
 十数名の作業チームが、黒い『コクーン』を取り囲み、忙しく立ち回っている。
 既に、外部パネルの一部ははがされ、光ディスクを収めるスロットは半ば引き出さ
れ、黄色、黒、赤そして青といったケーブルがそこかしこに張りつき、とぐろを巻い
ていた。
 そしてケーブルは、大小様々な大きさのLCDパネルで飾りたてられた、送風音の
やかましい機械類に数字を送り込んでいる。
「内部、一定の振動音が感じられます」
「ペースは?」
 作業員に対し、片目を義眼と化した初老の男が、白衣の胸元に腕を突っ込みながら
問いを放った。
「……約50から55パルス/分!」
「当たりだな。ハヤマ」
 初老の男はそう言って、自分よりも若い男を見上げた。
「やはりな」
 後ろへとなでつけた髪を手でさすりながら、『サイバネティックの神様』葉山主査
はつぶやいた。
「……よく気づいたな?」
「何、来栖川の『がみがみオヤジ』でならした新田が、あんなへんぴな場所に一人で
くすぶっていたと知ってな。……ただ理由を推測したのに過ぎん」
 葉山の口元が、得意げにつり上がる。
「それよりも柳川」
 正面を向いた葉山の顔が、柳川の義眼に写り込む。
「もうそろそろ『オヤジ』の出番じゃないのか?」
「そうだな。そろそろ効いてくる頃だ」
 柳川は後ろを振り向き、作業着姿の部下に合図を送った。
 程無くして、灰色の作業着をまとった男が二人、よいよいになった男を引き立て、
部屋に入るや男を床へと放り出した。
 眼をとろんとさせ、口からだらしなく舌を垂らした『おやっさん』……新田が、
『コクーン』のほうに茫洋たる視線を送っていた。
「おい新田」
 そばに近寄った柳川は、荒っぽく新田の頭をわし掴んだ。
「あの揺りかごの開け方を教えてくれよ」
「まず……中に入って……いる緩衝……材を抜く……」
 唯々諾々と新田は答える。
 ここに連れてこられてから、むりやり打たれた自白剤が効いているのだ。
「……コック……をひね……ると薬……が気化する」
「聞いたか?」
 軽蔑の表情を隠さぬまま、葉山は作業員に言葉を飛ばした。
「急げ」
「はっ!」
 大げさな敬礼の後、作業員は再び『コクーン』の周りにたかった。


★05:31 p.m.
「マルチを『完全な』状態で戻し、そのうえで……執り行わなければ、……元には戻
らないのです」
「だから、何がよ!」
 綾香はずい、と長瀬室長に詰め寄った。
「よせ、綾香」
「ちょっと、あんた達だけの秘密ってわけ?この来栖川綾香にも明かせない秘密っ
て!」
 いらだった綾香は右手を振り上げ、再び浩之をひねりあげようとする。その動作を
数瞬先んじて受け流し、逆に浩之は綾香の懐に入った。
 綾香の両腕をがっきと掴み、まなじりの上がった双眸を思いっきりにらみつける。
「いいから聞け!」
「な……」
 普段では全然感じさせない、気迫のこもった姿に、思わず綾香の気勢も押え込まれ
た。
 周りの者も、一歩足を踏みだしたまま、固まってしまう。
「ひとつ聞く、……おまえ、さっきからマルチ、マルチって言っていたよな」
「ええ、言ったわよ。来栖川の誇る……ほこる……」
「マルチって、何だ?」
「……」
 つり目の奥に、驚きと不安が広がった。
「……なんだっけ、何か、こう、実体はあるんだけど……うそっ!」
 浩之を突き飛ばし、綾香は机に片手を突いた。
「…おもい……思い出せない……名前以外、なんにも……」
「葵ちゃんはどうだ?」
「……わたしも、よくわかりません……です……」
 両手を口元に当てたまま、葵は立ちつくしていた。
「ちょっとしっかりしなさいよ葵!マルチって、来栖川の会社が試作した、人型のロ
ボットじゃないの!」
 好恵は葵の肩をぽんぽんと強く叩く。
「ロ……ボット……?嘘だ。今の科学はそこまで進歩していないよ……」
「……葵ぃ……」
 自信無げにつぶやく葵を見つめてから、好恵はきっ、と浩之の顔を見やった。
「藤田、どういう事よ!」
「詳しくは言えない」
「藤田ぁ!!」
「が、俺以外の者はみな、……こころに『痕』を持ってしまったんだ。その『痕』を
癒すために……あることが行われた」
 そう、浩之以外の者で、2053年の『あの事件』に居合わせたものは、全て芹香によ
る『記憶封印』の儀式魔術を受けていた。
 いずれ訪れるであろう『解呪』の際に必要なもの。それが『あの時の』マルチ。
 いずれ訪れる『解呪』の時までの封印の鍵、それが芹香の『声』。
 そしていずれ訪れる『解呪』の時を、ただ一人で待つ来栖川芹香の重荷を自分も受
け持ち、ほんのわずかでも軽くしようと、浩之は『封印』の儀式を受けなかった。
「その……長瀬のおっさんといっしょに手がけて、ようやく、最終段階に漕ぎ着けた
んだ……今、二人とも、よく、わかっていないとは思う」
 ぽつり、ぽつりと、浩之は言葉を絞りだす。
「でも、みんなが元に戻るためには、必要な事なんだ。……何の説明にもなっちゃい
ないけど」
 浩之はそこで、一同の顔を見回した。
「俺を信じてくれ。きっと、みんなの『空白』を取り戻すから」
 誰も何も言えなかった。


★05:51 p.m.
 コンクリートの床に描かれた、不規則な模様。
 四方を取り囲む、香の入った壷や木彫りの人形。
 そして、その中心で向かい合う、二人の姿。
 片やトレーナーにジーンズ、片やサマーセーターにスカートという取り合わせなが
ら、二人の女性……あかりと琴音は、互いの手を取り合ってゆらゆらと動く。
 その手の中にあるのは、数本の毛髪。
 二人は一体となって、同じ呪文を唱えていた。


 琴音が魔術に目ざめたのは、十二歳になるかならないかのころだった。
 もっとも、普通の《覚醒》とは違い、体の成長(性徴)の変化著しい時期でもあっ
たのが幸いしたのか、ずいぶんと穏やかなものだった。
 その代わり、獲得した魔力は一人前とは言いがたかった。
 数年を経て高校に進学した時も、琴音の使えるのは、物を動かすとか飛ばすといっ
たレベルであり、しかも自身の思った時点では発動できなかった。
 入学時の魔力感知テスト(マジック・カウンター)で『魔力無し』と判定されたこ
とが、逆に周りから気味悪がられていた。
 それを救ったのが、藤田浩之である。


 あかりは知らなかったが、浩之は琴音の状況を変えようと、陽に陰に立ち回ってい
た。
 誰であろうとも、友だちを見捨てないヤツ。藤田浩之。
 それだからこそ、琴音は浩之に恩義を感じ、いつかきちんとお礼をしようと考えて
いた。
 浩之から電話をもらった時、その機会がやっと訪れたと思った。
 実に6年を経て。
 琴音自身の巫術小屋で、琴音が儀式魔法を行い、あかりがその手伝いをする。
 メイジとシャーマンは水と油であり、共同で何かを執り行うことは、普通はできな
い。しかし、シャーマン同士なら、たとえトーテムが異なっても共同で儀式魔法をか
けられる。
 浩之はその事を取り立てて知っていたいたわけではないが、同じシャーマン同士な
らという発想から、あかりにその事を提案し、できるとわかるや琴音に電話を掛けた
というわけだった。

(to be continued "Side B")
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 さあ、早いとこ続き書かなくっちゃ。

>日々野 英次様
 面白い。『雫』はやったことありませんが、妙に情景が思い浮かびます。
 けっこう筆が早い印象を受けましたが、御自身ではいかがですか?

>DEEPBLUE様
 ダークかもしれませんが、独特の、こう、もどかしげな雰囲気。
 いいですね。
 SSの書いた本数の事を言っておられましたが、それを言うなら、わたしなんかま
だ二本めでんがな(笑)。
 お互い、頑張りましょう。

>アルル様
 南ちゃんSSを始めとする路線、わたしは書けないけど「好み」です(笑)。
 楽しんで書かれている事がちゃんとした文章になっている当たり、うらやましくも
思います。
 わたしのは、どうも文章を「作って」しまうので、言いたい事が書けているか時に
不安になります。

>まさた館長(管理人)様
 早々と復旧、御苦労様です。
 何かとお忙しいとは思いますが、どうぞお体にお気をつけになってください。
 今回の話ですが、
タイトル:『東鳩ラン#6:Chasing dogs (Side A)』
コメント:次々と明かされる謎。
 で、お願いします。

http://www.ky.xaxon.ne.jp/~minakami/index.htm