------------------------------------------------------------------------------ 五月に・・・ by 見ずかみ ------------------------------------------------------------------------------ 五月の朝日は・・・四月のそれより少しつよくて・・・ カーテンの隙間から降りそそぐ朝日で綾は目覚めた。 ゴルデンウィークも過ぎたがまだ朝方は寒い。虚ろな意識のまま、綾は和樹を探して手を動か す。・・・が温もりの源は見つからなかった。 次に足を動す。・・・やはり反応無し。 ・・・えっ? 低下していた思考能力が徐々に戻り始める中で、綾は状況把握の努力と掛け布団の誘惑に挟 まれ・・・果たして、まどろみに沈みかけていた。 ・・・っが。 がばぁ 綾らしからぬ素早さで跳ね起き、ベット見渡す。継いで部屋を見回す。 状況の把握が完了したとたん、急に赤面してしまった。 「和樹さんが・・・いるはず・・・ない。ここ・・・私の部屋だもの・・・」 いちいち口に出して更に赤面する辺りが初々しい。 土曜日 AM 7:00 いつも通りの時間に起き出して洗面等を済ませ、キッチンに立つ。 前日用意した材料を確認しながら、頭の中でレシピを開く。 今日は「シフォンケーキ」にしよう・・・。 本日11:00。和樹の部屋でなにか集まりがあるらしい。 和樹の「まいぶらざー」大志が招集をかけたそうだ。 面子は和樹・詠美・由宇・大志・。そして綾の五人であった。 「とくに描きモノをするわけじゃないらしいから、手ぶらでいいよ」 和樹さんにそう言われても、手ぶらじゃ寂しい。 集まる面子を考えると、魔王の城に手ぶらで行くように思える綾である。 自らの人的魅力に乏しいことは重々承知。あの面子と張合うには、何か武器が必要なのだ! ・・・っとまでは意気込まなかったが。 人が集まるならお茶も出るだろう。 それならお茶菓子も必要だろう。 そう思いながら、ボールの中の卵の白身をハンドミキサーで泡立て、メレンゲを作る。 砂糖を入れて、少し固めに。 ちょうど去年の今ごろだった。 和樹さんと出会ったのは。 私の同人誌に目を通してくれた人。 とても綺麗な絵を書く人。 そして憧れた人。 別のボールに黄身、サラダ油、水、砂糖を入れて混ぜる。 そこに小麦粉とベーキングパウダーを振るい入れ、切るように混ぜる。 「一緒にやらない?」 そう言われたとき、何か違いを感じた。 彼は私とは違う人。 私はこちら側、彼はあちら側。 今は、限りなくこちら側にいるけど、でも何時か遠くに・・・ そんな違和感。居る場所が違うのだと・・・。 メレンゲを半分取り、ボールに入れて混ぜる。 混ざったら、残りのメレンゲも入れて、今度は切るように混ぜる。 でも・・・ 「一緒にやらない?」 もう一度申しこまれたとき、了承してしまった。 この人の側になら、一緒に居てもいいような・・・ 一緒にあちら側にいけるような・・・ そんな夢を夢見ていたのだろう。 専用のカタに生地を流しこんで、予熱していたオーブンに入れる。 タイマーをセットして、作業は一応終了。 オレンジの光に、ケーキのカタが照らし出される <続く> ------------------------------------------------------------------------------ お久しぶりです、見ずかみです。 初めて”恐らく極めてまとも”なSS描きました。 あぁー所々忘れてるから、再度プレイしなおさないとぉ!! 以上!(異常?) こみパSS/日常/綾