iセリオ―池― 投稿者:未樹 祥
 この作品は尾○氏の希望により作成した為、苦情は○張氏まで。

 この作品を読む前に拙作「iセリオでもいいよね」を読まれる事をお薦めします。

――・・――・・――・・――・・――・・――

 今は昔、来栖川の翁と言う者ありけり。
そのもの、貧乏だが正直者で通っていた――頑固者ではあったが。
今日も野良仕事をする為に池に架かっていた橋の上を渡っていた。
が、折りからの突風でバランスを崩し、鍬を落としてしまった。

「ああ、オラの鍬が!」

 これでは仕事をする事ができない。どうするべと途方に暮れていると
何やら水面が泡立ち始める。
 ? と思い翁が見ている前で、
それはそれは腰まで届く見事な黒髪を持つ綺麗な池の女神が現れた。

「あなたが落としたのはこの金の鍬ですか? それともこの銀の鍬ですか?」

 女神はそのか細い両腕に鍬を抱えていた。
 翁は正直者であったので、

「オラが落としたのは鉄の鍬だがや」
「……」
「あなたが落としたのはこの金の鍬ですか? それともこの銀の鍬ですか?」

 ……女神はめげなかった。

「ピクッ……だからオラが落としたのは鉄の鍬だ!」

 ……翁は頑固者だった。だが……

「ヒクッ……あなたが落としたのはこの金の鍬ですか? それともこの銀の鍬ですか?」

 ……女神も頑固者だった。

「だから……」
「あなたが……」

 ……数刻続いたと言う。








 そのうち、日が暮れ掛けた。

「……頑固な女だな」
「……あなたこそ……」

 妙な連帯感が生まれつつ有った。

「このままでは話がつかねえ。ここじゃあなんだし、オラの家でどうだ?」
「……いいでしょう。とことん話し合いましょう」

 翁の家で言い争いが遅くまで続けられたと言う。




 しばらくすると静かになったのだが……







「……あん、あ……いい……」

 女の嬌声が程無くして聞こえたと言う。








 その後、来栖川の翁は事業に打ってで、戦後の混乱も有り成功したと言う。
そしてその横には誰もが羨む美しい妻が寄り添っていたと言う。









 だが、この話も今回はあまり関係が無い。





――・・――・・――・・――・・――・・――





 来栖川邸内の池。そこを散歩するのが綾香は好きだった。
邸内の池――といってもかなりの広さが有り、ボートを漕ぐ事もできる。全周約3K――は
その季節ごとに違った色を見せ、飽きさせない。
今日もセリオと一緒に散歩していた。

「いい感じねえ」
「―そうですね。ところで綾香様―」
「ん? なに? セリオ」

 池に架かった橋の上でセリオが綾香に尋ねた。

「―夕べ、浩之さんとはどうなさったのですか?―」

 明らかに綾香は動揺して、

「な、何? 突然?」
「―浩之さんは良かったですか?―」

 綾香は耳まで真っ赤にして、

「やあねえ。突然何言い出すのよ!」

 照れ隠しに裏拳を繰り出す!

 ゴン!!

「―あう!―」

 ちょうどセリオのバランサーを直撃! そのままバランスを崩し、

 ドボン!!

 池にセリオは落下!

「ああ! セリオ!」

 慌てて水面を覗きこむがもうセリオの姿は見えない――沈んでしまったのだろうか?
こんなに深い所だったのだろうか?
 セリオは完全防水だったから、これくらい平気よねえ、などと綾香が考えるが
全然浮かんでこない。――飛び込んだ方がいいのだろうか?

 だが、水面が泡立ち始め、? と思い綾香が見ている前で、
それはそれは綺麗な池の女神が現れた。

「ちょっと、姉さん、なにやってるのよ」

 綾香自身と生き写し――紛れもない芹香――だった。
 芹香はそんな綾香の言葉を無視して一緒に現れた人影を指差し、

「……」
 あなたが落としたのはこの悪いセリオ―Dセリオですか?
「―け、綾香みたいな手の掛る女の世話をするなんてよ〜―」

 三角グラサン――ツッパリ用――を架けたセリオを示す。
 綾香はは〜と溜め息をつくと――何を言っても無駄だと悟ったのだ。

「違うわ」

 姉さん、何考えているのかしら? などと考えていたが。

「……」
 それともこの恥ずかしがりやのセリオ―電柱セリオですか?
「―……綾香さん、きゃ―」

 芹香の影から綾香を伺っているセリオを示す。

「違うわ」

 綾香の声はにべもない。
芹香はでは、とばかりに何も無い――少なくともそう見える――所を示し、

「……」
 ではこのiモード全開のセリオ――iセリオですか?
「―綾香お姉様(ポッ)―」

 言葉と共に姿を現すセリオ――もちろん素っ裸(^^;

「ちが〜う。姉さん、いいかげんにしてよ!」

 綾香はバンと橋を叩いた。いいかげん切れ掛けていたのだ。が、

「―綾香お姉様〜〜―」
「げ、ちょっとセリオ」

 iセリオは綾香に向かって飛び掛かっていた。見事な腰から下へのタックル。
完全に虚を突かれた綾香はそのまま押し倒され――iセリオに組み敷かれてしまった。

「セリオ、離して」

 だが、そんな言葉を聞く訳が無い。iセリオはそのまま綾香の胸に頬擦りする。

「―んふ。柔らかい―」
「ちょ、ちょっと……あっ」

 甘い響きが含まれるのは聞き間違いだろうか?
もちろん綾香も抵抗はしているのだが、組み解けない。

「―ん、んふっ―」

 クチュクチュと二人の唇の間から聞こえる。
 どうやらiセリオの体液採集モードが動きだした様だ。

「……」
 どうやら決まった様です。帰りましょう

 そう言って芹香はまた水面に沈みだす。

「―け、またな―」
「―綾香様。きゃ(ハート)」

 それに続くセリオ達。

「ちょっと姉さん! 何とかしてよ!」
「……」
 ごゆっくり
「―さあ、綾香お姉様、ゆっくり楽しみましょう―」

 iセリオの微笑みはそれはそれは妖艶だった。

「わ〜〜ん! 浩之助けて〜!!」



――・・――・・――・・――・・――・・――
すみません。またやりました。
透明幼児SS書き(by R/D)……か、もうその称号外せないだろうな。

連載の息抜きみたいに書きました。
「願い」が思いもかけず「痛い」方向に行ったのでストレス溜まったかな?
さ、次は「願い」だ!

まさた館長様。これは「iセリオでもいいよね」の下に置いて下さい。

ジャンル コメディ:TH:セリオ
タイトル iセリオ―池―
コメント iセリオ再び

http://www.ne.jp/asahi/miki/be-yourself/