バーチャル大学日記 その3 〜昼下がりの授業 投稿者: ミスター・アッキー
さて、腹ごしらえも終わった。
「次は、演習だね」
「おう」
そう。次は演習なのだ。少人数なので指名されることも多く、きちんと予習をしなくてはならない。
そんなときはもちろん、あかりにノートを見せてもらってる。
いつまでもこんな感じじゃ、ダメなんだろうけど。
珍しく?今日は勉強した。自分で、だ。
「今日は大丈夫なの?」
「おう。たまにはオレだって勉強するんだ」
「ふうん」
そういうあかりの顔はいかにも、
『そうそう。浩之ちゃんはやればできるんだよ』
と言いたげだ。
オレ達が教室に入って5分もしないうちに、演習が始まった。
今日も、マルクスの経済学原理のはなしがつづく。
オレ達は、並んで座ってそのはなしに参加している。
小声で会話。
「なあ、あかり」
「うん?」
「オレ、どうもこの先生苦手なんだよ」
「そうかな?私が質問したらすごく丁寧に答えてくれたし、いい先生だと思うけどな」
「‥‥‥」
でも、質問をすぐオレに振るし、めがねの下の眼光が鋭いのが何となく怖くて好きじゃない。
「浩之ちゃん、好き嫌いはダメだよ。せっかく先生やここ(演習)の人たちと知り合えたんだから。いい縁の始まりにしなきゃ」
「そうかもな」
そうかもしれないな。
なんて思っていると、
「うん?どうしたかな?藤田君。何か質問ですか?」
‥‥‥ほら、来た。
好きになれそうもない。

「ふう。今日はあと一つだね」
「おう」
残すはマス論のみ。
マス論と言ってもほとんど先生の愚痴が多いんだけど、それがまた、面白い。
「あの先生も、変わった人だよね」
「おう。変わってるというか、味があるよな」
何でも、昔は新聞記者としてあちこちを飛び回ってたらしい。
そんな話しもたまにしてくれる。
中くらいの教室の前半分に30人ほどの学生、という変わったスタイルの授業が始まる。
「先日、急用で横浜に行って来た。例の「大魔神社」にも行ってきた。でもしばらく行ってなかったものだから、迷ってしまって」
へえ、先生も結構大変なんだな。
なあ、あかり‥‥‥?
あれっ?
寝てるよ。
スースー寝息を立ててやがる。
でも、やっぱ、かわいいよな、こうしてみると。
よし、そっとしといてやろう。
今日は逆に、オレがノートをしっかり取って、見せてやるとするか。
たまにはいいよな、こういうのも。
授業も残り10分ほど。
あかりの「休み時間」って感じかな。
(つづく)
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どうでしたでしょうか?
やっぱり自分には「一人称」のこの作品?のほうが性に合っているようで、ついつい力が入ってしまいます。こっちをメインにして「マルチ〜」は週イチぐらいで行こうかな?とも思います。
書き忘れるところでしたが、ご感想ありがとうございます。自分も皆さんの作品の感想をそろそろ書かなくては、と思うのですが時間がないので、日を改めます。ではまた。