保科組の智子さん 投稿者: まてつや
「なんやて! また失敗したんかいこのドアホ!!」

げっし、げしっ!

「ああん、もっと〜〜〜〜」
「この前、ノートに落書きしたのはあんたやな! 松本!」
「ああん、ちがいますう、わたしは岡田ですぅ(はあと)」
「気持ちの悪い声を出すなぁぁぁぁぁ!!」

ごいん、げいん!

と、そこに……がらがらがらと扉を開く音。
「大変です! 智子さん!」
「組長と呼ばんかいっ! 松本!」
「あの……吉田ですけど」
「細かいこと……気にすんなやっ! 一体、なんやねん?」
「例のゲーセンでウチの組のヤツらが……」
「……あの、ゲーセン!?……よっしゃ、うちも行ったる」
智子はそう言うと、いつものメガネをはずし、コンタクトに変え、
髪をほどき、服装も着がえ直す。
「イクで! ついてこい、松本&吉田!」
「だから……岡田です、わたしぃ……」



「おらおらおらおら〜〜〜〜っ!! 保科組の者(もん)じゃ〜〜〜っ!
  責任者、ちゃっちゃと出てこんかいっ!!」
智子さん(メガネなしバージョン)がヤクザのように叫ぶ!
そんな彼女に無謀にも、緑の髪の耳カバーをした女の子が口をはさむ。
「あうううう、お客様。店内ではお静かに……」
「ああん、うるさいんじゃ、ボケ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
「ひっ……、でもそれがきまりですし……マナーは護っていただかないと……」
「あああんん!? うちらにマナー直せ、言うんやったら、
  先にこのだれにもとれへんような凶悪なほど弱いアームを直せや!!」

ごんっ!ずごんっ!

と、ゲーム機をひたすら蹴る!

「そ……そんなこと言われましても……。ちゃんと補充もしてますし
  とっていく方も、いますし……」
「何じゃあ! するとうちらに『ヘタ』とでも言いたいんか? ああん!?」
「そーよ、そーよ」(松本)
「そのとうりですわ」(吉田)
「ああんんんん、組長かっこいい(はーと)」(岡田)
「なら……あんたがやって、とってみんかいっ!」
「え………、わ……わたしこういうの苦手……」
「あああああんんんんんん!? なんじゃとぉぉぉぉぉおおおお!
  人に『できます』いうて、自分は『できん』と。
  ほおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!? そう言うか?」
「あわわわわっ。わ……わたしぃ……」
保科さんが、今にも相手を追い詰めようとしたとき……。
「それくらいにしとけよ」
背後から、男の声がした……
「……ジャマすんなや」
保科さんが得意の炎のつっこみを放とうと手をあげる……

ぱしいいっ!

「……!?」
「ここは、俺が1回でとったら、勘弁してくれ……な?」
男は、片手で攻撃を受け止めながらそう言った。

ちゃり〜ん、とコインを投入する……

……
…………
…………………………………

「ほらよ」
男は1コインでげっとしたぬいぐるみを渡す。
「今日のとこは、これで勘弁してくれ」
「……おまえ……名前は……」

「藤田浩之……」



「組長、あいつ藤田組の若頭の浩之……って、オトコですよ」(松本)
「なんで……、つぶさなかったんですか?」(吉田)
「ああんん、保科様はわたしのものよぉぉぉぉん!」(岡田)

どぐげしめぎゃごいん!!!

3人が一斉に岡田を殴る。
「あああんんんん……も……っと……」
「うちはMやレズには興味ない……」
(それにしても……藤田浩之……か……)
保科は不適に凶悪な笑いを浮かべた……

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