怒らないで石投げないで生姜は無いで。 投稿者: もりりんかも。


『もしもマルチが軍用だったら』

 厚着基地特別兵舎。ここには世界有数のエリート軍人達が寝食を共にしていた。
「みなさん朝ですよぉ。起きてくださぁい。」澄んだ声で兵士達をたたき起こすかわいい
女の子。彼女はマルチ。2029年に軍用に開発され、足を滑らせて洗濯機に落っこちて
回転するうちに1999年にタイムスリップして来た。
 「隊長!麦国の軍隊が本土上陸を果たしました!」ことの起こりは麦国大統領クリキン
トンが平林夫人の誕生日に入表山犬を送ろうとしたことだった。恥本首相のポマードが中
東のイクラ国製だったのが会談中にバレて開戦となったのだ。
 すぐにヤベッチ攻撃ヘリ部隊が発進した。その機体はクレゾールの香りをぷんぷんさせ
ながら銀色に光り輝いていた。麦国兵士はその輝きを32キロ先から視認した。
 地上部隊も一斉に出動した。兵士達の持つ銃は綺麗に水洗いされ、油紙でつつまれてい
た。薬莢の中まで鏡のように磨きがかけられていた。火薬?なにそれ。戦車も洗車され、
せまくるしいと不評の車内は隅々まで掃除され、整理整頓されていた。もちろん汚い重油
なんて積まれていない。
 麦国の地上軍が厚着基地を取り囲んでいた。孤立無援の基地に転機が訪れた。
「御主人様、お困りですか?」困っている。そこでマルチは主人を守るために立ち上がっ
た。
     ロケットパ〜〜〜〜〜ンチョ! 拳が飛ぶ!
   ヤクザギンコ〜〜イ〜〜〜ン!! 光の輪が敵を裂く!!
  レレレレレレレレノレ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!! ファンが怒る!!!
 ホウキ両手に快進撃を続けるマルチ。麦国はもはや撤退寸前!

 そのとき、彼女の目の前に突如まばゆい光を放つオープンカーが現れた。髪の長い男が乗っている。
「やっと見つけたよ。さぁ、未来へ帰ろう。そして世界を革命しよう!あ、そちらの方が預かっていて
くださったのか。これはどうもありがとうございます。これ、つまらないものですが。赤森名産22世
紀梨のパイです。あ、受け渡し証明の宛名は防衛省でよろしいですか?」

 そしてマルチは帰って行った。ぼくらに素敵な想い出を残して。