蒼き日々 ―葵の日記2― 投稿者:無口の人
 葵、綾香、セリオファンはどうか読み飛ばしてくださいね…
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 9月吉日。
 藤田先輩、お元気ですか?
 今日は綾香さんが、勉強を教えに来てくれる…はずだったのですが…。

「あおい〜、お客さんよ〜」
 と、お母さんの声がしたので、私が玄関に行ってみるとそこには、
「は〜い、葵。元気してた?」
 綾香さんの声としぐさをした、メイドロボのセリオさんがいたのです…。

「………あの…確か…セリオさん…でしたよね」
 私がおそるおそる声をかけると、セリオさんは、
「な〜に言ってんの、葵。さあ、部屋にいきましょ!」
 と、あくまで惚けるつもりのようでした。私の部屋に着くと、セリオさんは一瞬だけ『素』
に戻り、
「綾香お嬢さまは、ご都合が悪くなりましたので代わりに私が参りました」
 そう言うと、セリオさんは一呼吸置き、
「――っていうわけで、あたしが来たわけ。だ〜いじょうぶ!来栖の技術はたいしたものよ。
だから、安心して!」
 と、綾香さんに戻りました。…セリオさん、ちょっと恥ずかしいです。

 ……一○分後。
「う〜ん。ねぇ葵、気晴らしにどっかジョギングして来ない?」
「綾香…さん、まだ一○分しか経ってませんけど…」
「んっ!?…あぁ、そうね。もうちょっと続けましょうか」

 ……さらに二○分後。
「ねぇ、葵。外で組み手でもしない?」
「………うぅ…セリオさ〜ん、お願いですから元のセリオさんに戻ってください」
 すると、セリオさんは姿勢を正し、
「あの、何かお気に触るようなことがありましたか?」
 と訊いてきました。
「いっ、いえ、そうじゃないんです。ただ、どうも違和感があるんです。私の知ってる綾香さ
んじゃないというか…」
 私はそう答えました。このままじゃ、勉強が進まないし…
「そうですか。確かに綾香お嬢さまのパターンは、他の方々に比べてデータが不足しているの
かもしれませんね」

 ピーン!そのとき、私の中で何かが閃きました。
「……他の方々と言うと?ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、藤田先輩のもありますか?」
「藤田浩之さんですか? はい、あります。そちらに切り替えますか?」
 私は間髪入れず、
「はい!切り替えます!セリオ先生!」
 と答えました。
「…………」

 ……それから、一時間後。
 えへへ、私は先輩と楽しい時間を過ごしていました。あっ、先輩の手が髪の毛に触れている。
「あの…先輩、私の髪に何か付いてますか?」
「んっ、いや、葵ちゃんの髪がきれいだなって思ってさ」
 えへへへへ。
「俺…もっと、葵ちゃんのこと知りたいな…」
 先輩はそう言って、私を床に寝かせました。胸のカップに沿って、指をツツ〜と動かしてい
く先輩…っと思ったら、いつのまにかブラが外されている。凄いテクニック…私は心底、来栖
川の情報網ってすごいなあと思いました。

「葵ちゃん…」
 近づいてくる、セリオさんの顔……って!ちょっと待って!セリオさん!そこまで、忠実に
ならなくても…うぅ、凄い力で押さえつけられてる…あぁ、ダメ!
「てぇい!嘉納流巴投げぇ〜!」
 ガターン!セリオさんはタンスと共にひっくり返りました。ごめんなさい、セリオさん。で
もファーストキスは、大好きな人にあげたいんです…。

 …結局、そのあとは部屋を片付けるのに精一杯で、本物の綾香さんがセリオさんを迎えにく
るまで勉強は出来ませんでした。
「ごめんね、葵。急に用事が入っちゃってさあ。まあでも、セリオの演技も違和感なかったで
しょ」
 と綾香さんは言いました。するとセリオさんが、
「申し訳ございません、綾香お嬢さま、実は――」
 と言い出したので、私は慌てて、
「ああああああああぁぁぁ〜、セリオさん、忘れもの〜〜〜〜」
 と、セリオさんを玄関の中まで連れて行きました。
「せっ、セリオ先生! 今日のことは二人だけの内緒にしてください」
「内緒…ですか?」
「はい!内緒です」
 私は、人差し指を唇に当ててそう答えました。
「分かりました。今日のデータは、トップシークレットとして取り扱うようにします」
「ありがとう、セリオさん」

「それじゃあね、葵」
 リムジンに乗り込む、綾香さん。そのあとに続くセリオさんは、上半身だけクルッと振り返
り、人差し指を唇に当てて、
「内緒…です」
 とだけ言い残し、去っていきました。

 ありがとう、セリオさん。
 …二人だけの……いえ、いつかこの日記を見る先輩を入れて、三人の秘密ですね。

 ……それではおやすみなさい、藤田先輩。

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>久々野 彰さん
 『デンパマンPART34 「赤い林檎」』、短いけどメチャメチャおもしろいです。沙織
嬢のやられっぷり(笑)には、感服いたします。ところで、TH全キャラ制覇!?…とんでもご
ざいません。私には、御三家に手を出す勇気なんて…。まだ、名作『自虐の唄』の後遺症も癒
えてないですし(^^;あと、瑞穂と瑠璃子ってどちらが強いんですか?

>鈴木 夕美さん
 はじめまして。『タイム・ラグ』読みました。志保の単なる意地っ張りではない、切ない心
を読んでいて感じました。恋愛もの…いいですね、自分のような壊れ者には書けないです。そ
れから、先輩のブラックユーモアですか…ぜひ出してください(笑)。

>NoGodさん
 そ…そんなに凄いんですか?あの二人のプロレスゴッコ!?(にやっ)

>刹那五月さん
 あかりの本当の気持ちって、どうなんでしょうね?自分にはよく分かりませんが…。
 でも…いきなり、殴り壊すのはすごすぎるかも…。

>茸の刻印によって、私とエンゲージなされているお方へ
 ごめんなさい、、○oo○様。貴方のお言葉を聞き、○"ーレーに挑戦しようかと思ったので
すが、私にはその勇気がありませんでした。前半ダレてるし…ごめんなさい。
                                 マツタケの花嫁より