バーストエンジェル しほちゃんSOS 投稿者:無口の人


 ちょっと長いけど、暇だったらよんでくださいね。                 ?
                                         ↓
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 一陣の風が、この町を吹き抜けようとしていた。
 公園の木々を揺らし、その風はまるで意志を持っているかのように、物語の舞台…すなわち
この臼鳩学園の校舎へとつづく並木道を駆け抜ける。並木道の両端には、十数人の女生徒がづ
らりと並び、『春一番』にスカートがはためくのも気にしないで、直立不動の姿勢をしている。

 なごり惜しそうに舞い散る葉の群れを追い立てるように進む風は、整列した女生徒たちのさ
らに奥で、腕を組み仁王立ちしていた女生徒と道の真ん中で正面衝突する。風が止んだ。しん
としたその場の空気を、今度は静かな駆動音が揺さぶる。

ブロロロロロロロ…

 黒塗りのボディに木々のざわめきを写し取り颯爽と現れたリムジンは、進入禁止の標識には
目もくれずに校門を抜け、女生徒たちの目の前で止まる。

ガチャ…

 すらりと伸びた足…優雅な物腰…リムジンから降り立った青年は、いい男であった。かぎ
りなく澄んだ瞳にはどこか物憂げなところがあるが、それがまた女生徒たちを魅了した。なぜ
か、他のキャラより輪郭線が細いようであった。美青年特権なのだろうか?

 先程、仁王立ちしていた女生徒がゆっくりと青年に近づいていく…2人は迷惑にも道の真ん
中を占領していた。だが、そんな浮世の俗事など関係なく2人の世界はつづく。

 女生徒は、キッと姿勢を正すと吠えた…じゃなくて言った。
「橋本先輩、臼鳩学園(うすばとがくえん)へのご転入、心よりお慶び申しあげます。わたくし
は、4年A組 坂下好恵。橋本様親衛隊の隊長を勤めさせていただいております。」
 好恵は、ハァッ!と気合を入れ直した後、
「橋本様のご到着をお待ち申し上げておりました!」
 と声を張り上げた。続けて、後ろに居並ぶ女生徒たちも声を揃えて、
「お待ち申し上げておりました!」
 と叫んだ。
 そんな北極グマも凍り付くような恐ろしい光景のなかでも、橋本は表情を崩さなかった。や
はり、いい男であるが故だろうか?………いや、すでに硬直していた。

「ヒロのばかぁ〜」
「へ〜んだ!ウソツキ!」
「なんであたしがウソツキなのよ!」

 突然降ってわいたような、男女の言い争う声。声の発生源を認識すると好恵は、
「野蛮猿…」
 と呟いた。

 言い争いはつづく…
「昨日、『砂の嵐』ってエッチなテレビやるっていうから、3時まで待っちまったじゃんかよう!」
「きゃははははっ、ばっかじゃな〜い」
 っと、女の子が『ヒロ』と呼ばれた男の子にクロスチョップを食らわせると、
「とっとっとっと」

ドスッ

 と逆に女の子の方が反動で飛ばされ、橋本にぶつかるはめになった。
「ごめ〜ん、じゃなくて…失礼をば致しました。」
 女の子がゆっくりと顔を上げると、そこには橋本のひきつった笑顔があった。たとえ、そん
な顔をしていても彼女には十分魅力的であった。傍目には見つめあっているかに見える二人。
 そんな二人を見て、嫉妬の炎をメラメラと燃やした好恵は、
「ハ○ケー○ ○ッパー」
 と、地を這うような拳(こぶし)を繰り出す。その刹那、ヒロたちを巨大な竜巻が包み込んだ。
「お〜た〜す〜け〜」
 飛んでいく二人の動きは、何故かスローモーであった。

「あの女の子は?」
 以外と立ち直りの早い橋本は、キラキラと前歯を輝かせつつ、それでいてさりげなく好恵か
ら彼女の名前を聞き出そうとした。
「あの野蛮猿のことですか…橋本様がお知りなるような者ではございません。」
「いや…是非知りたい。」
 以外な橋本の言葉に、ためらわずに超必殺技をお見舞いしておけばよかった、と思いながら
好恵は答えた。
「4年B組 長岡志保です。橋本様。」
「ながおか…しほ…」
 そうつぶやく橋本が、まさか
(このユダ様…もとい、橋本の情けない顔を見てしまった長岡志保…生かすまじ!)
 と思っているなどとは…誰も知らない…

 再び風が吹きはじめようとしていた…この臼鳩学園に…


   第一話 「黄色い天使が舞い落ちた」


「おっはよ〜…ございます。」
 志保が元気よく教室に入ると、
「志保!誕生日おめでとう。」
「お誕生日おめでとうございます。」
 と二人の親友、太田香奈子と藍原瑞穂がプレゼントを手に声をかける。
「二人とも覚えててくれたんだ!感激!」
「あったりまえだよ。」
 と香奈子。
「忘れるわけございませんわ。」
 と瑞穂。
 志保はふいに、浩之のほうへ顔を向けると、
「それにひきかえ…殿方は何をしてらっしゃるんでしょうねぇ。」
「へえへえ、シッホッ様に差し上げるようなプレゼントなんて、とてもとても。」
 と浩之が言うと、突如閃光が走り、金髪でグラマーなおねえちゃんが現れた。志保を指差し、
「Shit Hot(シット ホット)は『くそ豪華な』って意味ネ!」
 と言って消えた。それを見た志保は、う〜ん、と考え、言った。
「オペレーション・○テオ発動!」
 浩之はついつい乗ってしまう。
「任務了解…」
 すると、風もないのに砂塵が巻き上がり、眼鏡をしたおさげ髪の女の人が出現した。さきほ
どのおねえちゃんと同じ、ピンクの制服を着ている。そして、
「そりゃ、『ヒイロ』や!」
 と意味不明の言葉を残して、やはり消えた。

「なかなかやるわね。ヒロ」
「お前もな。志保」
 二人はお互いにニヤケあった。
「処置なしね。」
「わたくし感激いたしました。」
 あとの二人はそれなりに順応していた。

「理事長、この橋本君はイギリス本校に於いて成績優秀、スポーツ万能、夫婦円満のすなわち
スーパーいい男なのであります。」
「橋本…です。」
 木漏れ日がふりそそぐ理事長室…型通りの挨拶を前に橋本は眠気を覚えた。と思ったら、や
はり熟睡した。しかし、そこはいい男、橋本は目を開け、かつ微笑みながら眠れるのだ!そん
な彼ではあったが、自分が『立ったままでは眠れない』ということをすっかり忘れていた。
「橋本君…橋本君?」
 教頭の呼びかけにも、橋本はスピー…スピー…と答えるだけであった。しかしその時、彼を
悪夢が襲った。

カックン!

 突然、橋本の膝が折れ曲がった!と思ったら、ゴ〜ンという鐘突き音と共に、部屋の隅にお
かれていた物体と衝突した。
「はっ橋本君!大丈夫かね?」
「うっ、う〜ん…」
 教頭の声に答えようと、顔を上げた彼は、自分がぶつかったものを見て驚愕した。
(ハ…ハニワ!?)
「この…埴輪は?」
 橋本がそう聞くと、理事長が答えた。
「わっは〜い、よくぞ聞いてくれましたわ。これは先代の理事長が、ナ○ツネ社長より譲りう
けたモノで、かつてはN○Kにも出演し…」
 熱心な理事長の説明を聞き流しながら、橋本はハニワを見つめ、
(うっ…美しい。この娘に命を吹き込んで、僕の恋人にしたい。)
 と考えていた。

「ねえねえ、『なんちゃって、カクカク』って知ってる?」
 と言いながら首をすばやく平行移動させる志保。
「志保さんって、物知り大魔王ですね。」
 と瑞穂は言い、香奈子は、
「志保、それ変だよ…ややうけ」
 と感想をもらした。
 放課後、下校の時間。三人がいつものように、並んで帰ろうとすると、その前に橋本が生え
てきた。

ニョキニョキニョキニョキ…

「やあ、志保君。ちょっと付き合ってほしい。」
「えっ、先輩、わたし…ですか?」
 戸惑う志保。『理不尽な登場の仕方』と『かっこよさ』がすぐさま両天秤にかけられ、ほん
の一瞬の後、賛成1、反対1、条件付き賛成1で『かっこよさ』が勝った。
「行ってきなよ、志保。」
 と香奈子が背中を押してくれる。さすがに付き合いが長いだけあるな、と志保は思った。
「うっうん…」
 と志保はしおらしく言った。橋本の考えも知らずに…。

 噴水のある人工池は、おだやかな日差しを受けてキラキラと輝いている。橋本と志保は、し
ばらく歩いた後、そのほとりまでやってきた。その様子を覗き見るは坂下好恵と藤田浩之。よ
うやく橋本らが立ち止まると、好恵たちは10mほど離れた植木に隠れる。
「志保君、誕生日おめでとう。これは僕からの誕生日プレゼントだ。」
 おもむろに包みを差し出す橋本。そのとき、志保は
(やっぱり、志保ちゃんの誕生日は全国的に有名なのね)
 と勝手な解釈をし、浩之は、
(やはり、志保の悪名は全国に知れ渡ってるんだな)
 と思った。ちなみに好恵は、
(さすがはルカイン…じゃなくて橋本様だわ、もう野蛮猿を手なづけていらっしゃる)
 などと思っていた。

「ふふふふふっ、へへへへへっ」
 橋本からもらったプレゼントを開けようとしている志保の顔は、ほころんでいた…っという
よりは、うすらニヤケていた。だがその時、
「ハニ〜!」
 と背後からプレゼントを掴む手があった。
「なっなにすんのよ…って、ハ・ニ・ワ〜!?」
 そう、プレゼントを横取りしたのは…ハニワだった。ハニワは、おもむろに包み紙を破る。
さらに、その中から出てきた小物入れを開けようとする。
「俺の志保に、何してんだ!」
 お約束どおりに浩之は飛び掛かろうとするが、相手のハニワを見て、
(らっラブリー…)
 一目でファンになってしまった。そして、マイペースで小物入れを開ける、ハニワ。

チュドーン!

 突然、閃光と爆風が二人と一体を襲う。もちろん橋本の仕掛けた爆弾のせいだった。

(………ほ……しほ……志保)
「誰?わたしを呼ぶのは?」
(今はまだ名乗れません…ただ、料理が得意でグラマーな、人気No.1の王女とだけ言っておき
ましょう…さあ志保、今こそ人気を上げるのです…)
「人気…人気…人気!よっしゃあ!」
 志保の体が輝きはじめた!
「聖なる人気、聖なる魅力、ここへ!」
 人気の精霊たちが織り上げた絹のような布が、志保を取り巻く…やがてそれは、一つへとつ
ながっていき、コスチュームに変化する。
「まばゆき微笑み、気高き志保!(笑) 豊かなバストの命の雄叫び!」
 ポーズを決めてっと
「バーストエンジェル 天よりのお使い!」

 さきほどの爆発で、ハニワはすでに瀕死状態だったのだが…
「エンジェルビューアップ!」
「エンジェルシャインスクロール!」
「エンジェルエイドボン貧〜ム!」
 バーストエンジェルは容赦なかった…
「ハニ〜!」
 ハニワは倒された。

「うっう〜ん…おい志保、大丈夫か?」
 浩之は気が付くと、立ったまま気を失っている志保に声をかけた。
「あっ、ヒロ…」
「『あっ、ヒロ』じゃないぜ。これ、お前がやったのか?」
 と、地面に横たわるハニワを指差した。
「ううん、わかんない…でも、志保ちゃんの人気が上がったのは確かよ!」
「何?それはないだろ」
「ちょっとそれ、そういう意味よ!」
「まっ、それはいいとして…ホントにラブリーだな、このハニワ。よ〜し、もらっちゃおっと。
よいしょっと………んっ?………はっ!」
 そのとき浩之は、校舎の陰から物欲しそうな目でこちらを見ている橋本に気が付いた。
「橋本…まさか、あいつ…」

[エンディング]
 しほちゃん 普通の女の子〜
 どこにでもいるような 女の子〜
 だけどしほちゃん情報 流したら
 御託を並べて 天に唾するバーストエンジェル

 しほちゃん おませな女の子〜
 みんなに愛され〜てる 女の子〜
 だけど知ったかぶりが わざわいして
 イケナイことされかける ウブでかわいいバーストエンジェル
              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                ↑
             ちょっとフォロー