暇だったら、読んでね。 へんな関西弁があっても、気にしないでね。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− あの…災厄の日から2年が過ぎようとしていた。 突如として現れた、未知なる侵略者マソイクロフト…それは初め、 人体上に現れるかすかな染みでしかなかった。しかし、それらはやがて脳の中枢神経に 格子窓のような光学模様をもつ細胞を造りはじめた。この細胞は成長を続け、やがて大脳辺縁系まで 達すると、それ自体が意識を持ちはじめるのだ。つまりマソイクロフトに侵された人々は、 自分自身の意識の他に、もう1つの自分、偽りの自分、 常に甘い言葉を囁き続ける意識を持つことになる。このまったく新しい生物を科学者達は、 OS(Oneself Slayer…本来の自分を殺害せし者)と呼び、 またその細胞に侵された人々を、大脳内の光学模様と発見された年号を合わせ、 窓S95(まどーずきゅうじゅうご)と名付けた。 現在、全人類の70%弱の人々が、窓S95と化していた。そのほとんどの人達は、 普段の生活において何の異常も見受けられはしないのだが、ひとたびもう1つの意識が 働きはじめると自分を『マソイクロフト信者』と呼び、またこの世界を真に支配すべきは、 『偉大なるルビー・ゲイ様』だけだと、声高に叫ぶのだ。 残された人類に希望はないのだろうか? 否!我々にはまだ彼女らがいる!そう、『愛情戦隊・ハーティスツ』が! 「というわけで…ってどういうわけやねん!っと一人ツッコミしたところで、 えらい長い前置きやったな。みんな、ついてきとるか〜?」 瞼を半分閉じ、口元を引きつらせながら保科智子が隊員に声を掛ける。 「はい!保科名誉委員長!私の正義の拳で魔王を打ち倒してみせます!」 その瞳に情熱の炎をくゆらせながら、葵が元気よく答える。 「委員長やない!博士や!ハ・カ・セ!それにな…松原さん」 すぅ〜と息を吸い込み、 「あんたは、ブルー!ハーティ・ブルーや!昔からブルーっちゅうのはなぁ、 クールでニヒルと決まっとるもんや。 それやのに、松原さん…なんや、その…70年代アニメのようなノリは!」 「えっ…あっ、ごめんなさい」 ふぅ〜とため息をつき 「以後、気ぃつけて〜や」 「ちょっと、ちょっと、ちょっとぉ〜」 いきおいよく手を挙げたのは、ハーティ・イエローこと長岡志保。 「なんや、イエロー・マンキーこと長岡志保さん」 「キィー!誰がイエロー・マンキーなのよ!誰が!」 ハンカチの端をギリギリと噛み締める志保に対し 「それにな長岡さん、学校やないんやから手ぇ挙げる必要ないんよ」 クールボイスで智子が追いうちをかける。 「まっ、まぁそれはいいとしてよ…」 痛いところを突かれた志保は、オクターブ下げた声で続けた。 「なんであたしがイエローなわけぇ?イエローっていったら、カレーが好きでおっちょこちょいな …水戸○門でいう『うっかり八兵衛』じゃないの!」 「…そのまんまやないの」 「ふっふっふっふっふっふっふっふ…」 「どないしたん?とうとう壊れてしもたか?」 突然、志保の目がキラリと光る。 「この端整な顔だち…魅力的なバディ…」 左手をななめ上に掲げ、右手をそれと逆方向に両腕がまっすぐになるように伸ばし、 時計回りにゆっくり一回転しながら志保が言う。 「……………」(一同) さらに、右手を腰に、左手を後頭部に当て、ポーズを決めたのち、 「この志保ちゃんこそ、可憐なヒロインの鑑というものよ!」 と、のたまった。 「アホらし…」 フッと短く息をつき、智子が続ける。 「あんなぁ、うちらの髪がなんで色分けされとると思う?」 心持ち顔を上げ、下目づかいの挑発的な態度の智子に対して、 「そりゃあ、各キャラクターを区別しやすいようにじゃないの?」 と志保。 「そやな、半分あたり、半分はずれってとこやな。ほな次、そこの緑!」 「えっ…あっ…わわわわ、わたしですかぁ〜?」 突然自分に話題を振られた、ハーティ・グリーンことマルチ(HMX-12)は、 「そっそれは、みなさんのイメージに合わせ…」 「ブッブー!はずれや」 意見を即座に却下された。 「あわわわわ…まっまだ…意見を…」 「それでは、正解発表!」 さらに却下された。 「おほんっ」 と、智子はわざとらしく咳をした後、さも深刻そうに続ける。 「うちらは有事の際に、団結して戦うように運命づけられてるんや。髪の毛の色分けは、 そのための戦隊パターンに基づいて決定されとるんよ」 「う〜ん、何だかよくわかんないけど… それなら、あたしよりレミィのほうがイエローって感じじゃない?性格もさ…」 志保は全員に問いかけるかのように、疑問を口にした。 「それは無理やな。ハーフの外人は、シリーズ中盤で登場する助っ人と相場が決まっとるからな」 「そんなのいつ、どこで、誰が決めたのよぅ?」 「うちが決めたんや。博士やからな、なんといっても」 「あの…」 そのとき、ハーティ・ピン… 「いやいやいやいやっ、いや〜〜〜〜〜。志保ちゃんは、ピンクがいいの!」 「すみません…」 ふたたび、ハーティ・ピンクこと姫… 「やかましいわ!あんまりガタガタぬかしとると、いくら温厚なうちでも…」 ドンガラガッシャーン!  ̄ ̄ そのとき、口論をしていた志保・智子の間に、『考える人』が突如落下し、 派手な音と共に砕け散った。 「御二人とも、喧嘩はよくないと思います。」 そう言った者こそ、『考える人』をその超能力によって落下させた張本人、 ハーティ・ピンクこと姫川琴音であった。 「……………」(智子・志保) 「あっあたし達、仲良しだもんね〜」 と、志保。 「そっそうや、マブダチやもんな!」 と、智子。 「ね〜〜〜〜〜〜!」 小首を傾げながら手に手を取り合った二人の声は、見事にハモっていた。 「ところで、この中にまだ一言もしゃべってへん御仁がおるんやが…」 智子は話題を変えることに成功した。 「あかり、あんたのことよ…」 智子の意図を敏感に察知した志保も、すかさず後押しする。 「え…うん、皆さん、こんにちは、神岸あかりです。よろしくお願いします。 わたしは、ハーティ・レッドをやらさせてもらっています」 と、ハーティ・レッドこと神岸あかりは笑顔で挨拶した。 その場の空気が、のほほんとした平和なものに変わっていく… 「はっ!うちとしたことが、危うく我を忘れるところやったわ」 いち早く自分を取り戻したのは、智子だった。 「神岸さん、あんたはレッド、ハーティスツのリーダーなんやから、 もっと、リーダーらしくビシッと決めてくれへんか?」 「あら、保科さん、今年もよろしくね」 そう言って、微笑むあかり。 「ん…あぁ、今年もよろしゅうな………………はっ!」 「またや!またやってしもた!神岸さんのペースに引き込まれとる!」 智子は、言い知れぬ疲労感に襲われていた。 「はぁ…とりあえず、今日は決めポーズの練習や。ヒーローの基本やからな」 智子は、やる気のなさそうな(約一名を除いて)隊員たちを、V字型陣形に並ばせた。 「ほないくで、まず神岸さんが『愛情戦隊』と言った後、全員で声を揃えて、 『ハーティスツ』と叫ぶんや」 智子が一呼吸した後、パチンと指を鳴らして合図した。 「愛情戦隊!」(あかり) 「ハーティスツ!」(一同) 「ですぅ〜」(マルチ) ドテッ! 智子は、見事にコケた。まさに『腰砕け』を絵に書いたようなコケだった。 智子は思う… (こりゃ、M陣営に寝返ったほうがええかもな…) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 読んでくれてありがとう、えっと…続きません、あしからず。 この文章に登場する団体名、個人名は実在する団体、個人とは一切関係ありま…せん。