『マルチちゃんとセリオちゃん』第3話 投稿者:まさた
注意:このマルセリはいつものノリとは異なります。もし、楽しもうと期待されている方
      がおられましたら、申し訳ありません。


『即興劇場 〜 洗濯機 〜』
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…… 今日、研究所に新しい洗濯機が届きました。
以前のヤツは型も古く、かなり痛んでいたので買い換えたそうです。
今度のヤツは大型なので、一度に沢山の洗濯物が洗えるそうです。
「… それでセリオさん、このボタンがですねぇ 」
「… わぁ、すごいですぅ。こんな機能もあるんですねぇ 」
「… こんなに一度に洗えるなんて、もう幸せですぅ♪ 」
一所懸命にマルチさんが説明してくれるので、私は黙って聞き流していました。
そして私はマルチさんの幸せそうな笑顔を見ながら、別のことを考えていました。
『 何がそんなに面白いのだろうか? 』と。

…… その晩、私は起き出して洗濯機の前に来ました。
楽しそうに洗濯をするマルチさんを見て、私も試してみたくなったのです。
幸いにも洗濯機の隣には、洗い残された作業服が残っています。
(……… 洗濯物 )
私は洗濯物を掴むと、ドサドサドサッと洗濯機の中に放りました。
「…… たしか …… こう 」
あやふやな記憶を辿りながら、洗剤を入れ、スタートのボタンを押しました。
 ジャーーーーーー………―――――――
水が入ると、今度は回り始めます。
 ……… うぃん うぃん ういんういんういん
速度が増してきました。
 ガコン ガコン ガコンガコンガコン ………
そして20分ばかり回り続けたあと、今度は脱水が始まります。
 ズゴゴゴーーーーー………――――――
 … ガタ … ガタ ガタガタガタガタガタ
30分後、洗濯機が静かに止まりました。
私はふたを開けて中身を取り出してみました。
すると、どうでしょう ?
汚れがすっかり落ちた作業服になっているではありませんか。
「……… きれい …」
私は心を奪われました。
「 うふふふ …。これをマルチさんは楽しんでいたのですね 」
私はそう呟くと、その日は残りの洗濯物をすべて洗い上げてしまいました。


…… それから、私の楽しい毎日が始まったのです。

私は学校から戻ると、真っ先に洗濯機に向かうようになりました。
マルチさんや研究員の方々もビックリした様子で私のことを見に来ます。
私のことを調べる研究員の人たちは、釈然といかない顔つきで首を捻ります。
ですが、お手伝いロボットである私が、洗濯をすることのどこがおかしいのでしょうか ?

 ドサドサドサササ ………
 ガコンガコンガコン ……
「… うふふ、きれい 」

 ドサドサドサドサ ………
 ガコンガコンガコン ……
「… うふうふふ、きれい 」


幸せな日々でした。
毎日が充実していました。
ときには鼻歌なんかも歌いました。
”センタ”という名前も付けました。
もちろん、私はいろんなモノを洗いました。


「… このお米を洗って下さいな 」
(…… 洗う )
 ザラザラザラザラ ………
 ガコンガコンガコン ……

「 おい、お皿を洗っておいてくれ 」
(…… 洗う )
 ガラガラガラガラ ………
 ガコンガコンガコン ……

「 あっ、ゆかに味噌汁こぼしちゃったわ 」
(…… 汚れ )
 ベキベキベキベキ ………
 ガコンガコンガコン ……

「 洗車したばかりの俺のボルボちゃんがぁ 」
(…… 汚れ )
 メキメキメキメキ ………
 ガコンガコンガコン ……

「 おかあさぁん、泥だらけになっちゃったよぉ 」
(…… 泥んこ )
 ずりずりずり …… ポイッ
 ガコンガコンガコン ……

「 ううぅ、男の人に汚されてしまったわ 」
(…… 汚れ )
 ドゴ ズズズ …… ドサリ
 ガコンガコンガコン ……


…… しかし、そんな私の幸せは長く続きませんでした。

「 うぉぉぉ、放せぇ。あかりぃ マルチぃ 助けてくれぇ〜〜 」
私が汚れ物を持って戻ってみると、センタの前に長瀬博士が立っていました。
そして、悲しそうな顔をすると、ゆっくりとこう言いました。
「 セリオくん ……。残念なことだが、洗濯機が壊れてしまったよ 」
私は長瀬博士が何を言っているのか、わかりませんでした。
「…… セリオくん。もう、洗濯は出来ないんだ … 」
長瀬博士の言葉に私の体中に衝撃が走りました。
私は汚れ物を放り投げると、センタに走りよりました。
 ポチッ ポチッ ポチッ
ボタンを押してみます。
 バタン バタン バタン
ふたを開け閉めしてみます。
 ガン ガン ガン ガン …
「 止めないか、セリオくん !!」
センタを叩く私の体を博士は押さえました。
そして、悲しそうな声でこう言いました。
「…… もう、止めるんだ 」
私には博士がなぜそんな悲しそに言うのかわかりませんでした。
ですが、その言葉があまりに悲しそうだったので、私の頬に冷たいものが流れました。

…… 翌日、研究所の裏の丘の上にセンタのお墓を作りました。
もちろん、”センタ”という墓標も作りました。
マルチさんも長瀬博士も研究員の方々も、お墓の前で手を合わせました。
『 センタさん。安らかに眠って下さい 』
私は目をつぶり、いつまでもいつまでもセンタに言葉が届くよう、手を合わせていました。



                                                   < 終劇 >
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ま「 うーん、今回はちょっと異色なマルセリになってしまったよ 」
か「 マルセリって言うけど、どこがマルセリなのよ。セリオがメインじゃないの 」
ま「 うん ? マルセリはセリオがメインだからいいのさ。ただ、ギャグものにしている
     つもりだったから、これはちょっと例外になってしまうかもしれない 」
か「 そうなの ?」
ま「 書く前までは、ギャグものの予定だったのだけど、どこで間違ったのか ……」
か「 ま、いいんじゃないの、これでも。次は明るく行けばいいじゃないの ?」
ま「 おお、そうだね。かおりさんもたまには良いこと言うなぁ 」
か「 そう ? って、あれ ??」
ま「 それじゃあ、感想コーナーに行ってみようか 」
か「… なんか、誉められた気がしないんだけど ……」

【【kuramaさま】『「もう一つのToHeart」第三話』
 ついにあかりが行動にでたのですね。つのりに募った切ない思いが、浩之の前ではどの
 ようになるのか楽しみですね。でも、おい浩之、いったいてめえは何をやっとんだ!!
 こんないい子を泣かせやがって。一緒に殴ってやりましょう(笑)

【佐藤昌斗さま】『続痕−ぞく きずあと−第一回』
 悪夢再びですね(笑) しかし、これは予知夢でしょうかね? いや、耕一の夢は疑似
 体験の可能性があるからな …… うーむ。続きが気になりますよぉ、楽しみにしてます。

【坩堝さま】『新世紀マルチエリオン第四話』
 面白いです(笑) 志保との漫才やCMのTVシッピングなんてのも笑えましたけど、
 マルチの欠陥があかりとの関係を保つためのものってのが、凄く上手くできているなぁ
 と思いました。そして、その取りまとめを行う浩之の決断も素晴らしかったです。
 続き楽しみにしています(笑)

【ジン・ジャザムさま】『スーパーLEAF大戦・第16話』
 こうして改めて読み直してみると、本当に凄いですね(笑) ホント大戦になってます(笑)
 第17話も楽しみにしてます。

ま「 ちょっち、今日はここまでにしておいて(^^;)
か「 なんでぇ? まだあるじゃないの ?」
ま「 次に必ずやるからさ 」
か「 もう、しょうがないわねぇ 」
ま「 あははは。それでは、またよろしくぅ 」
か「 またね 」

http://www.asahi-net.or.jp/~iz7m-ymd/leaf/masata.htm