マルチちゃんとセリオちゃん 投稿者:まさた
『即興劇場〜夏祭〜』
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夏の風物詩、祭り。
 神社などで神仏などを供養し祈願する催しのこと。
 通常、境内では神楽舞台を中心に、にぎやかな祭囃子の笛・太鼓が聞こえる。
 また、テキヤが屋台としてはびこり、醤油たれの香ばしいトウキビ、小麦粉のたっ
 ぷりの半熟お好み焼き、TVキャラクターのビニールに入ったふわふわのわた飴、
 などが売られるそうである。



 夜の神社の境内を歩く影が2つ。
 二人は、共に浴衣が似合う女の子。
 緑の浴衣の似合う子はマルチ。
 藍の浴衣の似合う子はセリオと言う。

「セリオさん、セリオさん。見て下さい、あれあれ!」
 マルチの指差す方向に首を向けるセリオ。
「わぁ、きれいですねぇ、セリオさん」
「……そうですね…」
 二人は再び歩き始めた。

「セリオさん、セリオさん。見て下さい、あれあれ!」
 マルチの指差す方向に首を向けるセリオ。
「わぁ、すごいですねぇ、セリオさん」
「……そうですね…」
 二人はまた再び歩き始めた。


「セリオさん、楽しいですねぇ」
「……そうですね…」
「面白いですぇ、お祭りって」
「……そうですね…」
「ああ、見てください!」
 マルチの指差す方向に首を向けるセリオ。
「あのヌイグルミ。可愛いですねぇ」
「……そうですね…」
「本当に可愛いですねぇ」
「…………」
「いいですねぇ。可愛いですねぇ」
「…マルチさん。あのクマのヌイグルミが欲しいのですか?」
「え? どうしてわかるんですか、セリオさん!」
 目をぱちくりさせてセリオを見るマルチ。
「…………」
「さすが、セリオさんですね。ハイ、あのヌイグルミとっても欲しいですぅ」
「…そうですか。それなら、取ってきてあげましょう」
「ええ? 大丈夫なんですか、セリオさん?」
「…あれは『射的』というもので、打ち落とした景品がもらえるゲームなのです」
「わぁ、さすが物知りですねぇ」
 マルチは胸の手前でポンと手を叩く。

 セリオはそう言うと、屋台の前まで来るとおこずかいの300円を払った。
 そしてセリオは、射的の線一杯まで踏み出すと、狙いを定めた。


『……ターゲット、ロックオン!』
『……安全装置、解除…』

『…発射!!』

 ズガガガガガガカガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガッッッッッーーーーーーー!!!!!!!!!!

 セリオの左手にはM88自動小銃が内臓されている。
 それが、容赦無しに景品たちを蜂の巣にしていく。

 チュン  チュン  チュン!
 ベキッ バキッ! 
 バス バス バス!!

 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッッッーーー
 ーーーーー…………カチッ、カチッ、カチッ、カチッ………

『……ピピピ……装弾切れ…』
『……ウェイポン・チェンジ…』
『……自動小型追尾ミサイル…』

 ばしゅばしゅばしゅばしゅ

 迅速に切り替わる、肩からのミサイル攻撃。

 …………ーーーーーぃぃぃぃぃぃいいいんんん

 どぐぁぁぁああああぁぁんんん!!!
 ごがががぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!

「うわ、うわわわわわぁぁぁぁぁぁ!!」
「ひぇぇぇぇぇええええええぇぇっっっ!!!」
「キャャアアアアァァァァァァァッッッッ!!!」

 どうやら、近くにいた人が、巻き添えをくらったみたいだ。
 でも、そんなことはセリオには関係ないみたいだ。

 ぱしゅぱしゅぱしゅぱしゅ

 ごごごぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんん!!!
 がごがぁぁぁぁあああぁぁぁんんんっっっっ!!!

 ぱしゅぱしゅぱしゅぱしゅ

 ずごごぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉんんん!!!
 ぐがががぁぁぁあああぁぁんんん!!!
 
 ぱしゅぱしゅぱしゅぱしゅ

 …………

 .
 .
 .

『…ターゲットへの攻撃終了!!』

 ぷしゅうううぅぅぅぅぅっっっーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!


 10分後、戦闘態勢を解除したセリオ。
 そして、ゆっくりと屋台のあんちゃんに近づく。

「……クマのヌイグルミ……下さい…」

 セリオは、累々とした景品の屍・屋台の残骸を指差した。



                                               < 終わり >
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 ……失礼しました、落ち無しです(汗)
 これってDセリオですね、スミマセン。
 気を取り直して、もう一本載せます。


『即興劇場〜お芝居〜』
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「浩之さーーん!」

振り返る俺の前に、制服姿のマルチとセリオがいた。
どうやらバスの来るのを待っているようだ。

「よう、これから帰りか?」
「ハイ。そうだ、浩之さん、私たちの芸を見てくれませんか?」
「芸?」
「ハイ。今度、近くの保育園に呼ばれて、お芝居をすることになったんです」
「へええ、そうなんだ。いいよ、やってみせてくれよ」
「ハイ。それでは…」


マルチ「…越後屋。おまえも、なかなかの悪よのう?」
セリオ「…いえいえ、お奉行様こそ、なかなかの悪党で…」
マルチ「…ふっふっふ」(ニヤリ)
セリオ「…へっへっへ」(ニヤリ)
二人  『わっはっはっは』


「……………」
「いかかですか、浩之さん?」
「…あ、いや、な…」 
「浩之さん、まだあるんですよ」
「…お、おお。そうなんだ…」
「ハイ。見てて下さいね」


セリオ「…いけません、お奉行様…」
マルチ「…ふっふっふ。いいではないか、のう?」
セリオ「…だめです。私には亭主も子供もいるのです…」
マルチ「…いいではないか。わしはもう我慢できんのじゃ…ほれ」
  セリオの胸をまさぐるマルチ。
セリオ「…ああ。いやです、止めて下さい…」
マルチ「…へっへへ。いやよいやよもすきのうち、いうではないか、のう?」
セリオ「…ああ、あなた…。…あれぇぇぇ…」


「……………」
「どうですか、浩之さん?」
「……………」
「実は、まだあるんですよ。見てて下さいね」


  羽織りを頭にかぶるセリオ。
マルチ「…きさま! 何者だ!!」
セリオ「…一つ、人の世の生き血をすすり…」
マルチ「…ええい、出合え、出合え!」
セリオ「…二つ、不埒な悪行三昧…」
マルチ「…者ども、こヤツを切り捨ててしまえ!」
セリオ「…三つ、醜い浮き世の鬼を退治てくれよう、桃太郎!!」
  ババッと羽織りを投げ捨てる。


「……………」
「いかがですか、浩之さん?」
「……あ、あのなぁ…」
「実は、まだあるんですよ」
「…いや、ちょっと…」
「見てて下さいね」
(…誰だ、二人にこんな芸を教え込んだのは…)

 .
 .
 .

その後、二人の芸は終バスになるまで続いたという………



                                                 < 終わり >
==================================
 ……二重に失礼しました(大汗)
 マルチファンの方、セリオファンの方、ごめんなさい。
 あぅ、脳死した方がおられたら、申し訳ありません……。


 それでは、溜まっている残りの感想です。


【風見ひなたさん】『ETERNAL GUILT』
 参りました。読み終えて体が震えました。正直、あそこまで世界が拡張され
 ていくとは思いませんでした。こんなところでSSとして載っているのが
 もったいないです。『B・B』を通して、一本の物語としてリーフに送り付け
 るべきです。
「見るがいい、あれを!あれこそが、私の命の炎だ!
  やはり、思った通り…。私の炎は何よりも…美しい!!」
「梓母さん…あなたの償いは、今終わった!」
 くううぅぅ、痺れまくります。しばらくは、余韻に浸らせて下さい(笑)

【セリスさん】『卒業式』
 浩之くんにとって、これは終わりを意味するのでしょうか? いえ、きっと
 始まりを意味するのでしょうね。…当たり前だった日常に変化が生まれる。
 それは、出会い、別れ、巡り合いの一時的なセッションでしかない。そう
 することによって、人は前へと歩む。…綺麗なお話でした。

【dyeさん】『伯牙絶絃−hakugaZetugen−』
 考える作品でした。私は好きで小話を書き投稿していますが、同時に、相手
 の物語を良く聞いているのか、と。私自身は、良く聞こえるよう努力してい
 るつもりです。ですが、それが本当の鍾子期であるかというと、自信があり
 ません。ただ、そうありたいと、常日頃から願っています。
 マルチとセリオの関係は、私も伯牙絶絃の関係が適していると思います。
 いえ、もしかしたら、そうあって欲しいと願っているのかも知れません。

【久々野彰さん】『Lメモ超外伝の外伝(運命の決戦編)』
 この『自虐の歌』って、一回聞いて見たいんですよね(笑) 私はどんなもの
 か知らないもので…。きっと、最後のボスキャラ並みの扱いを受けている
 から、よほど心して立ち向かわないと、きっと再起不能にされてしまうの
 だろうと思う(汗) 機会があったら、一度、聞かせて下さい。お願いします。

【健やかさん】『SS戦隊”サクシャマン”』
 おおう?? 最後に何だか緊迫した展開に?? これは最後の大決戦が控えて
 いるのでは??? ふと思ったのですが、全員集まると、いったいどんな大技
 が出るのでしょうか? 全員でまさか「自虐の歌」のコーラス、とか??

【ゆきさん】『ゆきの独り言』
 私も思ったことがあるのですが、ここに書いてある作品を、本人(初音ちゃ
 んたちのこと)が読んだら、何と言うのでしょうね? 笑うか、怒るか、何も
 言わないか? きっと、何も言わずに、10tトラックを突っ込ませるでしょ
 うね(笑) テストご苦労様です。また、楽しいSSを心待ちにしてます。

【へーのき=つかささん】『Lメモ へーのき番外編2』
 Dシリーズですか……。こないなもん作りよってからに、なんかやましい
 こと考えとんのとちゃうん?(笑) でも、これだけの武装兵器を開発して
 いるとは、おそるべし!! ちなみに、マッドサイエンティストの柳川が
 大好きです(笑)

【カレルレンさん】『あの 素晴らしい愛を もう一度』
 美しい話ですが、悲しい話でもありました。おじいさんの幸せな世界は夢の
 世界。過去の過ちをやり直せると信じて、現実から逃避している世界です。
 それを見た楓ちゃんは、おそらく自分の姿を投影したのでしょうね。耕一君
 が来たら、いっぱい甘えさせてあげたいです。

【ハイドラントさん】『ハイドラントの執筆日記 第一回』
 痛いほどわかります、この気持ち(笑) 書けないときって書けないですから
 ね。ラグナレクの祝福ですか? これは楽しみにしておいてもいいんでしょう
 かね?(笑)

【Foolさん】『狩猟鬼生棲息都市タカヤマ』
 すみません、リズムがわからないですぅ。でも、この歌詞は笑いました(笑)
 そういえば、友人に『痕』を紹介したときに、「どんなゲーム」と尋ねられた
 ので「主人公の呪われた血族がくり起こす悲劇のホラー」といいました。
 その時に、この歌を歌ってあげれば良かったです(笑)