歌劇:シンデレラ『痕偏』 脚本/監督:まさた 『第2幕:舞踏会』 ↑ 間違いです。本当は『第2幕:魔法』です。 by 初音 ―――――――――――――――――――――――――――――― : 語部/初音 :「…日が暮れだし、辺りは暗く染まり始めました。 :今日はお城で楽しい舞踏会があります。街の娘達は、 :みんなお城に踊りに行きました。しかし、シンデレ :ラは一人、家の中にいました…」 : : :<シンデレラ登場。舞台中央ですすり泣く> : : シンデ/耕一:「……しくしく……今日は、お城で舞踏会があるの。 :でもね、私にはお城に着て行くドレスが無いのよ… :……しくしくしく……」 : 語部/初音 :(……お兄ちゃん、雰囲気出てきたね…) シンデ/耕一:(………もうヤケクソだけどね、ははは……) 語部/初音 :(…うんうん、お兄ちゃん、うまい上手い!) : シンデ/耕一:「……しくしく……ドレスがあれば舞踏会に行ける :のに……しくしく……ドレスがあれば舞踏会に行け :るのに……」 : 語部/初音 :「…シンデレラが悲しみに暮れている時です。ふと、 :シンデレラが夜空を見上げると、一筋の流れ星が見 :えました」 : シンデ/耕一:「あっ!あれは、流れ星!! 流れ星に願いを言うと、 :願い事が叶うのよっ!! それぇっ、神様、仏様、 :下川直哉様!…どうか、私に素敵なドレスを下さい :ませぇっ!!」 : 語部/初音 :「…そうやって、シンデレラは星にお祈りをしまし :た。すると、どうでしょう。星は流れる方向を変え :てシンデレラの部屋に飛び込んで来ると、人の姿に :変身しました」 : : :<魔女登場。シンデレラに近づく> : : シンデ/耕一:「あっ、あなたは誰?」 魔女/かおり:「…………」 シンデ/耕一:「…………」 魔女/かおり:「…………」 シンデ/耕一:「あっ、あなたは誰?」 魔女/かおり:「…………」 シンデ/耕一:「…………」 魔女/かおり:「…………」 : シンデ/耕一:(…ちょっと、かおりちゃん。セリフだよ) 魔女/かおり:(…………) シンデ/耕一:(…かおりちゃんってば…) : 魔女/かおり:「やだっ!近寄らないでっ!!この変態男!!」 シンデ/耕一:「……変態…お…おとこ??」 魔女/かおり:「やぁぁっぱりぃ!!顔も頭も変だとは思っていた :けど、まさかオ○マで女装趣味があったなんてっ! :ここまで変質者だったとは思わなかったわ!!」 シンデ/耕一:「あ、あのなぁ!俺だって、好きでやっているワケ :じゃあないん…」 魔女/かおり:「好きでやっているなんて、もぉうぅ、救いようが :無いわね。ああぁ、愛しの梓お姉さまが、こんなオ :カ○野郎と一緒に、一つ屋根の下で暮らしているの :かと考えると、身の毛がよだつ思いだわ……」 シンデ/耕一:「お、お前なあぁ…」 魔女/かおり:「近寄らないで、このダニ、毛虫、ハエ、ゴキブリ! :そこから一歩でも近づいたら、新聞・雑誌社にアン :タのことで怪文章を流すわよ!!」 シンデ/耕一:「か…怪文章?? ちょ、ちょっとかおりちゃん、こ :れはお芝居なんだから、もうちょっと……」 魔女/かおり:「ああああああっ!! 私に近づいたわね! 女だと :思ってナメているのねっ!! いいわよ、見ていら :っしゃい!!!」 : : :<魔女、魔法のPHSを取り出しかける> : : : ピ・ポ・パ・ピ・ポ…… : …トゥルルル……トゥルルル……カシャッ : 声 :『…ハイ、こちら株式会社『リーフ』の高橋でござ :いますっ!』 魔女/かおり:「グッヘッヘ、リーフさんかい? ちぃと、おたくの :大切なタレントのことで、いい相談があるだがな… :グッヘヘッ……」 声 :『えっ!! う、ウチのタレントが、な、何かご迷惑 :をおかけしましたで、し、しょうか!?』 魔女/かおり:「いやぁ、迷惑とは少しちゃうんだけどなあぁぁ。 :グヘッ、おたくの柏木耕一っつうアンちゃんの、ち :ぃぃぃとばっかり人様に言えねぇ趣味について…」 : : ブチッ!! : 魔女/かおり:「……って、なにすんのよっ!! 人の電話を勝手に :切るなんてっ! この変態男!!」 シンデ/耕一:「…ぜぇぇぇ…はぁぁぁ…ぜぇぇぇ…はぁぁぁ……。 :…って、なんてことすんだ!このアマッ!!」 魔女/かおり:「『はぁ、はぁ』しちゃって、気持ち悪いわね!こん :なところで発情しないでよっ!」 シンデ/耕一:「俺は発情なんて、し・て・い・な・い!!」 魔女/かおり:「うるさいわね。それに、私のことを『アマ』なん :て呼ばないでちょうだい。これからは、『可愛らし :くて美しい、かおり女王さま』と呼びなさいな!」 シンデ/耕一:「な、なんでテメーを、そんな風に呼ばなきゃいけ :ないんだ!!」 魔女/かおり:「…あぁら、そぉう??」 : : :<魔女、再び魔法のPHSをかける> : : : ピ・ポ・パ・ピ・ポ…… : …トゥルルル……トゥルルル……カシャッ : 声 :『…ハイ、こちらアイドル雑誌『芸能リーフ』広報 :の中上です!』 魔女/かおり:「あ、あのぅ、きゃぴっ! 実はぁ、タレントの柏木 :耕一さんの人には言えない趣味についてぇ、情報が :あるんですけどもぅ、きゃぴきゃぴっ!!」 声 :『えぇっ? 柏木耕一、ですか? あっははは、冗談 :でしょう? そんな三流役者の情報なんか、書いて :も売れませんよぉ、あっはっは』 魔女/かおり:「あ、やっぱりぃ、そうなんですかぁあ?」 声 :『そうそう。それより、森川由綺ちゃんの情報とか、 :無いかなぁ? それだったら、高く買うんだけど?』 魔女/かおり:「ゴメンなさぁい。由綺ちゃんの情報は無いのぉう」 声 :『ああ、そうか。それじゃあ、またいい情報あった :ら、電話してね』 魔女/かおり:「はぁい。それじゃあ、またヨロシクお願いしまー :す……」 : : プチッ : 魔女/かおり:「…………チッ! 柏木耕一はもう売れないのね」 シンデ/耕一:「(………なわ……)」 魔女/かおり:「まったく、1円にもならないなんて。電話代損し :ちゃったわ」 シンデ/耕一:「(……なわ…なわ……)」 魔女/かおり:「いつまでも、こんなヤツ相手にしていても仕方が :ないわね。……響子さぁん、響子さぁぁん!」 : : :<馬車登場。シンデレラたちに近づく> : : 馬車/響子 :「はぁい、かおりちゃん。やっと、私の出番なのね?」 魔女/かおり:「響子さん。ごめんなさい、遅くなっちゃってぇ」 シンデ/耕一:「(……なわなわ……)」 馬車/響子 :「本当に、待ちくたびれちゃったわ。それに、私の :出番ってココだけでしょう?このキャスティングっ :て不当に不平等さを感じない?」 魔女/かおり:「そうですよね。私もこんな似合わない役柄を押し :付けられたんで、あわふたしちゃいました」 シンデ/耕一:「(…なわなわ…なわなわ…)」 馬車/響子 :「もう、こんなつまんないことで、いちいち呼び出 :さないで欲しいわよね。私だって、いろいろと忙し :いんだから。……さあ、行こう、耕一君」 魔女/かおり:「ほら、変態男。そんなところで突っ立ってないで、 :早くあっちに行ってちょうだい。シッシッ」 シンデ/耕一:「……ふ…ふ…ふざけんなぁぁぁぁぁっっっ!!! :このアマァァッッ!! ぶっ殺してやるっっ!!」 : : ブチッ! : ぷしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ : ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ : バタッ !! : どくどくどくどく…… : 語部/初音 :「お、お兄ちゃんっっっ!!!」 魔女/かおり:「あらららら。血管切れてぶっ倒れちゃいましたね」 馬車/響子 :「もぉう、耕一君。そんなところで寝ないでよぅ」 シンデ/耕一:「…………」 語部/初音 :「お兄ちゃん!しっかりして、お兄ちゃん!!」 馬車/響子 :「まったく。耕一君、あんまり迷惑かけないでよね :ぇ、もう」 : : ガシッ : ずりずりずりずりずり……… : : :<馬車。シンデレラを引きずりながら退場> : : 魔女/かおり:「ホント、男って面倒でイヤね」 : : :<魔女退場> : : 語部/初音 :「…………」 語部/初音 :「……え……えっと……」 語部/初音 :「……あ…あのぅ……あっ!!」 語部/初音 :「こ、こうして、シンデレラの願いは、優しい魔女 :によって叶いました。そして、素敵なドレスを身に :着けたシンデレラは、カボチャの馬車に乗って、お :城へと向かって行きました……」 語部/初音 :「……な、なお、役者さんが貧血のため倒れてしま :いましたので、ここで小休憩を取らせて頂きます。 :これで、第2幕『舞踏会』は……」 : 語部/初音 :(…え? 『舞踏会』は終わってないんですか!?) 語部/初音 :(……え、えーと……) : : パタパタパタ…… : : ……かきかきかきかき…… : : ……パタパタパタ : : :<語部、勝手にタイトルを変更する> : : 語部/初音 :「……えっと、これで、第2幕『魔法』を終わりに :させて頂きます。次回、第3幕『舞踏会』は、しば :らく休憩の後、開幕させて頂きます。それでは皆様、 :お疲れのところ、どうもありがとうございました」 : : シンデ/耕一:「……誰か…助けて……」 : : :<フェードアウト> : ―――――――――――――――――――――――――――――― <キャスト> シンデレラ―――柏木耕一 魔女――――――日吉かおり 馬車――――――相田響子 語部――――――柏木初音 脚本/監督―――まさた 提供――――――leaf(大うそ) ============================== 初めまして、皆様。 まさたと言います。 つい最近リーフさんを知ったばかりの新米です。 でも、リーフさんのVisualNovelって 面白いものですから、ふと気が付いたら、こんな ところまで来ていました(笑) 不精者ですが、なにかとよろしくお願いします。 しかし、皆さん文章力がある方ばかりなので、 恥ずかしいです(汗) 【ARMさん】 力作ですね。志保ちゃんの切なさがじんわりと 心に染み入る感じがしました。特に、「なのに、 両目から止めどなくこぼれるこの涙の理由が、 どうしても理解できなかった。」というところが、 好きです。これからも、見せて下さいね。 【OLHさん】 これ、好きです(笑) 琴音ちゃんらしさが、 とても可愛らしくてGOODです。プリント アウトしておきました。 【アルルさん】 楓ちゃんがいじらしくていいですね。本編では 思いつめてしまって自閉症になっているので、 こういった側面が描かれていると、ほっとします。 ちなみに、シンデレラの王子さま役は、お約束 ですね、やっぱり(笑) 【カレルレンさん】 あははは、王子さまは………わかりますよね。