AC/Leaf Mission 4:旧世紀施設調査 〜甘い依頼にゃ罠がある?〜 投稿者:刃霧星椰 投稿日:7月17日(月)01時11分
ドォ〜ン!
ズガァァァン!
「でぇぇい!なんでこんな仕掛けがあるんだ〜!」
<――まさか、旧世紀のトラップがここまで生きていたとは思いませんでした>
「んなこと、誰も想像しねぇって!セリオ!どうにかならんのか?」
背後に迫る爆音から一刻も早く逃げ出すため、HiroのGrunblattと、もう一機の逆関節機体が
ブースターを全力で噴かし、ダッシュしていた。
<――いえ、発動してしまった以上、どうにもなりません>
『藤田くん、前方に反応あり……マーカーは50機……60機……まだまだ増えるよ、どうしよう〜?』
「理緒ちゃん、諦めるな!なんとかなる!」
『でも、こんなに相手したら弾切れしちゃうよ〜(;;)』
理緒の泣きそうな声に、Hiroは舌打ちした。
「だぁぁぁ!なんでこんな事になったんだ〜〜〜〜!」
そう言いながらもマシンガンの連射で的確にクルセイダーを打ち抜いていく。
こちらの残弾はまだまだ大丈夫であるが、併走する理緒の「アルバイター(勤労者)」の弾薬は半分を切っ
ている。
「セリオ、状況報告!」
<――残りはあと5分、シャフト頂上部まで、計算によると2分半、シャフトから入口まで1分、かなりギ
 リギリです。ちなみに、その場所からシャフトまで1分です>
「よし、これから20秒間、俺のレーザーキャノンとアルバイターのチェーンガンで前方の敵を掃討、後に
 ハンドウェポンで進路の妨げとなる敵を掃討しつつシャフトへ向かう!後からの攻撃はこの際無視だ、い
 いな、理緒ちゃん?」
『り、了解!』
セキュリティメカのマシンガンがコクピットを叩く音を聞きながら、Hiro達は血路を開くためにキャノ
ンを構えた。


ARMORED CORE Featuring Leaf

Mission 4:旧世紀施設調査 〜甘い依頼にゃ罠がある?〜


それは、珍しく浩之がナーヴで拾ってきた一つの依頼から始まった。
「ふーん、これで報酬50000コームか……うまい話だが……」
内容の割に報酬が高すぎる。
旧世紀の施設の最深部にあるメインコンピューターからデータを回収してくること。
それが依頼の内容だった。
依頼主は、「古典文化復興委員会」。
あまり聞かない名だが、これだけの報酬を用意できる組織なら、どういう組織なのかも調べられるだろう。
しかし、この手の依頼なら、相場は25000〜35000というところだ。
明らかに報酬が多い。
前に行われた調査で、施設のセキュリティは停止していることがわかっている。
「なんか、後ろめたいことでもあるのか?」
回収するデータがやばいものなのか、それとも何か理由があるのか。
「まぁ、悪い内容じゃないよな……やばけりゃ、さっさと逃げればいいし」
などとお気楽に考えている。
すでに一人、レイブンが依頼に応じているらしい。
そのレイブンと協力しろ、ということであった。
「ふ〜ん、古典文化復興委員会ねぇ……」
「どわぁ!?」
突然背後から聞こえた声に驚いて振り向く。
「ハァイ、お久しぶり♪」
「なんだ、お前かよ……何の用だ」
志保だった。
後から端末をのぞき込んでいる。
「あら、せっかくこの美少女アイドルが会いに来てあげたっていうのに、ご挨拶ねぇ」
「……いい加減美少女っていうの、やめろ。もう二十歳すぎて……」
「おだまり!」
ぺし、と、どこからか取り出したハリセンで叩かれる。
「いいのよ、まだ通じるんだから!」
「そーいう問題じゃねーっつー気もするが……で、何しに来た?」
「アリーナの実況の休憩時間なのよ。で、あたし宛のメールの確認に来たらあんたがいた、ってわけ」
「ふ〜ん、そうか……って、待て、この端末はレイブンやら関係者じゃないと使えないはずだぞ!?部屋の
 ロックパスだって……」
「へへ〜ん、これな〜んだ?」
志保の手にあるのは、Hiro達契約レイブンに渡されているのと同じカードキーだった。
「芹香さんに頼んで発行してもらちゃった♪」
「…………」
浩之は無言で頭を抱えた。
(いくら知り合いだからって、レイブンでもない奴にカード渡すのはどうかと思うよ、先輩……)
「というわけだから、あたしがここにいてもなんの不思議もないわけ。おわかり?」
「はいはい……で、お前、この組織について何か知ってるのか?」
「ん〜、そうねぇ……」
机にひじをついて、組んだ手の甲に顎を載せ、志保は目を閉じて考えている。
「知ってるのは、大破壊以前の映像や音楽を主に集めてるってことと、こいつらの依頼って、どれも難易度
 のわりに高報酬、金払いもいいってこと、それと、妙な噂は一切ないってことね。どこの誰が所属してる
 とか、そう言うのは調べてみないとわかんないわね……」
「そうか……」
「で、その依頼、受けるの?」
「ああ、特に変な組織でもないみたいだから、受けることにしようかと思う」
浩之はそう言うと、依頼を受けるというメールを送ると、システムからログアウトした。
「あ、そうそう、その依頼を受けた、もう一人のレイブンなんだけど……」
「知ってるのか?」
「うん……雛山さんらしいよ、どうも……」
「…………」
「…………」
「…………大丈夫か?」
「さぁ……ま、あんたがしっかりサポートしてやれば?」
志保はそう言うと、端末から出ていく。
「あ、そうだ、志保!」
「なによ?」
呼び止められて振り返る。
「……お前の趣味をどうこういう気はないけどな、あんまり危ない真似はすんじゃねーぞ」
志保の趣味……それは情報収集。
高校時代の噂好きから考えると、進歩したというか、エスカレートしたというか……。
ただ、目的のためにハッキングまがいのことまでしているのを、浩之は心配していた。
「わかってるわよ……じゃね!」
手をひらひらと振って、志保は今度こそ出ていく。
「……さて、それじゃあかり達を迎えに行くかね」
そして、数階下のショッピングセンターにいるであろう、あかり、マルチ、セリオの元へと向かった。


「え、雛山さんもレイブンやってるの?」
「なんだ、あかり、知らなかったのか?」
理緒と組んで仕事をすることになったことを告げると、あかりが意外そうな顔をした。
「そうなんだ……」
「なんか、主に予算限定戦で稼いでるんだと」
「へぇ〜」
よいしょ、と買い物袋を抱え直すあかり。
「と、そうだ、今夜の飯はなんだ?」
「え〜っとですねぇ、ビーフシチューと、温野菜のサラダと、ガーリックライスです〜」
答えたのはマルチだった。
袋をいくつか抱えてよたよたしている。
「そっか〜、そりゃ楽しみだな……っと、マルチ、それかせよ」
そう言って、浩之は一番大きな方の袋をひょい、とマルチから取り上げた。
「はわわ、そんな、浩之さんに悪いです〜」
「いいっていいって、気にするなよ」
「はぅ〜……ありがとうございます」
「――そういえば、さきほど長瀬主任にお会いしました」
セリオがタイミングを見計らって浩之に話しかけた。
「――あとで研究室に来て欲しいそうです……私と一緒に」
「おっさんが?何の用だ?まさか、セリオを返せ、とか……」
「――その可能性はないと思われます」
心配げにセリオを見た浩之を安心させるように言った。
「なにかのシステムの試験をする、とのことでした」
「そうか……後で行ってみよう」
「――了解しました」
「それじゃ、お夕飯の支度までには帰ってきてね、セリオちゃん、浩之ちゃん」
「だから、ちゃん付けはやめろって……」
にこにこと言うあかりに、浩之は半分あきらめの境地で突っ込んだ。


来栖川電工HM開発課第七研究室、通称第7ラボ。
HMシリーズの「ふるさと」であり、また現存する数少ない「大破壊以前の技術」を復元している場所。
その場所に、浩之とセリオはいた。
「セリオを?ACとリンクさせる?」
「そうだ」
その部屋にいるのは――セリオも人として数えれば――三人だった。
浩之、セリオ、長瀬源五郎である。
「セリオには本来、サテライトサービスというシステムが搭載されていた。しかし、今の技術ではそれに用
 いる衛星を開発し、打ち上げるだけの余力はない。そこで、我々はその通信システムのノウハウを生かし
 てセリオにあるシステムを組み込んだ……とはいっても、プログラムにすぎないがね」
「それが、リンクシステム……?」
セリオと浩之が長瀬主任に呼ばれた理由――それがACとHMをリンクさせるという、リンクシステムにつ
いての説明を受けるためだった。
ACのコンピュータによる情報処理を、セリオに搭載された高性能コンピュータで代替させる、というので
ある。
ちなみにマルチには通信デヴァイスが装備されていない上、感情システムの制御や処理に膨大な能力を必要
とするため、開発初期段階でこのシステムの搭載は無理と判断されている。
「これにより、従来のACよりも柔軟な対応やより細かい分析が出来るようになるはずなんだ」
「それで、セリオを戦場に駆り出せ、というのか?」
源五郎見る浩之のその瞳には、避難の色と微かな怒りが浮かんでいた。
「いや……ACにセリオを載せるスペースはないからね。あくまで作戦領域外からのオペレートになるよ。
 直接彼女を戦場に駆り出す必要はない」
「でも、それでもセリオを……メイドロボたちを巻き込むことになるのは変わりないだろ!」
「――浩之さん、私はかまいません」
「セリオ?」
今まで黙っていたセリオが、不意に発言した。
「――私達は、人の役に立つために生まれてきたのですから」
「そうじゃない、俺が言いたいのは……」
もどかしげにセリオを止めようとする浩之の言葉を、源五郎が遮った。
「まぁ、このシステムは市販されないよ……それなりの設備が必要になることがわかってるからね。今回は
 ただのテスト、ということになってる」
「え?」
「私だって娘達を戦場に送るなんて事はしたくないさ……だから、上には、このシステムの運営と維持には
 莫大な費用がかかる、と進言しておいたよ」
そう言ってにやりと笑う源五郎。
「おっさん……それじゃ……」
「まぁ、嘘は言ってないよ。実際、そのための補助装置やらなんやらで、一般のレイブンが買えるような額
 じゃなくなっちゃうからね。ただ、上を納得させるためには一応のデータが必要なんだ。頼む、協力して
 くれないかね?」
「…………わかったよ……でも、これっきりだぜ?」
源五郎の、娘を思う親心に負けたのか、浩之も渋々了解した。
「すまないな……」
娘と、その友人であり、マスターであり、家族である青年に対し、源五郎は頭を下げた。


<――セキュリティは現在も休眠していることは間違いないようです>
Grunblattから延びたコネクタを通して、旧世紀施設の入口近くにある端末からシステムをチェッ
クしたセリオは、そう告げた。
「そっか……よし、理緒ちゃん、作戦開始だ!」
『了解!藤田くん、よろしくね!』
二人はそれぞれのACを施設内の奥へと進ませる。
セリオは、施設から少し離れた場所にある、来栖川のトレーラーの中にいる。
そこでリンクシステムをオペレートしているのだ。
源五郎や浩之の両親もその中で作業に関わっている。
<――先ほど入手した施設内のエリアマップを転送します>
「了解、ナビゲートも頼むぞ」
<――了解しました>
『藤田くん、こっちにもちょうだい……』
「わかった。セリオ?」
<――グルン・ブラットの回線を通し、アルバイターにマップを転送します>
セリオの声がグルン・ブラットのコクピットに響く。
理緒のAC、アルバイターは、逆関節に標準コア、T字レーダー頭、武器腕の二連マシンガン、四連装ミサ
イルポッドにチェーンガンという、シンプル&安い構成である。
ジェネレータも最軽量で低出力のものを使用しているが、必要なエネルギーが低いため、回復量などは浩之
のグルン・ブラットに引けを取らない。
また、ブースターに最も効率のいいBT−2を用いることで、長時間の機動回避を実現している。
値段の割によく考えられた、使い方次第で戦える機体である。
そして、総価格が安いことにより、予算限定戦のようなイベント戦にも参加が可能となっている。
有り体に言ってしまうと『貧乏』という彼女にとって、この機体は願ったり叶ったりである。
それはさておき、浩之――Hiroはコクピットでふと言葉を発した。
「なんかさ、こうしてセリオと話ができる、ってのも、不思議だよな……」
<――そうですか?>
しみじみという浩之に、セリオは疑問形で返した。
「ああ。今までは、俺が体験した依頼のことなんかを、セリオに言葉で伝えるだけだったろ?このシステム
 なら、セリオも同じ体験が出来る……これが普及しちまったらセリオが戦いに巻き込まれるかもしれない
 っていうのに、それは嫌なはずなのに、なんだか、こう、嬉しいというか、楽しいというか、安心すると
 いうか……」
『あ、藤田くん、恥ずかしいこと言ってる……』
「う、うるさい!」
<――私も、なんだか嬉しいです……浩之さんがお仕事でどういうことをなさっているのかが、自分の身で
 体験できますから>
このとき、浩之がセリオの顔を見ていたら、その場で思わず抱きしめるかなでなでするかしてしまっていた
だろう。
それほど輝くばかりの美しい表情をしていた、と、後に源五郎と藤田夫妻は語っている。
しかし、それでも今は仕事中なわけで……
<――前方200にエレベーターです。AC2機ならば、十分に積載可能です>
セリオの言葉通り、しばらくするとエレベーターが見えてきた。
グルン・ブラットの指先からコネクタが伸び、それを通してセリオがシステムにアクセス。
エレベータを稼働状態にした。
『これからのルートはどうなってるの?』
<――エレベーターを3度乗り継いで、最下層に到達します。その後、階層中央部のセンターシステムから
 データを回収します>
理緒の問いに答えたセリオに、今度はHiroが質問する。
「なぁ、直接最下層まで下りる方法はないのか?」
<――エレベータホールからさらに先に行ったところに、最下層まで通じるシャフトが存在します>
マップがパネルに表示され、シャフトの存在がマーカーの点滅で示されている。
<――これを使えば可能ですが、そのシャフトに出るためのロックはセンターシステムからしか操作できな
 い構造になっています>
「そっか……帰りには使えないか?」
<――足場が非常に少ないですから、あまりお勧めできません>
「了解。地道に行きますか」
『お金貯めるには、地道に働くのが一番だよ!』
「だな」
実感のこもった、経験に基づく理緒の言葉にHiroは頷いた。


数階層下りるごとにエレベーターを乗り継いで、最下層を目指す。
敵対するものの出現もなく、順調に進み、一時間もかからずに最下層に到達した。
『この中に、目的のものがあるんだね……』
「ああ……」
ほとんどミッションに出ない理緒にとって、「任務達成」はある種の感動となっているようだ。
「セリオ、ゲートのロックを解除だ」
<――了解、コネクタの接続を確認……パスワードの提示を求められました>
「うーん、依頼書にパスワードなんてなかったよな?」
『たぶん、なかったと思う……』
<――クラックにより通過できますが、どうしますか?>
「しゃーない、頼む」
Hiroの返答と共に、コクピット内のデータパネル上を膨大な量の数字とコードの羅列がスクロールして
いく。
十数秒それが続いた後、ある文字列が表示された。
「……『SNOW WHITE』?」
『なに、それ?』
「さぁな。セリオ?」
<――パスワード『SNOW WHITE』入力。ゲートロック、オープンしました>
セリオの言葉と共に、目の前の重厚なハッチが重々しい音を立てて開いていく。
開ききったその奥には、旧世紀のものと思われる、大きなコンピュータが鎮座ましましていた。
「ひゅー、こいつはまた古そうなコンピュータだこって……」
『まだちゃんと生きてるのかな?』
<――この施設のシステムはそのコンピュータによって統括されているようですので、正常動作していると
 思われます>
「ふ〜ん……っと、それよりもお仕事お仕事。理緒ちゃん?」
『は〜い!データは半分ずつ持って帰ろうね?』
二機のACがコンピューターに近づき、コネクタをポートに接続する。
『藤田くん、なんか、これもパスワードが必要みたいだけど……』
「セリオ、パスワードの解析、できそうか?」
<――先ほどのものよりも時間がかかりますが、それでよろしければ>
「頼む。結果はGrunblattの回線を通して理緒ちゃんにも送ってくれ」
<――了解。パスワード、アナライズスタート>
再びデータパネル上を数字とコードがスクロールする。
<ファイアウォール確認、対抗プログラムを照射、突破しました>
「さ〜すが、こんだけの規模のコンピュータ相手に、あっさりと……」
『旧式だものね、このコンピュータ』
気楽にセリオの解析が出来るのを待っている。
<――パスワード確認>
Hiroは表示されたパスワードを見た。
「……なんだ、今度は『闇の力をひめし鍵よ、我の前に真の姿を示せ。契約の元、さ○らが命じる。封印解
 除!』……やたら長いな。意味もわからん」
『なんか、似たような言葉をどこかで聞いたような気がするんだけど……』
<――パスワード入力、アクセス成功しました>
『こっちも成功したよ。それじゃ、データのダウンロードを……』
理緒が自機のコクピットから、データのDLを開始する。
Hiroもコアの記憶用領域にデータをDLし始めた。
<――?これは……>
「どうした?」
DLされているデータの監視をしていたセリオの声に、Hiroが反応した。
<――いえ、なんでもありません。後でお教えします>
問題はない、と伝える。
『藤田くん、こっちの担当領域はおわったよ。そっちは?』
「ん、もうちょっと待ってくれ、あと10秒……」
<――きゃっ!?>
セリオが悲鳴を上げた。
同時に、コンピュータに接続されていたコネクターが爆発した。
強制切断用の爆発ボルトを使用したのである。
「セリオ!?どうした!?」
『藤田くん?どうしたの?』
<――で、データ領域の末尾、数千アドレスにわたって破壊性ウィルスが存在していました……>
「なんだって!?」
<――こちらへ侵入したウィルスは標準ワクチンで撃退しました。旧式のウィルスだったことが幸いしまし
 たが……>
そこで一旦セリオは言葉を切った。
<――目的のデータに欠損は見られません>
どうやら、ACにDLしたデータの破損がないかをチェックしていたようだ。
「それより、セリオは大丈夫だったのか?」
<――私はACを通して作業をするためにリンクしていただけでしたので、被害はありません>
セリオの答えに、Hiroは安堵した。
「そうか……よかった……」
『あの〜、藤田くん……』
「どうした?」
横から理緒の声が割り込んできた。
『なんか、部屋の外に敵性反応が十個くらいあるんだけど……』
「なんだってぇ!?」
理緒の報告に、Hiroは驚きの声を上げた。
<――確認しました。我々のアクセスにより、セキュリティが生き返ったようです……どうやら、このシス
 テムを構築した人はすごい人だったようですね>
「まさか、これだけの技術力差をもってのハッキングでも見破られるとはね……このデータ、やっぱりなん
 かやばいものじゃないのか?」
目つきがお気楽モードから本気モードになるHiro。
『ふぇ〜?この組織からの依頼は安全で高報酬だからって聞いて受けたのにぃ!』
「世の中、甘くないって事だろ……」
うかつだった、と自分を責めるHiroと、うろたえる理緒。
その二人にセリオが声をかけた。
<――浩之さんの考えているようなデータは全くありません。おそらく、このデータ……映像データが多い
 ようですが、元の持ち主がそれだけ大事にしていた、ということでしょう>
「たかが映像データにそんなに金かけるかよ……それとも、よっぽど貴重な映像なのか?」
例えば、凄い美人の女優の映った、プライベート映像とか……
Hiroはそう考えたが、今は脱出を考えるのが先だ。
「ま、十数機ならたいしたことないだろ……理緒ちゃん、行くぞ!」
『う、うん!』
<――お気をつけて>
「サポート頼むぞ!」
セリオの言葉に送られ、二機は入口の方へ向かう。
ゲートハッチからは、壁の向こうから敵性体が攻撃しているらしく、鈍い音が断続的に響いている。
「……よし、俺がハッチを開ける。理緒ちゃんはチェーンガンで後方から斉射、敵性体を殲滅してくれ」
『了解。……あ、でも、藤田くんも巻き込んじゃうんじゃ?』
「大丈夫、開けたらすぐ避ける」
『ならいいけど……』
アルバイターがチェーンガンを構え、反動に備える。
グルンブラットはハッチに近づくと油断なく1000発マシンガンを構える。
「セリオ、ロック解除」
コネクタを接続し、ロックの解除シグナルを送信すると、ハッチが開き始める。
それと同時に、数発のロケット弾がグルンブラットを襲った。
「くそっ!」
一発のダメージは大したことないが、十数機から集中的に当てられると、さすがにまずい。
すぐさまハッチの影に待避する。
『いっけぇ〜!』
Hiroの待避を確認するとアルバイターのチェーンガンが火を噴いた。
MTの装甲をもへこませる威力の弾丸が猛スピードで連射され、敵性体を打ち抜いていく。
連続的にダメージを受け、一台、また一台と潰れていく、装甲車群。
<――旧世紀の無人装甲車ですね。ロケット砲以外は驚異になりません。ロケット砲も単発なら回避可能で
 すが、集団で発射されるとバカになりません>
残骸と、まだ動き回っている装甲車のデータから判断するセリオ。
「ま、とにかく脱出するぞ。追加弾倉持ってきて良かった……」
今回は閉鎖空間での作戦であることはわかっていたので、ライフルとミサイルを、マシンガンと追加弾倉に
換装しているのだ。
理緒とHiroはダッシュでエレベーターホールに向かった。
到着後、すぐさまエレベーターに乗り込んで上昇させようとするが、反応がない。
<――すみません、悪い知らせです>
「セリオ、なんだ?」
猛烈に嫌な予感に襲われながら、Hiroは尋ねた。
<――エレベーターの稼働を停止させられたようです。先ほどからアクセスしてシステムに割り込んでいる
 のですが、完全にエレベーターのシステムを切り離されてしまいました>
「くそっ!やられた!」
『うそぉ!それじゃ、このままここで死んじゃうの?』
「諦めるな!何か手があるはずだ……何か手が……」
必死で考えるHiro。
そして、この施設に潜るときにセリオと交わした会話を思い出す。
「シャフト……セリオ!あのシャフトまでのコースを出してくれ!」
<――浩之さん……しかし、あのシャフトは足場が……>
『藤田くん……?シャフトって、最初に一番下まで通じてるって言ってた……』
セリオと理緒は驚いた。
「俺の機体は上昇力が強い。理緒ちゃんのアルバイターは逆関節でジャンプ力があるし、ブースターは比較
 的長時間使用できる。戻れる確立は高いはずだ!」
『……わかった、やってみよう!帰らないと、良太達が待ってるものね!』
<――わかりました。コースはこれ。ただし、この最短ルートを通ると、先ほどの装甲車と旧式のセキュリ
 ティメカの中を突っ切ることになりますが……よろしいのですか?>
「他に手はないさ……行くぞ!」
『はい!』
そして、二人のレイブンはシャフトへ向けて進撃を開始したのである。


進撃は思ったよりも困難であった。
20機をこえる装甲車と、旧世紀のセキュリティメカ――小型のバイクにマシンガンを取り付けている――
に行く手を阻まれ、それを可能な限り無視しつつ進んでいたのだが、最悪な知らせが入ったのだ。
<――まずいです。メインコンピュータルームの直下にエネルギー反応を感知。どうやらこの施設は休火山
 の上に作られているようです>
「噴火が近いのか!?」
<――いえ、火山が自ら噴火する動きは感知できませんが……先ほどの扉のロックを解除したときに気にな
 るシグナルを発見して追っていたのですが、解析の結果、メインコンピュータルームの真下に大型の旧式
 爆弾が収められている空間があり、その真下に火口があることがわかりました。さらに、シグナルの正体
 は爆弾の投下までのカウントでした>
報告を聞くうちにだんだん顔が青ざめてくるHiroと理緒。
「マジかよ……」
『なんだか、絶体絶命って感じ……』
それでも二人は前方の敵を撃破していく。
「でぇぇい!なんでこんな仕掛けがあるんだ〜!」
<――まさか、旧世紀のトラップがここまで生きていたとは思いませんでした>
「んなこと、誰も想像しねぇって!セリオ!どうにかならんのか?」
背後に迫る爆音から一刻も早く逃げ出すため、HiroのGrunblattと、もう一機の逆関節機体が
ブースターを全力で噴かし、ダッシュしていた。
<――いえ、発動してしまった以上、どうにもなりません>
『藤田くん、前方に反応あり……マーカーは50機……60機……まだまだ増えるよ、どうしよう〜?』
「理緒ちゃん、諦めるな!なんとかなる!」
『でも、こんなに相手したら弾切れしちゃうよ〜(;;)』
理緒の泣きそうな声に、Hiroは舌打ちした。
「だぁぁぁ!なんでこんな事になったんだ〜〜〜〜!」
そう言いながらもマシンガンの連射で的確にクルセイダーを打ち抜いていく。
こちらの残弾はまだまだ大丈夫であるが、併走する理緒の「アルバイター(勤労者)」の弾薬は半分を切っ
ている。
「セリオ、状況報告!」
<――残りはあと5分、シャフト頂上部まで、計算によると2分半、シャフトから入口まで1分、かなりギ
 リギリです。ちなみに、その場所からシャフトまで1分です>
「よし、これから20秒間、俺のレーザーキャノンとアルバイターのチェーンガンで前方の敵を掃討、後に
 ハンドウェポンで進路の妨げとなる敵を掃討しつつシャフトへ向かう!後からの攻撃はこの際無視だ、い
 いな、理緒ちゃん?」
『り、了解!』
セキュリティメカのマシンガンがコクピットを叩く音を聞きながら、Hiro達は血路を開くためにキャノ
ンを構えた。
「……撃てぇ!」
ドンドンドンドン!
ガガガガガガガ!
連射し続け、一体を撃破するとすぐさまFCSが次の目標を選択し、レティクルがロックオンするのでまっ
たく無駄がない。
「10,9、8,7,6,5,4,3,2,1,0!」
Hiroのカウントと同時に二機は立ち上がり、ダッシュをし始めた。
Hiroが先行して行く手にまばらに残った敵を討ち、それでも撃ち漏らした敵を理緒が掃討する。
それでもなお残ったセキュリティメカが走り抜けた二機を背後から攻撃するが、多少のダメージは気にせず
にシャフトを目指す。
「見えた!」
<――残り、250秒です!急いで下さい!>
そこで二機はダッシュ移動をやめ、通常歩行でジェネレータを回復させる。
シャフトへ侵入と同時に二機はブースターを噴かし、ジャンプした!
<――右前方、100m上に足場があります。AC二機なら乗れます>
『「了解!」』
セリオの言葉に違わず、足場がみつかる。
着地してジェネレータを回復。
またジャンプ。
<――左後方、400m上に足場……待って下さい、固定砲台です!気を付けて!>
「……まかせとけ!」
出力を上昇させ、アルバイターよりも上を行くグルンブラット。
一旦、足場から数十m上方まで通り過ぎ、そこでブースターカット、限界間近のジェネレータを休ませつつ
ロックサイトを足下へ向ける。
レティクルが砲台をロックすると同時にトリガー。
二十数発をたたき込むと沈黙した。
同時に視界の端にアルバイターを確認すると、二機はほぼ同時に足場に着地した。
<――無人ヘリ接近中です>
たしかに微かにパラパラと数機分のローターの音がする。
『私に任せて!』
先にジェネレータの回復を終えたアルバイターが飛び出す。
ヘリはアルバイターに機銃を撃つが、さすがにさしたるダメージはない。
上昇しつつ武器をミサイルにチェンジ、4機中2機にミサイルを2発ずつロックし、ヘリがほぼ水平位置に
来た瞬間に発射。
『いっただきぃ!』
理緒の言葉通りに二機は爆炎に包まれて落ちていく。
素早く武器を二連装マシンガンに戻し、広範囲のサイトを利用して一機をロックしてファイア。
数発で火だるまになるヘリ。
続いて機体を操作し、振り向きながら後方へと回り込んでいたヘリを撃ち落とす。
少し上に足場を見つけ、着地。
『ふぅ……』
「お見事!」
遅れて登ってきたグルンブラットの中からHiroが褒めた。
『えへへ、アリーナでしょっちゅう空中戦やるからね、慣れちゃった』
照れ笑いを浮かべる理緒。
ジェネレータが回復するまでの数秒の間の、束の間の急速。
「よし、いくぞ!」
<――もう一つ足場を経由したら最上部です。頑張って!>
『うん!』
そして、二機は再び飛翔する。
最後の足場には、砲台が待ちかまえていた。
しかし、二機同時にミサイルとマシンガンをたたき込まれては、ひとたまりもない。
着地後にジェネレータを回復させ、最後の飛翔。
「あれだ!」
近づいてくる天井。
モニターの端に、僅かに光の漏れる場所を見つける。
スラスターを操作し、機体をその場所へと寄せると、着地した。
「セリオ!」
<――ロックパスワード解析……確認。パスワード入力……応答確認、ロック解除。ゲート、開きます>
重い音と共にゲートが開いていく。
ACが通れる隙間が開くと同時に、Grunblatt、アルバイターの順で飛び出した。
待ちかまえていた無人バイクをマシンガン乱射で撃破しつつ、回廊を突っ切っていく。
<――残り40秒、余裕はあります、落ち着いて行動して下さい>
「ああ、わかってる……」
『ゴメン、チェーンガンもマシンガンも弾切れ!』
「おっし、あとは俺が掃討する!離れんなよ!」
アルバイターのダッシュスピードにあわせて二機は猛進する。
<――出口まであと400……350……300……250……200……>
「見えた!」
『やったぁ!』
<――150……100……入口のハッチが閉じ始めています、急いで!>
「ち!」
『ここまで来たのにぃ〜』
そう言いながらも二人とも諦めていない。
<――50……25……大丈夫、間に合います!>
その言葉と同時に、本当に間一髪のタイミングでアルバイターとグルンブラットがゲートをくぐり抜けた。
ゴォゥゥン!
扉が閉まる。
それでも二機は止まらず、やがて起こる爆発から遠ざかるために走り続ける。
そして――――


ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォン!


大音響と共に、施設が爆発した。
地上部分は完全に吹っ飛んでおり、盛大な噴煙と巻き上げる。
<――爆発を確認、衝撃、来ます>
その直後、二機を衝撃波が襲った。
『きゃぁぁぁぁ!』
「ぐ……!」
アブソーバーを最大にし、どうにか踏みとどまる。
<――マグマの上昇は地下第2層で停止したようです……お疲れさまでした。任務終了(ミッションコンプ
 リート)です>
「ふぅ……」
『やったね、藤田くん!』
埃まみれになりながら、二機は広野に佇んでいた。



「セリオちゃん、お疲れさま」
「いや、よくやったねぇ」
「セリオがいなかったらどうなっていた事やら……」
施設から離れた場所に停止しているトレーラーの中で、セリオは藤田夫妻および長瀬主任から賛辞を受けて
いた。
「――お二人とも無事で、本当によかったです」
データリンクに使用していたヘッドセットを取り外しながら、セリオは言った。
「でも、浩之達が危ない、ってわかったときのセリオちゃんのあわてよう、可愛かったわよぉ。浩之に見せ
 たらイチコロだったかもね……健気だし」
「――からかわないで下さい」
恵美の言葉に、多少俯きながら抗議する。
「あら、怒っちゃった?ゴメンね」
「しかし、もったいないな、このシステムを凍結させるとは……」
浩之の父親、浩太郎が残念そうに言う。
「しかし、『父親』としては、『娘』が争いの道具にされるのは、勘弁願いたいものですからね」
長瀬の言葉に頷く浩太郎と恵美。
「セリオちゃんを巻き込むなんて、できないわね、確かに……こーんないい子なんだもの」
「うむ、AIの調整を行ったのは私達だからな……私達の娘と言ってもいいセリオを戦場に送るのは嫌だか
 らなぁ」
ははは、と笑う浩太郎。
そこへ、長瀬が突っ込む。
「おや、浩之くんはいいんですか?」
「あいつは娘じゃなくて息子だ。それに、殺したって死にそうにないからいいのだ!」
がはは、と笑う。
「ま、あの子なら生き延びますよ……なんせゴキブリ並の生命力ですから」
とんでもないことを言いながらころころと笑う夫婦を見て、長瀬はちょっと浩之に同情した。
「――変わりませんね、お二人とも」
セリオは二人を呆れたまなざしで見ていた。



数日後。
回収したデータの受け渡しを行うこととなった。
ナーヴで転送すれば良かったのだが、クライアント側が直接受け取ると言ってきたのだ。
普通は依頼人とレイブンが直接顔を合わせることはまずないのだ。
トラブルの元となるからである。
だから、浩之も一人で行くつもりであった。
「……依頼も変わってるが、受け渡しも直接とは……やっぱり変わってるな」
「――貴重なデータでしょうからね、アレは」
結局説得しきれずに、セリオがついてきてしまった。
「……たしかに」
指定を受けたレストランで珈琲を飲みながら、依頼人を待つ。
「でも、喫茶店で受け渡しっつーのも、妙に庶民的だな」
「――まぁ、ある意味で庶民的なのでしょうね」
「俺には理解できない世界だが……」
「――私にも理解はできません」
そして、待つこと20分。
現れたのは、Tシャツの上にベージュのブレザーというか、ジャケットを羽織った、妙なサングラスをかけ
た男だった。
「……失礼だが、あなたが例の方で?」
「……多分な……妙に高報酬だったが、それなりのものってわけだな」
「……なるほど、間違いないようだ。あ、ブレンドをもらおう」
男は浩之の対面に座り、ウェイトレスに注文した。
「言っておくが、お互いのために名前は知らない方がいい……自己紹介はしないぞ」
「もとより承知」
浩之が釘を差すと、即座に返答した。
「……なら、さっさと済ませよう。これが、例のものだ……高密度ディスクにして12枚。すごい量だった
 よ。AC二機でぎりぎりだった」
「ふ、手間をかけて申し訳ないな……吾輩達の野望のためには、どうしても必要なのだ」
「野望、ねぇ……」
浩之は苦笑する。
「報酬は口座に振り込んでおいてくれればいいよ。それじゃ、俺達は失礼する」
「うむ、ご苦労だった」
セリオを伴って、浩之がレストランを後にする。
「ふふ、これでまた野望に一歩近づいた……同人界制覇の野望に……ふふ、ふふふ!帰ったら千堂にこのデ
 ータを見せ、吾輩のために本を書かせるぞ!わははははは!」
高笑いするその男を、脚と店員達は奇妙な目で見ていた。
……一部、目を合わせないようにしている人間もいたが。


セリオと浩之は、依頼人への受け渡しを終えて、そのレストラン――Piaキャロット――を後にした。
「あのデータを回収させた上、こんなレストランを指定してくるような奴だから、どうせろくな野望じゃな
 いんだろうなぁ……」
「――私達には彼がどうしようと、迷惑を被る確立は非常に低いです。もっとも、また依頼が来れば別です
 が」

任務が終わった後、データを高密度ディスクにコピーしているときに、一部データを覗いたのだ。
セリオに言われて。
それを見たとき、浩之はある意味ショックを受けた。
データを再生すると、流れてきたのはポップスのような曲。
それに、アニメーションで少女が踊っている映像が重なる。
イントロがおわると同時に、ある文字列がモニターに現れた。
『カードマスターピーチ』と。

「なちゅーか、すっげーばかばかしいことしたんじゃないかって思ったぞ、マジで……」
「――報酬さえいただければ、どんな依頼人でもお客様です」
「いや、そりゃそうだけど。なんか、疲れた……」
たまにはどっかにヴァカンスでも行こうか、などと本気で考えた。
「――そういえば、夕飯のお買い物、あかりさんに頼まれていました」
「そっか……んじゃ、行くか!」
「――はい」
人工の夕日が、二人を赤く照らし出していた。




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用語集

○千発マシンガン
 WG−AR1000のこと。
 弾数1000、一発の攻撃力は低いが、連射力は一番高い。
 なかなか使える。

○追加弾倉
 後部ウェポンラックに装備する、予備マガジンのようなもの。
 全武装の弾数が1.2倍になる。
 登場当初は1.5倍だったのだが……減った。

○二連装マシンガン
 武器腕の一つ。
 両腕に二連装マシンガン砲塔をそうびする。
 いわゆる、「腕」に当たる部分が全くなく、方に直接砲塔が付く形になる。
 なかなか使えるが、弾数が400、一斉射で2発減る。

○チェーンガン
 WC−CN35のこと。
 後部ウェポンラックに装備する。
 ゲーム中では単なる中折れ式のキャノン砲にしか見えない。

○SNOW WHITE
 ゲートロックの解除パスワード。
 実は劇場版「機動○艦ナデ○コ」で、コロニーのゲートのパスワードに使われていた。
 これが出てきた時点で元ネタに気づいたあなたは凄いです。

○闇の力を〜
 何も言いません、アレです。
 この文字列で、依頼人の正体とかわかったかもしれない(笑)
 僕はあの作品はよく知りませんけど。

○リンクシステム
 HM−13とACをリンクさせようというシステム。
 今回、セリオがいなかったら浩之達はおだぶつだったかもしれないことを考えると、すごいシステムだと
 わかるでしょう。
 コストと維持費用の面から開発計画は中止になりました。