「んー、いい天気」 「風も強くないし。ピクニックには最高なんだがな」 「そよ風が吹いているんだったら、それだけでいいじゃない」 「…まぁな」 「お花は用意したでしょ?それにお菓子も」 「酒は?」 「何言ってるの、未成年だったじゃないの」 「じゃ、未成年なのにあんな事したんだ」 「うーっ!人の忘れたい思い出をつつかないでよっ!」 「はっははは。ま、大したことじゃねーじゃねーか」 「もう」 「…もう一年になるんだな」 「そうね。あの時、もう少しあたしがしっかりしていれば」 「ばーか。言っても仕方がないだろう。そんなこと言ってたらいつまでも成仏できねぇだろうが」 「…うん」 「例の彼氏はどうなった?仲良くしてるか?」 「う、ま…ね」 「何だ。その様子じゃけんかでもしてるのかよ。全く、人騒がせなカップルの癖に」 「な、何よ。別にあたしはね」 「なに?…ふーん、あ、そう。いーの?そんな態度で」 「なっ」 「言っちゃおうかなぁ。あんなことやこんなこと」 「…」 「ばっ…馬鹿、冗談だよ冗談」 「あんたの冗談は冗談に聞こえないの」 「だからってやめろって危ない」 「だーいじょーぶ。悪い物しか切れないから、安心して刺さって」 「馬鹿やめろって、もうすぐアノルの村に着く」 「あ」 「ほら、見えてきた」 「律儀に毎年通ってるのか?」 「うん、まぁ、せめてもの罪滅ぼしにね」 「ティリア、お前ほんとに馬鹿だよな」 「むっ、何がよ」 「罪滅ぼしじゃ、ねーだろ?助けてもらった感謝にきてるんだろうが。 あの娘だってお前だったから助けようとしたんだ」 「…」 「だから、彼氏は大切にしろよ。何しろ人の命一つで助けたんだからな」 「そうだよね」 「世界も救った」 「うん」 「それさえ忘れてなければいいさ。ほら、元気だしなよ」 「ちょ、ちょっと」 「何、どーせ溜まってるんだろ?すぐすっきりさせてやっから」 「何考えてるのよっっっっ」 「…い、いひゃい…」 「全く、あのまま海の底に沈んでしまえばよかったのよ!」 「今日はさんきゅな。また誘ってくれよ」 「うん」 「ただし、次は彼氏も連れてこいよ。次も仲が悪いようならようしゃしねえからな」 「…そん時は呼ばないわよ」 「ふん、じゃあな」 「うん、元気でね、サラ」http://www.interq.or.jp/mercury/wizard/