クリスマス。 普通の人間なら、この日はお祭りである。 それもどちらかというと『しめやかな』ものになる。 雪でも降ろう物なら、とんでもない事になる。 「ふふふふ」 かちかちと意味もなくシャープペンシルをノックして、芯をぽきぽき折るのが幸せ。 最近はこのかちかちが幸せ。 「こわれてしまえ。みんなみんなこわれてしまえ」 普通じゃない人間でも、お祭りをやるにはやる。 「ぅるぁ、こ〜いちぃ、何でおまえ二人もいんだよぉ」 「梓、シャンパンで酔うなんて…おい、これスパークリングワインじゃねーか!」 「るせぇぞぉ、かたひおというなよぉ、ほら飲めよ」 むんずと肩に回された腕に、無理矢理口にねじ込まれる瓶。 「ごぶごぶぶぶぶ」 「きゃはははははは、へんなかぉ」 いい感じに過ごす奴らもいるかと思えば、それどころでもない奴らもいる。 「ルミラ様ぁ、今日ぐらいいいでしょぉ?」 「ダメ。誰のせいで借金が雪だるましてるかわかってるの?それに書き入れ時よ書き入れ時。休めないの」 元魔族の貴族、ルミラ=ディ=デュラル、幸せからはまだほど遠かった。 「へー。エビル、それ、結構いかしてるんじゃないかい」 「…一応死神なんですけど」 サンタの格好をしたエビルは、相変わらずの半眼でつまらなさそうに言う。 「気にしない気にしない。それにお金をもうけなきゃ、ルミラ様の機嫌が悪くなるし」 我関せずにあまーい時間を過ごす人間もいるんだけど… 「ふふふふふふふふふ、こわれてしまえこわれてしまえ」 「ぃいいいいいっ、んもー勘弁ならん!梓!いてこましたる!」 「むぁった借りた衣装燃やしたわねこのど腐れ外道がぁっっっ」 あちこちで、悲鳴やら阿鼻叫喚やら世界の破滅が訪れてたりする。 「へぇ、これがくりすますですか」 こら、HMX-12、危険にまとめるな。