ども、柄打です。こみパのSSですが、多分、ネタばれは含んでいないと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「いやー、すまんなー。今日はここで失礼させてもらうわ」 そう言って乾いた笑いをもらす由宇の肩には、完全にダウンした詠美がぶら下がっている。 今日はこみパの打ち上げと言うことで、彩、由宇、詠美、南さんと一緒に大志幹事の元飲みに来たのだが・・・・ 「まったく、あんな事言ったら詠美が飲まないわけないだろうに・・・・」 「何を言う、まい同志和樹よ。たかがあれしきの酒なぞ、飲んだうちには入らぬぞ」 「・・・あれしきって、お前・・・・」 由宇にからかわれた詠美が、バーボンを大志と二人でボトル1本空けてしまったのだ。 だが、俺が見ていた限りでは詠美が1杯飲んでいる間に、大志のやつ4杯は飲んでいたはずだが・・・ 「しかし、これでは2次会は無理の様であるな」 いつもと全く変わらぬ調子、中指で眼鏡を押し上げ、周りを見回した大志が言う。 「そうですね、二人も潰れてしまっては」 南さんの言うもう一人の脱落者は今、俺の肩に何とかぶら下がっている。彩だ。 由宇と詠美の乱痴気騒ぎを何とかしようと、南さんと悪戦苦闘していた俺がふと振り返ると、 何故か升を片手にテーブルに突っ伏している彩がいたのだ。 俺が慌てて彩に駆け寄ると、大志がにやにやしながら 「なかなか罪作りな男だな、まいぶらざぁ」 と呟いたとき、背後で南さんの悲鳴と詠美のぶっ倒れる音が響いたのだった。 さて、そんな詠美を由宇が連れて帰ることになったのだが・・・ 「ほれ、いくで詠美。しゃんとせんかい」 「・・・ぎ・・ぎぼぢわでゅい・・・」 「吐く前に言うんやで!この体勢で吐いたりしよったら、捨てて帰るで」 「・・・そ・・そんなぁ・・・・・・っっっう!」 「わぁ!ちょっ、詠美、ちょお待ちぃ!!」 「・・・大丈夫でしょうか、大庭さん」 電柱の脇にしゃがみ込んでいる詠美達を見ながら、南さんが心配そうに呟く。 「まあ、そういうところ由宇はしっかりしてますから、心配ないでしょう」 そう言いつつも、一抹の不安が残る。しかし、今の俺にとって一番の心配事は、俺の腕の中にいる。 その心配事は、とろんとした夢見るような瞳を向け、顔はもとより、うなじまでが桜色に染まっている。 「長谷部さんも大丈夫?」 「…………………」 おまけに、何か言っているのだろうが、全く聞こえてこない。 「すいません。こんな訳なんで俺達も失礼します」 南さんに向かって頭を下げる。 「なに、気にすることはない。気をつけて帰るのだぞ、まい同志達よ」 「ああ。それじゃあ」 大志に背を向け、後ろ向きに手を振ると、俺達は家路についた。 ・ ・ ・ ・ 「あれ?」 「いかが致した、南女史?」 「そう言えば、長谷部さんを彼に任せちゃって良かったのかしら?」 「・・・。なに、まいぶらざぁは送り狼になる度胸なぞ持ち合わせてはおりませぬよ」 「そうなんですか?そうですよねぇ。私ったら何を心配しているのかしら。うふふふ・・」 頬をほんのり桜色に染め、虚ろな瞳で心底楽しそうに笑う南さん。 「・・・・・・・」 このまま帰ろうとしていた大志だが、きちんと南さんを家まで送っていったそうだ。 「ほら、着いたぞ。しっかりしろ、彩」 こくこく ・・・本当に解ってるのかなぁ・・・ あの後、大志達と別れた俺は彩を家まで送ろうとした。の、だが・・・ ・ ・ ・ 「なあ、彩の家って何処?」 「…………………」 優しく微笑みかける。 「いや、そうじゃなくて、彩の家は?」 「…………………」 腕にぶら下がる。 「だ〜か〜ら〜、彩の、お家は、どぉ〜こ?」 「…………………」 ふるふる。 ・ ・ ・ 万事この調子だったので、仕方なく俺の部屋に連れてくるしかなかった。 まさか、こんなに酒癖が悪かったとは・・・ 「はぁ・・。ただいまー」 返事があるはずのない部屋。三和土で靴を脱ぎ、部屋に入ろうとしたそのとき、 「え!?」 彩が急にもたれ掛かりまともにバランスを崩す。 「ってェ〜〜〜〜〜」 まともに尻を打つ。しかし、何とか彩が頭を打つことは阻止出来たみたいだった。 今、彩は俺の腕の中にすっぽりと収まっている。 「大丈夫か?彩」 こくこく 丁度、鳩尾の所にある彩の頭が上下に動く。 「そっか。良かった・・」 ほっとした俺は、彩の頬を優しく撫でる。 「………きゅうん…………」 いつもの小声に加え、酒のせいで呂律の回らなくなった彩の声は、丁度子犬が鼻で鳴くような声に聞こえる。 「…………くぅん………んっ」 しげしげと頬を撫でる俺の左手を眺めていた彩が、不意に親指をパクッと銜えた。 「!!」 「………ぅんふん…………」 指から口を放し、両手で左手を包み込み、幸せそうな顔で頬ずりをする。 「……きゅん」 瞳を閉じ、優しく掌を舐める。 「……きゅぅん……くぅん………」 しばらく彩はそうやって、俺の左手を弄び続けた。 ・ ・ 「・・・・・・・や・・・やめれ」 理性と気力までも総動員し、何とか声を絞り出す。 声に気付いた彩が、不思議そうな顔で見上げている。 「しゅ・・収拾がつかなくなる」 見る間に彩の顔色が、桜色から真っ赤に変わる。 「…………ご…ごめんなさい……」 とたんに小さくなる彩。ギュッと握られた左手から、微かな震えが伝わってくる。 そんな、いつもの彩らしい態度に思わず顔がほころぶ。 「大丈夫。怒ったわけじゃないよ」 右手で彩の頭を優しく撫でてやる。 「…………………」 安心し、瞳を閉じる彩。 ・ ・ ・ やがて、彩の小さな寝息が聞こえてきた。 ・・・・左手は握ったまま・・・・・・ 〜〜翌日・大学学食〜〜 「あれ?」 「おお、まいぶらざぁではないか」 「ああ、瑞希、大志」 トレイを持った二人が寄ってくる。 「どうしたの?元気ないよ。また漫画で徹夜?いい加減にしないと体壊すよ」 どうやら不自然にボーっとしていたらしい。瑞希が心配そうに声をかけてくる。 「あ、いや、そう言う訳じゃないんだ」 取り繕うように自分の定食にソースをかける。 「あ」 慌ててかけたため、軽く飛び散って左手にかかってしっまた。 咄嗟に口に含んだ瞬間、昨夜の出来事が”ウルトラフィードバック”してきた。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「な、なんか固まってるんだけど・・」 「ほっておくがよい、まいしすたぁ瑞希」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ジャンル/ほのぼの?・こみパ キャスト/和樹・大志・彩・詠美・由宇・南・瑞希 コメント/彼女がお酒を飲んだとき。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 彩、犬チック計画第一段! でも、最初は詠美の話にしようとしていたのだが(笑) 感想とか、です。 『おまえらのモノは俺のモノ』 久々野様。 フリートークに感化して書いてみました。 ついでに啼かせてみましたが、いかがでしたか? 『よろしくロボドック』 takataka様 職場で読んで爆笑してしまい、同僚に奇異の目で見られてしまいました(泣笑) >「あ〜? 聞こえんなあ」 が、つぼに来ました。 ギャラ様 感想ありがとうございます。 知っている人が一人もいなかったら、どうしようかとおもっていました。 俺も、ダンザイバーが一番のお気に入りです(笑) では、この辺で失礼します。