『守護鬼 楓』 〜新番組予告〜 投稿者:柄打
…みなさん、柏木楓です。
私の中には、もう一人の女の子が居ます。

彼女の名前は『エディフェル』

意識体である彼女と融合した私は、ある日突然、異世界「イ・プラセェル(葉水の島)」に召喚されます。
『千鶴』……エディフェルの呼んだこの名前。それだけを頼りに、私達の旅は始まりました。

「ごめんなさい……楓。私のために貴女まで………」

ふるふる………

…そんなことない。そんなこと、ないです……
私は貴女で、貴女は、私なのだから。……だから、そんなこと…言わないで……

次週、新番組「守護鬼(ガーディエルクゥ)楓」第一幕

『楓 エディフェル』

…エディフェル。…始まったよ……


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「はい、OK!」
カチンコの音からきっかり2秒後、右手に持ったメガホンを振り上げると俺はそう叫んだ。


―――後書きにかえて〜〜舞台裏〜〜―――――――――――――――――――――――――――

「・・・・・ハァ・・・・」
何とかこれで一仕事終えたわけだが、これからのことを考えると、とても喜んでいられる状態じゃない。
なにせ、未だに第一話のキャストすら決まっていないのだから。
・・・噂じゃ、後2、3人って処までは絞り込めたらしいが・・・
プロデューサー兼脚本家である柄打の見切り発車は有名だが、今回ばかりは流石に洒落にならん。
これから行われるであろう、過密スケジュールを考えると、ため息の一つも出ようってもんだ。

「………」
ふと人の気配を感じて顔を上げると、そこには黒髪を綺麗に切り揃えた、日本人形のような少女がいた。
言わずと知れた本作品のヒロイン、柏木楓ちゃんだ。
「………」
楓ちゃんは小首を傾げ、心配そうにこちらを見つめている。

  こういう子は言葉じゃなくて、目にすべての感情が出るって言うけど、本当なんだな。

そんなことをぼんやりと考えながら楓ちゃんの頭を軽くなでてやる。
想像した通りの、さらさらとした髪の感触が掌に心地良い。
くすぐったそうに首を縮め、どこか照れた顔の楓ちゃんは上品な黒猫を彷彿とさせる。
今にもゴロゴロと鳴りそうな喉を撫でてやりたくなる衝動を、理性を総動員して抑える。

「なんでもないよ。これからよろしく、楓ちゃん」
俺は、出来る限り優しい口調でそう言った。
楓ちゃんは照れた様に視線を逸らすと、「ハイ」とだけ応えた。
「じゃあ、今日はここまで。お疲れさん。気をつけて帰れや」
「……お疲れ様でした」
楓ちゃんはペコっとお辞儀をすると帰っていった。

「あ、いたいた。監督ー!」
息を切らしてバイトのADが駆け寄ってきた。
・・・名前、何て言ったっけかな?
「ん〜、どうした〜?」
「ついさっき、柄打さんが来て、第一幕のキャストが決まったと…」
「お!やっとか。で、今は?」
「応接室の方にいます」
「よし、今行く」

さて、これから忙しくなりそうだ。


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感想をくださった皆様、どうもありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

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キャスト/楓 他
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コメント/「…わかりました…」