金銀銅その他 投稿者: ひらべったい
久しぶりに俺は水門の上を散歩がてらに行ってみた。
水門の上に立って下を見てみると結構高いようだった。千鶴エンド後の俺としてはよくここから落ちて無事だったなと思わざるを得ない。
「俺ってもしかしてすごく運がいいのかな?」
そんな独り言を言っていると後ろから俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「耕一さーん!」
振り向くと千鶴さんが駆けてやって来るのが見える。千鶴さんはハイヒールを履いているので走り方がおぼついていないようだ。よたよたと走っていつ転けてもおかしくない。
なんでそんなの履いて走ってくるのかな、と思っていると案の定千鶴さんは転けた。
「だいじょうぶ…」
と声をかけようとした俺だったが、転けた千鶴さんがそのまま水門の下に落ちていくのを見て驚いた。
「げっ!」
そして千鶴さんが落ちた所まで駆け寄ってみると千鶴さんの姿は水面に見えなかった。
助けに行くか、と俺は下に飛び降りようとすると、なんだか水面がものすごく泡立っているのが見える。俺は一体なんだろう、とそれを目を凝らして見ていると泡の中から一人の女性が現れた。
「あなたが落とした千鶴は、
1・鬼姉!食卓で温度を3度下げる氷の微笑み!な千鶴
2・偽善者!その仮面に隠されたどす黒い感情に打ち震える妹たち!な千鶴
3・けだもの!その貧弱な体で男を虜にしようと無駄な努力を続ける毎日!な千鶴
4・上の3つを兼ね備えた千鶴
のどれでしょうか?」
彼女は急にそんなことを聞いてきた。いきなり質問をしてくるとは失礼な女だ。
「あのう、俺が落としたんじゃなくて勝手に落ちたんですけど…?」
「そんなことはどうでも良いんです!さあ、どれですか?」
俺がそう言っても彼女は質問を重ねてきた。しかし心なしか顔に険が出てきた気がする。
「それ以外はないんですか?」
「ありません!」
きっぱりと答える彼女には自信さえ伺える。結構傲慢な性格なのかもしれない。
とりあえず俺は当てはまるものを答えることにした。
「じゃあ、4、でいいです」
「正直者ですね。それでは褒美に…」
「一人だけで良いです!」
彼女の語を遮って俺は断りを入れる。
「…分かりました」
苦渋の表情を見せながらやけに残念そうにその女性は了承し、水門の上に(たぶん4の)千鶴さんをのせて消えていった。
「一体今のは何だったんだ?」
俺は訳が分からずにとりあえず千鶴さんを抱いて家に帰ることにした。後で千鶴さんに聞いたところその時の記憶がないという。不思議なことがあるものだ。

それから数日してからふと思った。
(俺が落ちたときはあの女性は千鶴さんの前に現れたのだろうか。だとしたらどういう選択肢でどう答えたのだろう?)
気になる俺だが、まだ千鶴さんに聞けないでいる。


おわり


うーん、結構冷たい耕一になってしまった。
水門の女神は変になったし…。
拙文ですみません。
以前感想を書いていただいた方々、ここに感謝いたします。ありがとうございました。

それでは。