名の無い一つの曲 投稿者: ふぁんとむ
今にも泣き出しそうな星空だった。
でも、落ちてくるのは涙ではなく・・・流れ星
あの日も・・・・・・
そぉ、あの日も、そんなすんだきれいな星空だった。


	姫川 琴音 SS 「名の無い一つの曲」

	
	琴音は一人で歩いていた。
	「う〜ん・・」
	夏とはいえ、どこかひんやりする夜の空気を胸いっぱい吸い込む。
	琴音は家に居たくなかった。両親のケンカをするのを聞きたくなかったら。
	気付けば毎夜のように出歩く。しかし、他にも理由があった。家の中にこもっ
	ているより、星空の下を歩くことがどれだけ気持ちいいものか、それを琴音は
	知っていた。
	「今日は、一段と星がきれい。」
	空を見上げてみる。夜空には沢山の流星が流れている。琴音は星を見上げなが
	ら、ゆっくりと自宅の北側にある高台へと登って行った。
	高台の頂上に着いた時ギターを奏でる音が聞こえてきた。
	「誰かいる・・・」
	しばらく琴音はそのギターの音を聞いていた。その音を聞いていると嫌なこと
	がみんな忘れられるみたいだった。
	琴音はギターを弾いていた人影に近づき話し掛けた、
	「こんばんわ。」
	琴音は自分でもびっくりしていた初対面の人に声をかけている。
	私はなぜ声をかけてるの?私は不幸を呼ぶ者。他人を自分から避けていたはず
	なのに。それなのになぜ?琴音自信にも判らなかった。でも、そうしなければ
	いけない気がした。
	「ギターお上手ですね。」
	「えっ?」
	その人影はびっくりした瞳を琴音に向けた。
	「えぇーと、き、君は?」
	人影の正体は、琴音と同い年ぐらいの少年だった。
	(あれっ?)
 	 琴音は不思議な感覚に戸惑っていた。初めて少年の瞳をみつめた瞬間、初対
	面という気がしなかったのだ。前から、それもずっと前から知っている感じすら	する。 いわゆるデジャビュという感覚だった。
	「あ、私は姫川琴音っていいます。ギターの練習ですか?」
	「え、まぁ、そんなとこかな。家でやっていたらうるさいて言われてね。
	 しかたなく家を出たんだ。気付いたらここにきていて星を見ながら練習
	 してたんだ。それにしても星がきれいだ。」
	「はい、でも今夜はなんとか流星郡が1年で1番よく見える晩なんです。
	 私は、1年間でこの夜が1番好きなの。」
	「へぇ、そうなんだ。ラッキーだったなそんな晩に出てきて。」
	少年はそう言うとまたギターを弾きはじめた。
	琴音は、この少年との出会いを運命的なものだと感じていた。その証拠に心は
	震え、ドキドキが止まらなかった。
	「迷惑でなければ、聞いていていいですか?」
	「あぁ、いいよべつに。」
	「・・・はい」
	琴音は返事をすると少年の横に腰掛けギターの奏でる音を聞いた。
	琴音がしばらくして少年に聞いた
	「なんて曲ですか?」
	「まだ、曲名決めてないんだ。そうだ、君曲名付けてよ。」
	「は、はい。別にいいですけど・・・オリジナルの曲だったんですね。」
	「あぁ、そうなんだ。初のオリジナル曲。人に聞かせるのも今日が初めて
	 なんだけどね・・はは。」
	「いいんですか?そんな大事な曲に私なんかが曲名を付けて?」
	「うん、君に付けて欲しいんだ最初で最後の曲に・・・・。」
	「最後?」
	「あ、何でもない気にしないで。はは」
	「・・・・はい。」
	琴音は最後の言葉が気になっていたが。
	「琴音ってあまり笑わないんだね?」
	「笑うのはどうも苦手なんです。」
	私は嘘をついてる。笑わなくなったのは、あの力のせい。なのに・・・・・
	しばらく、世間話をしてから琴音は少年に聞いた
	「あの、明日もここに来ますか?」
	「たぶん、来ると思うよ。なんで?」
	「また、聴きたいんで・・・・。」
	「じゃ、明日も来るからまた聴きにおいで。じゃ、俺帰るから。バイバイ
	 琴音。」
	少年は琴音のことを琴音と呼ことにした。
	「さよなら・・」
	

	琴音は毎夜のように高台に行き少年のギターを聴き、話し込んだ。少年に不幸
	を呼ぶかもしれないと思いながら。
	そんな、ある日琴音はついに少年に話した。自分の力のことを・・・・。
	しかし、少年は
	「そんなのことがあったんだ。でも俺はそんなことで琴音のことをキライには
	 ならないし、関わりたくないと思ったりしないよ。」
	「でも、私はあなたに嘘をついていたのに・・・・・」
	「だけど、きちんと話してくれたじゃないか。それだけでじゅうぶんだよ。」
	「で、でも・・・・」
	琴音がまだなにか言おうとした時、少年はそっと琴音のことを抱き寄せた。
	また、琴音も驚きながらも少年に体を預けていた。
	「もう、いいから。一人で苦しまなくても。俺が居るだろ、な。それに、俺は
	 今の琴音にあって好きになったんだから。」
	「えっ・・・・・。」
	突然の告白に琴音は驚いた。けど、琴音も
	「わ、私もあなたのことが好きです。たぶん、初めてあった日から。」
	そいうと、琴音は少年の瞳を見つめてから静かに目を閉じた。少年も琴音に答
	えうように目を閉じた。そして、二人の唇同士はかさなった。はたから見れば
	一瞬のようなキスだったが、二人にとっては永遠のような時間だった。
	琴音はこのまま時間が止まってしまえばいいのにと思っていた。
	「・・・・・・・・」
	「・・・・」
	「・・・・・・・・」
	「・・・・」
	「琴音これをお前にやるよ。」
	少年はそう言うと、自分の首元から一つのペンダントを取り出し琴音の首に付
	けた。
	「これは?」
	琴音が聞くと、少年が
	「お守りだよ。琴音の笑顔をが戻るようにって。」
	「ふふ、ありがとう。大事にするね。」
	そう言うと琴音はうれしそうにペンダントをいじっていた。
	「じゃ、もう帰ろうか。」
	「うん、また明日も来るよね?」
	「あぁ、また明日来るよ。」
	「じゃねー。」
	琴音は笑顔で言って帰って行った。少年の哀しそうな顔に気付かずに。
	
	次の日に少年は来なかった。その次の日にも。琴音はペンダントを見ながら少
	年のこと待っていた。 

	少年が来なくなって3日目の日に琴音は話し掛けられた。
	「あの、姫川さんですか?」
	琴音に話し掛けてきたのは40代ぐらいの年配の女性だった。
	その女性はここに来ていた少年の母親らしく、話しによると少年は昨夜亡くな
	ったそうだ。そのことを聞いた琴音は
	「あの人が死ぬなんて・・・・。嘘よ、嘘って言ってよ。」
	琴音は泣きながら少年と過ごした日々を思い出していた。今思うと少年は自分
	が死ぬことに気付いていたのも。琴音は少年が最後といった言葉を思い出した
	あの日でお別れなんていや。琴音はペンダントを握り締めながら泣きつづけた
	そんな、琴音のことを見ながら少年の母親は
	「これを息子からあなたへと言われて・・・・・。」
	そう言うと少年の母親はバックから一つの封筒だし琴音に手渡した。
	封筒には一つの楽譜が入っていた。「愛する琴音へ」書かれたと曲名が入って
	いない一つの楽譜が。それは、毎日少年がここで弾いていた曲だった。
	また、楽譜の最後には「琴音の笑顔がいつか戻ることを願って。」そして「ご
	めん」と書かれていた。
	琴音は楽譜を涙で濡らしながら楽譜を胸に抱いた。


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あの日もこんな空だった。
今にも泣き出しそうな星空だった。
でも、落ちてくるのは涙ではなく・・・流れ星
あの日も・・・・・・
そぉ、あの日も、そんなすんだきれいな星空だった。



								fin




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はじめまして、ふぁんとむと申します。
初投稿です。ここに来て皆様のを呼んでいたら無性に書きたくなってしまって
書いてみたが・・・・・・とても変になってしまった。

えーと、Storyはいちよう琴音ちゃんの物語です。浩之に会う前ということを
前提に書いてみましたがどうだったでしょうか?
あと、ほんとは曲の題は決っていたのですが無いほうがいいと思ってなくしました。
当初の曲名は「See You」で歌詞も書いてありました。載せなかったけど。は
は・・

今後もときどき書いていこうと想いますので。今後ともよろしくお願いします

P.S 感想を聞かせてもらえると嬉しいです。