「----何なりとご命令下さい」
無機質な感情のない声が部屋に響きわたる。
マルチ・・・俺の目の前にいるのはマルチだろう?
機械。ただの機械でしかないマルチ、今俺の前に立っているマルチはただの機械にしかすぎない。
見たくない、俺の知っているマルチじゃない。
悲しみとはまた違ういやな感情が俺の心を覆っていく。
マルチは死んだ?
マルチという存在は消えてしまった?
こんなくだらない機械のためにマルチは死んだ?
俺の前に立っているのはHM−12というただのロボット。
「プログラムで動いてるだけで電気が止まったらおしまいじゃないのか?。ただの機械だろ」
俺の耳にそんな声が響く。何も言えない・・・何も言うことが出来ない。
「おしゃべりダッチワイフとおままごとみたいな事して何が楽しいんだ?」
何も聞こえない、聞きたくない。
「くだらないよ、浩之・・・」
雅史はそんなこと言わない。
「浩之ちゃん・・・私よりロボットの方が良いんだね・・・」
あかりはそんなことを言っていない。
「ヒロ、見損なったわよ!あかりよりロボットなんかを選ぶなんて!」
志保・・・俺は。
俺は・・・マルチを。
『マルチじゃないだろう?ただの機械だろう?お前の前にいるのは』
なんでだよ!なんで!マルチじゃないんだよ!
おいマルチ!答えてくれ!マルチぃぃぃ
『所詮、機械でしかない存在と人間が結ばれることはないんだよ』
『機械だろ?心を持っている?そんなもの人が作り出した物じゃないか』
『感情?だから?機械だろ、必要ないじゃん、そんなもの』
違う。マルチは違う・・・心も持ってるし感情も持ってる。俺達と同じように失敗もする、いや失敗ばかりか・・・マルチは機械なんかじゃないロボットなんかじゃない!
『でも君の前にいるのは単なるロボットにしか過ぎないよ』
・・・マルチは。
『いい加減君も目を覚ました方が良いよ。こんなくだらない夢から』
おい・・・待て、俺の話を・・・答えを・・・
暖かい光が俺を包み込む。
これは・・・夢、なのか?
「ひろゆきちゃーーーーん、朝だよぉぉぉっ!」
・・・
「遅刻しちゃうよーーーーーっ!」
・・・朝。朝陽が俺を照らしている。夢だったのか?
枕が濡れている、泣いていたのか?俺は。
いったい・・・
「もぅ浩之ちゃん遅刻しちゃうよ」
「!」
いつの間にかあかりがドアの前に立っていた。どうやって入ってきたんだ?鍵締めてたはずだが。
「あ、ああ・・・」
時計は既に8時半を過ぎている。
今朝は完璧に遅刻だな・・・
To be Continued ToHeart
どもー秀でふ。
マルチ研というそのままのタイトルでSS書いてしまいました、突発的に書いたのでなーんか変です。ちょーっとあまりにも無茶な内容ですね、ちなみにわたくしマルチ肯定派ですから(笑)
浩之がなんか変、浩之じゃないこんなん・・・俺自身の視点で書いちゃったからかな。
ま、いっやではまた気が向いたらなんか書きます。