何故貴女はここにいるの?
それは私自身への問い。でも私じゃない・・・。
私じゃないもう一人の私への問い。
俯いたまま返事をしない・・・私。
「ジローエモン・・・」
彼女(私)は呟いた。人の名前。昔、もう五百年も前の侍の名前。知っている名前、彼女の記憶を共有しているから・・・だから知っている。
本当は彼女(私)が何故ここにいるか知っている。
でも、それを認めることは出来ない。
だって彼女は私じゃないもの。
「ジローエモンガノゾンダコト・・・」
知っている。柏木家が何故血を絶やさず、より濃く受け継がれてきたか。私は知っている。でもこれは千鶴姉さんには知られてはならないこと。知ってしまうと姉さんが壊れてしまうかも知れない・・・この柏木の血の無意味さに。
彼女はふっと顔を挙げた。
「ジローエモンガ・・・ココニクル・・・」
次郎右衛門。彼もここにいなくてはならない存在。でも私はいて欲しくはなかった。彼は・・・耕一さん。私の従兄のお兄さん、とても優しい人・・・でも、彼を好きになってはいけなかった。でも・・・好きになってしまった。私自身が、これは・・・。
「ナライイジャナイ・・・カエデ・・・」
私の想いじゃない、これは。貴女の・・・貴女のずっと思い続けていた次郎右衛門への想い。
彼女の想いと私の耕一さんへの想い。これは違うもの。彼女の想いは次郎右衛門に対してであって耕一さんじゃない。
彼女はクスッと笑った。
「ダイジョウブ・・・コウイチハ、ジローエモントオナジ・・・」
違うわ!耕一さんは耕一さんは・・・。
私は泣いていた。どうして、私が彼女の生まれ変わりなのだろう・・・どうして耕一さんが次郎右衛門なのだろう。どうして・・・どうして、次郎右衛門はっ!・・・
普段表に出さない感情が心の中で爆発する。
悲しみ、怒り、憎しみ、・・・でも彼女は微笑んでいた。私の出来ない微笑みを・・・
私は、貴女とは違うわ。
一言私は呟き、心を閉ざした・・・。
数日後、耕一さんが帰郷し、私は心を開かざるを得なくなった・・・。
Aoturmn Leaves 〜楓
秋の葉、楓。
「痕」柏木楓による一人称。耕一が柏木家を訪れるまでの楓の心。
ども、勉強してたのに突発的に書き込んでしまいました。楓ちゃんはこんな事思わないよーとかエディフェルが変とかあったら教えて下さい。
以上、LOFはどうなったのだろう秀でした。