日本一(?)昔話 「なぜ、太田さんである必要があるのか?」 投稿者:ヒトシ・オカダ
不条理で訳の分からないギャグ物です。
そういうのが嫌いな人は読まない方がよろしいかと…
それが君のためでもあり、僕のためでもあるのだよ。

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 ある日太田さんが浜辺を歩いていると、瑞穂さんが数人の男子にオルゴールを取り上げ
られ、よってたかっていじめられていました。
「何だよ、きったねえオルゴール。」
「かえして!」
「きもちわりーの。」
「かえして!」
「メガネ。」
「かえして!」
「何だよ、きったねえオルゴール。」
「かえして!」
「きもちわりーの。」
「かえして!」
「メガネ。」
「かえして!」
「何だよ、きったねえオルゴール。」
 いつまでも続けるわけにも行かないと思った太田さんはそろそろ止めに入ることにしま
した。
「ちょっと、あんた達、やめなさいよ!」
 太田さんはその性根の腐った男子達をちぎっては投げ、ちぎっては投げ、そしてちぎっ
て鼻毛の獅子奮迅の戦いぶりで、男子達の鼻毛を全部ちぎりました。
「ギャフン!」
「畜生!覚えてやがれ!」
「先生に言いつけてやる!」
 男子達は痛む鼻を押さえながらお約束のセリフを吐き逃げ去っていきました。
「おとといきやがれ!」
 太田さんはこれまたお約束のセリフを帰しました。実際おとといに来られても何がなん
だかわからないのですが…。
「あ、ありがとうございました。」
 そんな太田さんの勇姿を見た瑞穂さんの瞳はウルウルでした。
「いいえ、当たり前のことだから、それより…」
…そのオルゴール、聞かせてくれない?と続けようとしましたが、物語の進行がそれを許
してくれませんでした。
「あなたをお礼に、竜宮城にご招待しましょう。」
 そう言うと瑞穂さんは海の中に太田さんを無理矢理引きずり込みました。

 太田さんは呼吸困難に陥り、意識を失いかけ、水圧に押しつぶされそうになりながらも
持ち前の負けん気でそれに耐えました。
「着きました!ここが竜宮城です!」
 そこは、エルクゥの失われた技術、ロスト・テクニック、略してロス・テクを結集して
作られた『鶴来屋別館・ニュー竜宮城』でした。なぜか田舎のラブホテルっぽい名前でし
た。
「いらっしゃいませ〜。」
 柏木美人四姉妹に迎え入れられた太田さんは中央の大広間に通されました。
「あちらにいらっしゃるのが乙姫様です。」
 そこには乙姫役の来栖川芹香さんがいました。
「………」
 太田さんは、乙姫様って無口な人だなぁ、と思いました。

 さて竜宮城ではタイやヒラメの舞い踊りはもちろんのこと、エクストーリーム大会や森
川由綺、緒方理奈の二大アイドルジョイントコンサート、果てはプレゼント交換やキャン
ディーのつかみ取り大会などが行われ、太田さんは楽しい時を過ごしました。
 しかし太田さんは『ごとPサイン入りマルチテレカ』の締め切りがそろそろだったこと
を思い出し家に帰ることにしました。
 それを乙姫様に告げると、記念という事で玉手箱をくれました。しかし、それを開ける
と年をとってしまうことを知っていた太田さんは絶対それを開けるまいと心に誓いまし
た。
 太田さんが帰ろうとすると、小さな部屋に通されました。そこにはウェイター風の若い
男が一人いました。
「二億とんで五万三千二十一円です。」
 太田さんはいつかそうしたようにウェイターの鼻毛をちぎって逃げました。

 さて、戻ってきた太田さんはショックを受けました。なんと『ごとPサイン入りマルチ
テレカ』の締め切りは昨日まででした。
 もう残りの人生なんて少女雑誌の八大付録みたいなものだ。そう思った太田さんは乙姫
様に貰った玉手箱を開けてみることにしました。
 太田さんは胸元で十字を切ると、えいっと玉手箱の蓋を取りました。
「やあ、太田さん。こんにちは。」
 中には月島(兄)が入っていました。
 ドロドロのグチョグチョがキラキラ光る。そんな人生も良いものだ。太田さんはそう思
いながらも月島(兄)の鼻毛をちぎりました。

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はじめましてorおひさしぶりです。
ちょっと久しぶりにネタがうかんできたので書いてみました。
ひどいもんです。
題名にも書きましたが、主人公が太田さんである必要がないです。
しかも彼女のパーソナルは全く無視しています。
こんなことじゃいけない。こんなことじゃいけないんですが、
非常に気持ち良く書けました。
自分で書きながら笑っていました。
まあ、えてして書き手が笑えるものというのは、読み手は笑えないものです。
でももし、この文章を読んで、日ごろのいやなことを一瞬でも忘れ笑うことが出来たとい
う人がいるのなら、それが僕の幸せです。

以上、おはようからおやすみまで自分を見つめる、ヒトシ・オカダでした。