ちぇりー・ぶろっさむ 第七話 投稿者:ヒトシ


 浩之と葵は神社の境内に座り、微かに寝息をたてる琴音を挟んで座った。
「かわいい顔ですね。」
葵は微笑みながら言った。
「ん、ああ。そうだな・・・」
しかし浩之はどこか上の空であった。葵は不思議に思い、聞いた。
「あの、先輩、どうかしたんですか?」
「いや、な・・・」
浩之は何か決意したようなそんな顔をして口を開いた。その時、
「・・・ん、あれ・・・」
琴音が目を覚ました。
「おはよう、姫川さん。」
「私、寝てたんですか・・・?」
「ちょうどいいや、琴音ちゃんも起きたし、話そうか。」

「琴音ちゃん、俺さ、琴音ちゃんの超能力って、予知能力なんかじゃないと思うんだ。」
「・・・どういう、ことですか?」
琴音はわからない顔をしたが、浩之は続けた。
「琴音ちゃん、今日、サンドバックが急に軽くなったって言ったよな?」
「え、ええ・・・」
「それだよ。それが超能力じゃないかと思うんだ。」
浩之の言葉に熱がこもる。琴音と葵は顔を見合わせた。
「すいません、先輩、私、よくわからないんですけど?」
葵が言った。
「うん、要するにだな、サンドバックが軽くなったとかそう言うことじゃなくて、琴音ちゃ
んが超能力を使って動かしたんじゃないかと思うんだよ。」
浩之はそう言うと会心の笑みを浮かべた。
「・・・でも、私にはそんな力なんか・・・ありません。」
琴音はうつむき加減に言う。
「違う、違う。無いのは予知能力の方で、実は全部、念動力じゃないかと思うんだ。」
「え?」
琴音は浩之のあまりにも突飛な考えに首を傾げてしまう。
「琴音ちゃん、遠い未来を予知したことは?」
「・・・ありません。」
「じゃあ、遠い所とか、見えない所のことを予知したことは?」
「・・・それも、ありません。」
「それじゃあ、ごく近い未来で、自分の近くのことしか予知したことはないんだな?」
浩之が念を押す。
「・・・はい。」
琴音が答える。
「俺の考えだと、琴音ちゃんはそうなるんじゃないか、とか、こういうことが起こるんじゃ
ないか、と思ったら念動力を使ってその予感を現実にしているんじゃないかと思うんだ。だ
から、ごく近い未来の、しかも身近なことしか予知できないと思うんだ。」
「・・・じゃあ、私が不幸を起こしているって言うこと、ですか・・・」
琴音はうつむき、浩之と目を合わせようとしない。
「ああ、俺の言い方が悪かったな、念動力を使ってるって言っても、それは無意識にってことなんだ。」
「・・・無意識、ですか?」
「そう、だから予知能力なんかと誤解しているんだ。」
「・・・でも、そんなこと言われても、私は・・・」
葵は二人のやりとりを黙ってみているしかなかった。
「それじゃあ、最後に聞いていいかな?」
浩之は琴音に聞いた。
「・・・はい。」
「今日、予知はあったか?」
「いいえ、一度もありませんでした。」
琴音は答える。
「琴音ちゃん、確か、予知があった後は眠くなるって言ったよな?」
「あ・・・」
琴音は何か気づいたような顔をした。
「そうなんだよ!琴音ちゃん!サンドバックを動かしたから、力を使ったから眠たくなった
んじゃないのか?だから、さっきまで寝ていたんじゃないのか?」
「でも・・・、でも・・・」
琴音は戸惑った。自分の力が予知でないなどと考えたことはなかったからだ。その時、浩之
が琴音の肩に手をおいた。琴音は顔を上げると浩之の顔を見た。その顔には優しい微笑みが
浮かんでいた。
「少しずつ、訓練していこうぜ。それで、使えるようになればいいんだからさ。俺も協力するぜ。」
「・・・藤田さん。」
その時、葵は何故か少し寂しさを感じた。

☆反省会☆
  首相撲からの、チャランボ!チャランボ!チャランボ!そして、チャランボォ!!
 さあ、出だしから「チャランボ地獄」を繰り出しました、どうも、ヒトシです。
 「ちぇりー」第七話、いかがだったでしょうか?おもしろかったでしょうか?
 なんか変な話だね、どう思う?強引だしねぇ、なんか。
 さてと、また妄想の世界に旅立つか。それじゃあね。