ちぇりー・ぶろっさむ 第五話 投稿者:ヒトシ


 青空の下、乾いた音が響く。夏も近いせいか、夕刻だというのにまだ明るい。
「ふう、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
サンドバックを相手にした練習を一通り終わらせた葵が一息つく。
「松原さん、タオル、どうぞ。」
そんな葵に琴音は駆け寄りタオルを渡した。
「ありがとう、姫川さん。・・・ふぁああ。」
タオルで顔を拭くと葵は瞳を閉じたまま伸びをした。
「今日もご苦労様。」
琴音は微笑みながら言った。琴音はほぼ毎回クラブに顔を出すようになっていた。だから
といって、格闘をやっているというわけではない。ほとんどマネージャーのノリである。
 弁当の一件依頼、琴音と葵は一緒にいることが多くなった。昼休みや放課後のみに限ら
ず、授業の合間のちょっとした休み時間にも顔を合わせるようになった。二人には特に共
通の話題もなかったが、二人でいると不思議と楽しかった。
 二人で境内に腰を下ろすと、葵が先に口を開いた。
「今日、先輩、いらっしゃいませんでしたね。」
その通りである。今日は浩之が顔を見せていなかった。
「どうしたんでしょうか?」
葵がつぶやいた。
「何か、ご用があったんだと思いますよ。」
そして、琴音が答えた。

 次の日の朝、琴音が生徒玄関で内履きに履き替えていると、外から浩之がやってくるの
が見えた。
(あ、藤田さん・・・)
そして、その後ろに人影がもう一つ見えた。
(神岸さん・・・)
その人影は神岸あかりという女性のものであった。浩之とあかりは幼なじみと言うことら
しく、校内でもよく一緒にいる所を見かけた。しかし、その二人の姿は幼なじみというよ
り恋人同士のように見えた。
 浩之のことを思うとき、影のようにつきまとい、胸中を不安にさせる、それが琴音にと
ってのあかりという存在だったのだ。
 琴音は浩之のことが好きだった。

 その日の昼休み、葵が廊下を歩いていると、浩之とあかりにあった。
「よう、葵ちゃん!」
「こんにちは、松原さん。」
二人がにこやかに声をかけてくる。
「こんにちは、藤田先輩、神岸先輩。」
葵が返事をする。
「それじゃぁな、葵ちゃん!」
浩之はそう言うとあっさりと行ってしまった。あかりを伴って。
 葵は遠ざかってゆく二人の背中を見ながら、あかりにあこがれていた。いつか私もあそ
こに行きたい、藤田先輩のとなりに。そう言うあこがれを抱いた。
 葵は浩之のことが好きだった。

 放課後、そして今日もクラブが始まる。
「さあ、今日もがんばろうぜ!」


☆反省会☆
 はい、どうも、ヒトシです。やって参りました!「ちぇりー」第五話!!
  はわわわ、またやってしまった。ほぼ「お目汚し」な文です。
 なんか、琴音ちゃんの性格がぁ・・・。まぁ、いっか(良くない)。
 しかも、回数重ねるごとに文章が短くなって行くし。困ったなぁ。
 困ったと言えば、もうすぐ長期休暇でここにこれなくなるんだよなあ。
 ホント、今から戻ってきたときのことが怖い。学校、施設開放すんのかなぁ?
 それでは又の機会に!さよーならー!