ちぇりー・ぶろっさむ 第四話 投稿者:ヒトシ


 琴音は学校に着くとすぐさま中庭に向かった。理由は弁当箱。昨日、葵と言い争ったと
きに持ってくるのをすっかり忘れていたのだ。昨日弁当を食べていたあたりをくまなく探
してみた。
(確か、このあたりに・・・)
が、弁当箱は見つからなかった。

 昼休み、琴音は学食に言って食事をとることにした。気は進まなかったが仕方ない。何
しろ弁当がないのだ。パンでもいいが、あの激しい争奪戦のなか自分が無事にパンを買え
るとは思えなかった。
 琴音は教室を出て学食へ向かう。
「あのっ。」
後ろから声をかけられた。聞き覚えのある声だ。この声は・・・
「あの、姫川さん?」
「松原さん・・・」
葵の声だ。琴音と葵、二人の間に何とも言えない気まずい空気が流れる。
「実は、姫川さんのお弁当・・・」
その空気を破ったのは葵だった。見れば、葵は弁当箱を二つ持っている。そのうち一つは
紛れもなく琴音のものだった。
「・・・私のお弁当箱?」
「忘れて行かれたので、私が・・・」
琴音が忘れていった弁当箱を葵が預かっていたのだ。あの後すぐに持っていかなかったの
は気まずかったからだろう。差し出された弁当箱を受け取ると、琴音はある一つのことに
気づいた。ずしりと、重い。
「あの、これ・・・」
「はい。良かったら、一緒に食べませんか?」

 中庭の日のよく当たるベンチに琴音と葵は並んで座った。二人の弁当は内容こそ同じで
あったが、量の差が二倍ほどあった。無論、葵の方が多い。
「これ、松原さんが?」
「ええ。お母さんにも手伝ってもらったんですけど・・・」
琴音の質問に葵は照れくさそうに答えた。人が自分のために何かしてくれる。本当に久し
ぶりだった。本当に、久しぶりだったのだ。
「姫川さん・・・」
葵が話しかけた。琴音は何故か返事をしない。が、かまわず葵は続けた。
「昨日は、すいませんでした。怒鳴っちゃったりして・・・。でも、私、姫川さんがどう
しても悪いとは思えないんです。いえ、姫川さんは悪くありません。だからそんなに自分
を責めることは・・・」
と、ここまで言って葵は琴音の異変に気づいた。肩が小刻みにふるえている。葵は、また
もや琴音を怒らせてしまったのか、と思った。が、違った。
 「うっ、うう・・・」
琴音は泣いていたのだ。
「姫川さん、私、また何か・・・」
「違う、違うんです・・・」
琴音はうれしかった。うれしかったのだ。誰かが自分のために弁当をつくってくれること
など、二度とあり得ないと思っていたのだ。
「姫川さん・・・」
理由のわからない葵にはただ心配するしか術がなかった。
「・・・松原さん・・・」
「はい?」
「・・・ありがとう。本当に、ありがとう・・・」

 その後、琴音は弁当を残さず食べた。が、松原家のボリューム満点の弁当は琴音に胸焼
けを起こさせるに至ったのだった。


反省会
  ちぇすとー!!元気がないぞ!もう一回、ちぇすとー!!
  どうもヒトシです。皆さんお元気ですか?僕は元気です。
  さて、今回はいかがでしたか?僕にしてみると反省点ばかりです。はぁ。
  ここで「第一部 完」といったところです。まだ、書きますよ。フフッ
  明日は学校休むので、ここには来れません。それじゃ!