日本一(?)昔話 第四話 「千鶴の恩返し(仮)」 投稿者:ヒトシ


 汚く狭いアパートの中、耕一はトランクスにTシャツという姿で寝転がっていました。
特にすることもなく暇を持て余していると、ピンポ−ンと突然チャイムが鳴りました。
「はい、はい、ちょっと待ってくれよ。」
そう言うと立ち上がりドアの所まで行くと、鍵を開けました。
「あ。」
チャイムの主は千鶴でした。
「ど、どうしたの?急に・・・」
しかし、千鶴は耕一の言葉を無視して部屋に上がり込んできました。
「あ、あの・・・」
「まあ、耕一さん、お部屋の掃除はちゃんとしているんですか?」
千鶴はそう言うと勝手に部屋の掃除を始めました。しかし、
「きゃあ!」
ガシャ−ン、とコップを割ってしまいました。
「す、すいません!」
千鶴はコップの破片を片づけ始めました。
「あー、もう。俺がやるからいいよ。」
耕一は千鶴を押しのけ、自分で片づけを始めました。千鶴では指を切りかねないからです。
しばらくして、コップの細かな破片を掃除機で吸っていると、台所からツーンとした嫌な
臭いがしてきました。「匂い」ではなく「臭い」です。エルクゥの勘が「ヤバイ」と告げています。
耕一は恐る恐る台所を除きました。すると、千鶴が「見た目だけは」シチューを作っていました。
「なにやってるの!」
耕一は怒鳴りました。怒鳴ることはないと思いますが・・・
「・・・私、耕一さんにお礼がしたかったんです・・・」
千鶴はつぶやきました。
「えっ?」
「耕一さんにいろいろ迷惑をかけてしまったのに、私、お礼も何もしていないことに気づいたんです
・・・。でも、だめですね、私ったら不器用で・・・。」
そう言うと千鶴はうつむきました。そんな千鶴を耕一は抱きしめました。
「耕一さん・・・」
「バカだな・・・、そんな事、しなくてもいいのに。俺は千鶴さんがいてくれるだけで十分さ・・・」
きまった。耕一は心の中でそうつぶやきました。しかし、千鶴は耕一の腕をふりほどき、
突き飛ばしました。その勢いで耕一はしりもちをついてしまいました。
「ど、どうしたの千鶴さん?急に?」
耕一が見上げると千鶴は何かおびえた顔をしていました。
「耕一さん!私が千鶴だとどうして!!」
「はぁ?」
「私が千鶴だと気づかれるなんて!!」
千鶴はわけの解らないことを叫びました。まさか扉を開いたのでしょうか?
「何、言ってんの?千鶴さん?」
耕一には全く理解できません。
「ばれてしまったら仕方ありません。・・・、耕一さん、あなたを・・・殺します。」
「な、な、なんでだぁぁぁ!!!」

  「?、何、これ?」
梓はテーブルの上にある二冊の本を手に取りました。
「千鶴お姉ちゃんが昨日読んでたよ。」
初音が答えます。
「こんなの読んで、どうしたんだか。」
梓があきれたように言いました。その本は「鶴の恩返し」と「雪女」という昔話の本でした。

反省会
どうもヒトシです。期待してくださったみなさま、すみません。中途半端な話ですね。
なんだか前半はマルチの話のようになってしまいましたね。打ち込んでる時気づきました。
久々野サン、巨匠なんてとんでもないです。恥ずかしいっすよ。
ちくしょう、もっと精進せねば・・・!!