夢で逢えたら 投稿者:春夏秋雪
見つめ合おう 語り合おう
君と共にこの手つないで
見つめ合おう 語り合おう 
君と共にこの温もりを
優しさを分かち合う
すばらしい家族
微笑みが今よみがえる
優しさが・・・・・・
見つめ合おう 語り合おう
君と共にこの手つないで
見つめ合おう 語り合おう 
君と共にこの温もりを・・・・・

『夢で逢えたら』
第一章 闇の中で語るコエ
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暗い・・・
混沌よりも・・・
深い・・・
夜よりも・・・
俺は今、闇の中いや虚無の中を漂っている・・・
しかし、焦りは微塵も感じない。
『あの夢』とは違う、安らぎを感じる。
このまま、この流れに身を任せ流れていたい・・・
流れる
流れる
流れる
流れる
流れる
流れる
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・
一体どれくらい俺は流れたのだろう?
不意に『ソレ』は聞こえた。

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

いや、『その声』は頭に直接響いてきた。

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

誰だ!!何処に居るんだ!!!
今までの安らぎが一気に恐怖へと変わる。

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

また、響く・・・

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

やめてくれ!!

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

やめろ!!!

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

「やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
・・・・・・チュンチュン・・・
雀の囀りが外で聞こえる。
「・・・・・・夢・・・・か?」」
俺は布団から上半身を起こす。
シャツが汗で湿っているので着心地が悪い。
俺はシャツを脱ぎ、そこら辺に投げ捨てる、と同時に襖が開き
「耕一さん、おはようございます。今日も良い・・・て・・・ん・・・」
そこで朝日を浴びた女神――千鶴さん――の言葉が止まる。
「・・・・・・・・・・」
暫くの気まずい間が流れ、千鶴さんの顔がみるみる紅潮する。

バタンッ!!

襖が勢いよく閉まり千鶴さんの姿が隠れる。
「す・・・すいませんっ!!ノックもせずに入っいませんが、いつもなら着替え中で、
寝て居るんで起こそうかな・・・・って、ノックはいつもしてるんですけどあれ?あの・・・私その・・・」
あからさまに動揺している千鶴さん。
いつもは柏木家の母親役として常に凛としているが、こういう時の千鶴さんは子供のように見える。まあ、
そこが千鶴さんの良いところと言えば良い所なんだけれども・・・
「千鶴さん落ち着いてくださいよ。」
「え?あ、はい・・・大丈夫です。落ち着きました。」
戸を通して聞こえた。なんかおもしろい。
「で?なんですか?」
「あ、朝食の支度が出来ましたんで、起こしに来たんですけど・・・」
「分かりました。着替えてすぐ行きます」
「はい」
そう言うと、俺は着替えて寝室を後にした。

大学の定期テストも終わり何とか単位を取った俺は春休みを使って柏木家に来ている。
突然の訪問にみんな驚きはしたが、温かく迎えてくれた。
初音ちゃんは相変わらず俺をお兄ちゃんと呼んで相変わらず慕ってくれるし、楓ちゃんは前よりは明るくなり
笑顔も見せるようになった。『あの事件』の後、彼女の態度は少しずつ…だが急速に『昔の楓ちゃん』に
戻り始めている。梓は『あたしの手間をかけさせるな!!穀潰し!!』なんて言っているが、
千鶴さんが言うには梓が一番喜んでいるらしい。梓の料理を見れば一目瞭然。全く素直じゃ無いというか・・・。
で、千鶴さんは変わらず俺を温かく迎えてくれた。
こんなことを言うと臭いと思うかもしれないが、家族って本当に良いと思う。
しかし、

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

あれは一体何だったのだろう?
夢?・・・いや、夢にしては生々しい感じがした。
もしかして、別の鬼か!?
もしそうなら、そいつの凶行を阻止しなければならない。
もう二度とあのような悲劇は生みたくない。
柳川や叔父さんそして・・・・・親父のような。
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「あ、お兄ちゃん!おはよう。」
「耕一さん、おはようございます。」
「・・・おはようございます。」
「うん、おはよう。」
ダイニングルームに行くと、初音ちゃん、楓ちゃん、千鶴さんがテーブルを囲んでいた。「やっと、起きたか。
三流大学生。」
悪態をつきながら台所から梓がやってくる。
「はいはい、どうせ俺は三流大学生ですよ。」
と、言い返す。これは俺と梓の一種のコミニケーションであると言っても過言ではない。日課のようなことだ。
一応、全員に朝の挨拶を済ませ、楓ちゃんの持って来てくれたお茶を啜っていたとき。
それは・・・・・聞こえた。

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

「なっ・・・・!!」
夢で聞いた声である。
「千鶴さん!今の聞こえた!?」
俺が聞くと
「何がですか?」
と、千鶴さんが答えた。
「何って、今の声だよ!」
初音ちゃんも楓ちゃんも梓も不思議な顔をする。みんなには聞こえない?俺にだけ聞こえる?
「どうした、耕一幻聴でも聞こえたか?」
いや、幻聴のはず無い。俺には確かに聞こえた。

『ソコヘ行ケバ奴ニ逢エル』

『刻ハ満チタ』

『果タサレヌ想イ叶エヨ』

聞こえる。確かに聞こえる。夢で聞いた声だ。しかも違う部屋から聞こえてくる。
俺は思わずその声の聞こえる方へ走っていた。
「耕一さん!?」
千鶴さんが声をかけるが俺はそれを聞かずに声の元に向かった。
『そこ』?
どこだ!!
『奴』?
誰だ!!
『時が満ちる』?
何の!!
『想い』?
どんな!!
『叶える』?
誰の!!
分からない。
一体誰が何のためにしかも俺だけに伝えるのだろう?
そして、俺は声の聞こえた方に走っていった。
そこで見たモノは、俺は信じられないモノだった。
仏壇の前に人がいた。・・・・いや、見えた。
憂いを秘めた瞳の持ち主。
俺は『彼』を、よく知っていた。
「・・・・次郎衛門。」
俺は『俺』にあった・・・・・・・
                        (続く)
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あとがき

春「とうとう、やっちまった・・・・。長編モノ企画。自分の技量をはかれない自分が恨めしい・・・」
梓「駄文しか書けないくせに構想ばっかり凄いの練って、この馬鹿理系人間。」
春「おおっ!!梓ちゃん!?本物だ!!すげーっ!!」
梓「ンな事より挨拶せんかい!!」
 春「はい!そう言うわけでお久しぶりです。春夏秋雪です。(ちなみに“はるかあきゆき”と読む)
今回はなんと痕の長編モノに挑戦します。思うとリーフにはまるきっかけとなったこの作品。出来ていると
思っているので多分書かないでしょう。その点、“痕”はまだまだ先があるような話の展開ですから、書きやすいです。
この話でも多々、疑問点・矛盾点がありますがそこは 目をつむって下さい。」
梓「そう言えば、この話某洋画の影響かなり受けてない?」
春「(びくぅっ!!)・・・・・そう?」
梓「何か最初の文も・・・・」
春「(ぎくぎくっ!!)あ、そうだ私の作品を読んで感想メールを送ってくれた、ねずみさん、
Hi−waitさんありがとうございます。お返事はもうちょっと待って下さいね。そうそう、感想、意見何でも
良いですから良かったら下さい。参考にさせていただきます。カミソリレターでも可!!」
梓「・・・どうやって、メールでそんなモノ送るんだよ。」
春「いや、これを見ている人一人ぐらいそんな器用な人がいるかなって・・・・」
梓「・・・・まあ、それは否定せんが・・・」
春「そう言えば、入学案内書ですが、もう少し時間が出来てから送ります。では、続き出会いましょう。」
梓「それって、いつ出すの?」
春「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それでは、みなさんまたお会いしましょう!!!」
梓「おいっ!今の間は何だ!!こら逃げるなぁぁぁっ!!」
春「さようなら!!」
梓「さては、続き考えてないな!!!」
春「うるさい!!食らえっ!!必殺っ下!右下!右!!Aっ!!」

ずどぉぉぉぉぉぉぉんっ!!

梓「そんな描写表現無理な技使うなぁぁぁぁ!!」

二人が争っている中、画面がフェード・アウト。

(あとがき・おしまい)