続・千鶴さんの一網打尽レ・シ・ピ(ダイヤ) 投稿者:春夏秋雪
カチッカチッカチッ・・・・・・・

柱時計の秒針がうるさく聞こえる。
俺は自分の右手に視線を移す。
そこには銀色に輝くスプーンが握られていた。
銀色が色あせて見える。
スプーンがいやに重く感じた。

ゴクッ・・・・

そして恐る恐る視線を正面のモノ――千鶴さんの料理――に、向ける。
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柏木家に飛んで行った俺は美女4人に歓迎された。
「耕一さんのために丁度夕食を私が用意したんですよ」
笑顔で語りかけてくる千鶴さんに
「そ・・・・それはぁあ、うれしぃいいなぁぁああ。」
作り笑いをする俺。・・・・ああ、こんな優柔不断な俺が嫌だ。
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「どうしたんですか耕一さん?」
俺が全く千鶴さんの作ったソレに手を着けないのを不思議に思ったのか聞いてくる。
「い・・・いやっ!!美味しそうでなんか食べるのが勿体ないなぁ・・・・なんて。」
ああああああああっ!!優柔不断な俺の馬鹿野郎!!
ちなみに千鶴さん特製のコレを食べるのは俺一人である。
ほかのみんなは梓の作った夕食である。
千鶴さん曰く
「実は失敗して食材が一人分だけになって・・・・・」
だそうだ。ともかくコレでほかの3人には被害が及ばないわけである。

・・・・・では、今日の千鶴さんの作ったドリアについて説明&解説をしよう。
全体的な色は青紫。まだ、焼きたてだったのか30分以上グツグツを煮えたぎっている。
そしてそこから漂う刺激臭が食欲をかき立てます。具はもはや材料の原型が判断できないので
測定不可能。命名『一撃必殺エクルゥドリア』

カチッカチッカチッ・・・・・

秒針がうるさく聞こえる。
梓も楓ちゃんも初音ちゃんも、そして千鶴さんも俺の方をジッと見ている。
・・・・・・・親父、ごめん親父との約束守れそうもない・・・・・・

グッ!!

右手に力が入る。
これ以上ない緊張が体中に走る。
そしてスプーンをドリアに近づける。
スプーンがドリアに触れると同時に

ジュッ・・・・・

「・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・」
・・・・・銀色のスプーンの先が一瞬で消えた――溶けた。
背中に変な汗をかいているのが分かる。

コウイチ・・・・・
コウイチ・・・・・

唐突に俺の中の鬼が話しかけてくる。

・・・・・コウイチ、オレハマダ死ニタクナイ。

おれも死にたくねえよおおおおぉぉぉぉぉっ!!!
・・・・・・・・・しかし、鬼まで怯えるようなドリアって一体・・・
先の消えたスプーンを見て青ざめる俺。
「あら、スプーンが壊れてますね。今、換えを持ってきますね。」
今の出来事を全く理解してない(ワザとか?)千鶴さんはそう言って
台所に姿を消していった。
ダイニングルームに気まずい空気が流れる。
「・・・・・お兄ちゃん。」
この夕食で初めて初音ちゃんが喋りかけてきた。
しかし、誰一人とて俺の方には目を向けない。
「・・・・・お兄ちゃん、わたしお兄ちゃんのことを忘れないよ・・・」
「耕一さん、骨はひろってあげますから成仏してください。」
「・・・・まぁ、骨が残っていればね。」
初音ちゃん、楓ちゃん、梓がそれぞれ遺言らしき言葉をを俺に言う・・・・・

「耕一さん、はい!チタン性の強化スプーン。」
笑顔でスプーンを渡す千鶴さん。
「いやじゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁっ!!!!」
その後、耕一が3週間大学を休んだのは、まあ余談である。
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「あれぇ・・・?おかしいなぁ?ちゃんと説明書通り作ったのに・・・」
千鶴さんの持っていた本の表紙にはこう書いてあった。

『クリー◯ウの一網打尽レシピ』


                                 《完》

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そういうわけで、春夏秋雪です。
なんか久々野さんやまさたさんハイドライドさんになどに感想いただいてとても嬉しいです。
ありがとうございます(ぺこり)

残念ながら今定期テスト中でじっくりみなさんのSSを読む時間がありませんので
レスはありません。

今回は耕一のみの人称で書きましたがいかがでしょう?
まだまだ未熟ですが見捨てないでください。

目標はLeaf学園で暴れることです。
誰か使って・・・・・・

ではでは、この辺で