千鶴さんの一網打尽レ・シ・ピ(はあと) 投稿者:春夏秋雪
「・・・・耕一緊急事態だ。」
「はあ?」
我ながら情けない声で答えた。
大学の定期試験も終わりのんびりしていたところにかかってきた梓からの
一本の電話。その梓が開口一番に言ったのはこの台詞であった。
「頼む・・・・・すぐに家に来てくれ・・・・」
その声からは絶望・哀願・苦痛・苦悩・・・・・など、あまりにも多くの感情が
混ざっていて梓の気持ちが分からない。
「おい!どうしたんだ?」
どうしてだろう、凄く嫌な予感がする。
「・・・・・千鶴姉が・・・・千鶴姉が・・・・」
「!!!」
(まさか、千鶴さんに何かあったのかっ!?)
緊張が走った。
そして、梓の言った台詞は
「千鶴姉が・・・・これから毎日ご飯を作るって言っているんだ!!」

ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!!!!

「な・・・な・・・な・・・なにぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」
ある意味最も恐ろしいことを言う。
「何なんだ!!それは!!」
「知らないって!!けど、『耕一さんが来るまでには・・・』って言ってるんだよ!!」
情けない声で答える梓。
「なぜじゃぁぁぁっ!!」
「ほら、耕一って家に居る時いつも私や楓や初音の料理を『おいしいおいしい』って言って
食べてるだろ?」
「・・・ああ」
(事実、本当においしいからなぁ・・・)
「多分、千鶴姉も耕一に言ってもらいたいんじゃないかな?」

ずどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんっ!!!!

二次爆発。
「やめさせろ!!すぐに千鶴さんにやめさせろっ!!」
叫ぶ耕一。
「無理だよぉぉぉっ!!千鶴姉ずっと“鬼”モードで料理してるんだ!!」

くたぁ・・・・・

もう、自爆する気力もなくその場に経たり込む耕一。
なんか、バックが黒く見える。
「・・・・・梓。悪いか今回は自分の命を優先させてくれ・・・・」
「ちょ・・ちょっとぉぉぉっ!!逃げるなんて卑怯よ!!」
「うるさいっ!!俺はこの若さで親父の元になんて行きたくない!!」
正しい選択だと思うが、そうは問屋がおろさなかった。
「・・・・これでもか?」
「?」
数秒後。
「もしもし?お兄ちゃん?」
天使の声が受話器を通して耕一の耳元でささやいた。
「は・・・初音ちゃん?」
「・・・私ね・・・お兄ちゃんのこと待ってるから・・・・・」
待ってるから
・・・待ってるから
・・・・・・・待ってるから
・・・・・・・・・・・待ってるから
・・・・・・・・・・・・・・・・待ってるから
耕一の心の中で初音ちゃんの『待ってるから』がエコーで響く。
(ううっ、何故か罪悪感を感じる・・・)
何故か自分が悪いことをしているような気になる耕一。
そして・・・・・
「・・・・・耕一さん」
「楓ちゃんっ!?」
「・・・・私はあなたを・・・・信じてます。」
信じてます
・・・信じてます
・・・・・・・・信じてます
・・・・・・・・・・・・・・信じてます
・・・・・・・・・・・・・・・・・・信じてます
もちろん、耕一の心の中で楓ちゃんの『信じてます』がエコーで響く。
(ひぃぃぃぃぃぃぃんっ!!刑事さん私が悪かったですぅぅぅぅっ!!)
訳分からんことを思う耕一。
「どうする?耕一?あんたが来なかったら楓や初音が犠牲になるんだよ?」
トドメである。
「分かった!!すぐ行く!!その間千鶴さんの暴動(?)を押さえておけっ!!」
「ありがとう耕一ぃぃぃぃぃっ!!」
泣きながら感謝する梓。
かくして耕一は柏木家に向かうのであった・・・・・・・


                         前編  完
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そう言うわけで春夏秋雪です。今回は一応痕モノですね。
・・・・・まぁ、ありきたりなネタを書きましたが、後編は少しはみなさんの
期待を裏切るネタで攻めたいですぅ!!!

レスです
【まさたさん】  感想ありがとうございます!!とても嬉しかったです。
          『赤ずきんちゃん』の続きを楽しみにしてます。
          図書館管理大変そうですが、あまり無理をなさらないでください。
そのほかはすみません時間が無くてあとで書きます

ではでは(ぺこり)