痕−まだ癒えぬ痕−1 投稿者:パルティア


「ぜひお話したい事があります。今日の4時にここでお待ちしてます」
起きて5番目に目に付いたメモにはそう書かれていた。下には、簡単な地図も
添えてある。千鶴さんらしい達筆が、俺の目に奇妙に印象的だった。

 話?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
駄目だ、分からない。いくら考えても心当りは・・・・・・・ない。
しかし、わざわざ俺を外に呼びつける点、俺の都合を聞かず有無を言わさない点、
これからもなにか深刻な話であるのは明らかだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
駄目だ!これは直接聞かないと駄目だ。時計を見ると2時。まだ2時間近くある。
時間をつぶすか・・・・・・・俺は梓の作った食事を食べながら、ぼんやりと考えていた。

やがて、4時7分。俺は勢いよく、指定された喫茶店の扉を開いた。
・・・・・・よりにもよってこんな時に遅刻するとは・・・・・。
千鶴さんは・・・・・・いた!窓際の席に腰掛けて、恐ろしく思い表情で外を見つめている。
怒っているのか・・・・・・?
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「連れが先に待ってます」
対応に来たウェイトレスに、ぶっきらぼうに言い放つと、俺は千鶴さんの座る席に
向かった。
「千鶴さん!遅れてごめん!」
俺は、重い顔つきの千鶴さんに頭を下げる。しかし、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
千鶴さんは無反応。というよりは、俺に気付いていない様だ。
「千鶴さん!千鶴さん!」
「えっ?」
肩を揺す振られて、やっと千鶴さんは俺の存在に気付いたようだ。
「あ、ああ、ごめんなさい・・・・・・」
「千鶴さん・・・・・・・いったいどしたの?」
「わざわざお呼び立てしてすいません。どうしてもお話したい事がありまして」
相変わらず千鶴さんの表情は重い。俺はとりあえずコーヒーを頼むと、
千鶴さんの向かいの席に腰掛け、千鶴さんの話の続きを待った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
先程のウェイトレスがコーヒーを運んできたが、一言も喋らず見つめあってる俺達に好奇心とも
とれる表情を向けたが、黙って去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
埒があかない・・・・・・・・聞くしかないか。
「あの、千鶴さ」「耕一さ」
俺が口を開いた瞬間、全く同じタイミングで千鶴さんも口を開いた。
「あ、ごめんなさい・・・」
「いや、俺の方こそ・・・・・・。で、何?千鶴さん」
「はい、実は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・です。」
「え?ごめん聞こえなかった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ないんです。」
「え?何?もう一回」
「・・が来ないんです。」
「来ない?何がです?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・生理が」

千鶴さんの言った事を知覚した時、世界は色を失い始めた。
そして、これは始まりに過ぎなかったのである・・・・・・・・・・・・続く

眠い・・・・・・初音やってない・・・・・・・ムーンライトシンドローム面白い
以上、作者近影でした(笑)