久しぶりに・・・・綾香 投稿者:P3C(パルティア代理)


静かな空間・・・・・・・・完全に無音な空間・・・・・・・・
聞こえるのは、自分と彼女の息遣いだけ・・・・・・か。

「綺麗ね。」
綾香嬢が小さく呟いた。ふと見ると、彼女の視線の先は窓の外にあった。

言われて私も見上げる。そこにあるのは電気の点いていないこの空間を照らす、
ただ一つの灯かり・・・・・・・・月。

「ええ、とても綺麗ですね。」
私も月を見上げながら答える。こういう事に普段は無関心な私でも、
はるか頭上に輝く月は、素直に「綺麗」に見えた。

「ねえ、そっちに行ってもいい?」
再び私に視線を移した綾香嬢は、問い掛けてきた。

「ええ、どうぞ」
私はベッドから手を伸ばすと、横に置いてあった椅子を彼女の方に向けた。

「ありがとう」
私に礼を言うと、彼女はゆっくりと差し出された椅子に座り込んだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

いつもはよく喋る綾香嬢だが、今は静かに私を見つめている。

「どうしました?」
やがて、沈黙を私の方から破った。いつもと違う彼女に
違和感を感じたから・・・・・・・・今日の綾香嬢は・・・いつもと違う・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
しかし彼女は、私の問いに答えること無く、相変わらずこちらを見つめている。

再び沈黙が続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ぱさっ
 突然綾香嬢は横たわる私の、胸の当たりに頭を・・・・・

「綾香さん?どうかしまし・・・・」
「ねえ・・・・」
私の言葉を遮るように、彼女は唐突に話し掛けてきた。

「はい?」
「少し・・・・・・・」
「え?」

いまだ頭を私の胸につけながら、
「少し分かったような気がするわ・・・・・・・・」
「? 何をです?」

「あなたの事・・・・・・・・・・よ」
そう言いながら、彼女は私の方に顔を向けてきた。

・・・・・・・始めてみる表情の綾香嬢がそこに居た・・・・・・・・
今まで、彼女を見つめたことなど無かったが、初めて見つめる彼女の表情は・・・

「あ・・・・・綾香さん・・・」
そこで彼女は軽く微笑んで・・・・・

「ふふっ、どきっとした?」
「え?」
「ふふっ、どきっとしたでしょう?」
そこにあるのは、いつもの綾香嬢の顔・・・・・・・・

やはり・・・・・いつもの綾香嬢か・・・・・と、思った時、
「いつも私の側にいてくれてるのは何故?  仕事だから? それとも・・・・?」

やはり、今日の彼女は・・・・・・・
私の知ってる彼女ではない・・・・・・ようだ。

「それは・・・・・・・・・・・」
「ふふっ、やっぱり困った顔したわね。」

こ・・・この人は・・・・
「綾香さん・・・・・・・・・あの・・・・・・」

「ありがとう」
「え?」
「いつもありがとう・・・・・・・・・・・」

彼女の・・・・・・綾香嬢の表情が・・・・・・・・

「あ・・・・・綾香さん・・・・・」
「何も言わないで・・・・・・・・・・・・ね?」

そう言うと、彼女は私の胸に顔を埋め・・・・・
「このまま寝ていい?」
と呟いた。

「構いませんが・・・・・・・・・・あの、」
「?  何? 嫌?」

「そうではなくて・・・・・・風邪引きますよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」一瞬の間の後、
「ぷっ、あはははははははははははは」

「?どうかされたんですか?何か変なこと言いましたか?」 
「あははははははははは」

・・・・・・・綾香嬢はひとしきり笑った後、笑い冷めよらぬ表情で、
「ううん、変なことは言ってないわ。 ふふっ、あなたらしい発言だから・・・」

?・・・・・・・・まあいいか。いつもの彼女にもどったようだし・・・・・

「じゃあ、毛布ちょうだい?それなら、文句ないでしょ? ふふっ」
やっと収まったようだ。そんなに笑われる発言?・・・・・分からない・・・・

「どうぞ」
枕元から毛布を一枚取り出す。

私の胸から起きあがり、それを受け取ると
「ありがとう」
今まで見た中で、最高の笑みで返事を返した。
 
そして、再び私の胸に顔を埋めると
「おやすみ」
と呟いて、目を閉じた・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・疲れた、かな?・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・女心は、秋の空より難しいって事か・・・・・・

私も寝なければ・・・・・明日からの仕事に差し支えるな。
目の前の、もう静かな寝息を立てるお嬢様に

「おやすみ」

と呟いて、私も目を閉じ、ゆるやかに来る心地よいまどろみに身を任せていった。

明日は・・・・・・・・・・・・・・晴れるかな?


久しぶりに書いたと思ったら、こんなの書いちゃったよ(笑)
思えば、ここにまじめに書いたの初めてだな・・・・・・・・・・・・・・
これは、私の妄想(暴走?)の産物で、設定等は秘密です。
まあ、ある夜の出来事ってとこです。
いや〜こんなの書くと恥ずかしい恥ずかしい(笑)
まあ、ご意見、反論、「俺の綾香を汚したな!」って方は感想を頂けると幸いです。
書きっぱなしになってる他のSSもおいおい書いて行きますんで・・・・・・
P3C(パルティア代理)でした。