るろうに耕一−リーフ剣客浪漫譚−第百四十四幕「あかり・愛の形」 投稿者:パルティア


                            天翔鬼閃!

「がはあッ!!!!!!!!・・・・・・・・・・・」
次の瞬間、志々雄の体は宙を舞っていた。
「決まった・・・・・・・・・天翔鬼閃・・・・・・・・・・・・・・」
そう梓が呟いた・・・。

床に打ち付けれられた志々雄は、苦しそうに声を出した。
「ガ・・・・・が・・・・・・・・・・・ゴ・・・・・・・・・」
「効いてるな・・・・」
長瀬が呟く。
一度目の踏み込みに抜刀の鞘走り、さらに回転による遠心力、二度目の踏み込み、
そして空間を挟んでの交作法、そして鬼の力。これだけの力を集中させた天翔鬼閃
の二撃目は、俺がくらった一撃目を遥かに凌いでいる・・・・・・・・・・・・・
これでなお立てたら・・・・・・・・・・・・それこそ不死身だ・・・・・・・・
一撃を受けたからこそ月島にはその威力は良く分かっていた。

「志々雄様・・・・・・・・・」
さしもの百識の智子も動揺が隠せないようだ・・・・・・・・・・・・・・・・・

「グ・・・・が・・・・・・・・グ・・・・・・・・・グゴオォォォ!!!」
志々雄の苦しみ方が変わった!

・・・・・・・・限界・・・・・・・・・!!
突然あかりが志々雄に駆け寄り絶叫した。
「お願い!もうやめて!これ以上は無理だよ!浩之ちゃんは全身火傷の後遺症で
本当なら十五分以上闘ってはいけない体になってるの!」
「・・・・・・・もういいでしょ!!これ以上浩之ちゃんを苦しめないで!!・・・
・・・・・・・・・お願い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

泣き叫ぶあかりを見て、さすがに耕一も刀を下ろし・・・・・・・・・
「甘えよ抜刀斎・・・・・・闘いはまだ続いてるんだぜ!!」
「あ!」

・・・・・次の瞬間、何が起ったのか志々雄とあかり以外の人間は知覚できないでいた。
あかりの胸から刀が生えていて・・・・・・いや、志々雄の刀があかりの胸を貫いて、
耕一の胸に突き刺さっていた。

事態を知覚すると同時に、耕一に痛覚が走った。
「志、志々雄・・・貴様そこまでして・・・・・自分を愛する人を裏切ってまで
勝ちを得たいか!!!!」
胸から激しい出血をした、耕一の倒れながらの絶叫が響き渡った。

「・・・・裏切るだと・・?てめえのものさしでかたるんじゃねェよ。こいつは
誰よりも俺を理解し、俺は誰よりこいつを理解している・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・嬉・・・・・・・しい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初めてわたし・・・・闘いの中で役に・・・それも浩之ちゃんの一番大事な闘いで
役に立てた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつも・・・・雅・・・ちゃんや志保に嫉妬してた・・・・・・・・・・・・・・
浩之ちゃんにとって・・・・・・・闘いが全て・・・・なのに私に出来る事は料理
と体のお世話だけ・・・・・・・・い・・つもいつもくやしく・・・て歯がゆかっ
た・・・・・で・・も・・・今は違う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・勝って・・・・・・・・・・浩之ちゃん・・・・・・・・・・・・
あかりは一足先に・・・・・地獄で・・・・・・・待ってるよ・・・・・・・・・」

そして・・・・・・・そして、あかりは沈黙した・・・・・・・・・・・・永遠に

「神岸あかり・・・・・一途な女だったが最後の最後まで一途だったか・・・・・」
智子が呟く。

「ふざけるな!死ぬコトのどこに幸せがある!?生きていればもっと・・・・・・
もっと違う形の・・・・・・・!!」

「他人の死をどーこー言ってる時じゃねェだろ。俺もお前もよ・・・・・・・・・
先に立ちあがって次の一撃を入れた方が!最後まで生き残っていた方がこの闘いの
勝者だ!!」

志々雄浩之が叫んだ。

次回第百四十五幕「決着−時代の選びし者−」緋村耕一と志々雄浩之の決着は?


また書いてしまいました。感想など頂けたら幸いです。