柏木家の暴走 SUPER『響子ちゃんのステキな日々(ホントか?)』 投稿者: へーのき=つかさ

 このSSは大変危険です。
 お読みの際は、精神科医の指導の下、斜めにお読み下さい。
 このSSを読んで精神的、肉体的異常を起こした際は、直ちに使用をやめ、速やかに最寄りの精神科医で診察を受けてください。

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                 今までのあらすじ

耕一:会長  >両断
千鶴:名誉会長>伐採
梓 :料理人 >忘却
楓 :毒舌家 >ネガポジ
初音:会長秘書>オカルトマニア
足立:社長  >肉塊
響子:記者  >オカルト記者

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                   登場人物

◎柏木耕一
 初音を愛する神聖ロリコン男。失敗続きの千鶴に代わり、鶴来屋の会長に就任する。
◎柏木千鶴
 名誉会長として自堕落な生活を送る、2○才偽善不器用貧乳。
◎柏木梓
 鶴来屋にシェフ見習いとして就職。唯一まともな人生を送っている人物。
◎柏木楓
 毒舌によって数々の猛者を沈めてきた柏木家最終兵器。密か(?)に耕一を狙うが…
◎柏木初音
 耕一の専属秘書。ラブラブエッチ(爆)な愛欲に爛れた日々を過ごす(死)
◎足立
 鶴来屋社長。伝説の暗殺拳、長瀬神拳の伝承者。熊殺しの称号も持つ。
◎相田響子
 雑誌の記事を書くために鬼の伝説を調べている。別名やられ役一号。
◎小出由美子
 誰それ?

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「ここに集まってもらった理由は言うまでもない」
 耕一は厳かに言い放った。
 彼の前には社長足立、会長秘書初音、名誉会長千鶴が神妙な面持ちで佇んでいる。
「これを見てもらいたい」
 耕一が指示棒を振ると、真っ黒だった空間にひとりの女性の顔が映し出された。
「名前は相田響子。知ってのとおり、彼女は雨月山の伝説について調べている」
 ざわざわざわ…
 観客席で動揺が起こり、にわかに騒がしくなった。
「雨月山の伝説…もしそれが解明されてしまえば、我々の生活を脅かす恐れもある」
 ごくっ…
 初音と千鶴が息を呑むのが聞こえた。
「だが!」
 耕一はギュッと拳を握り締めた。
「黙って指を咥えて見ているつもりは毛頭無い! 我々は断固戦うぞ!!」
 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
 観客達は総立ちになって喝采を送っている。
「では、これで第一回相田響子対策秘密会議を終了する」

                    ☆★☆

「うーん、でも一体どうすればいいんだろう」
「ホント、どうすればいいんだろうね…」
 耕一と初音は廊下を歩きながら相談していた。
 秘密裏の事なので当然ひそひそ声だ。
「もしかしたら…この世から消さなくちゃならなくなるかもしれない」
「えっ?」
 初音は目を見開いて耕一の顔を凝視した。
 それはふたり息を呑んでをふたりを見守る観客達にも少なからず動揺を与えたようだった。
「お、お兄ちゃん…」
 初音は信じられないといった顔で耕一を見上げている。
「ん………あ、も、もちろんそれは最後の手段だよ」
 耕一は慌てて手をぱたぱた振った。
「な、なんだあ…」
 初音はほっと胸を撫で下ろした。

「耕一さん!」
「あれ、千鶴さん?」
 見ると、向こうから手を振りながら千鶴がドスドス…もといぱたぱたと駆けてきる。
 手には長い棒のような物が入った緑色の袋を持っていた。
「千鶴さん、それは何?」
「これはですね…」
 心底嬉しそうに袋を開ける。
「じゃじゃーん!」
 なんとそれは一振りの立派な太刀だった。
 おおぉっ!
 観客者達が驚嘆の声をあげた。
「この刀は…?」
「次郎衛門が愛用したといわれる鬼の剣です。これで彼女をばっさばっさと切り伏せ…」
 どすっ
 耕一は千鶴の鳩尾に肘を打ち込むと、近くにあった掃除用具入れに刀ごと放り込んだ。
「やれやれ、千鶴さんも困ったもんだね」
「くすくす、本当だね」
 耕一と初音は、久しぶりに明るく笑いあった。
 こんなに笑ったのは本当に久しぶりだ。
「でも、本当にどうしようか」
 急に声のトーンを落とし、耕一は再び呟いた。
「…楓お姉ちゃんに訊いてみようよ。お姉ちゃんならきっといい考えを出してくれるよ」

                    ☆★☆

「出ていってください!」
「うわわっ!?」
 耕一は迫りくる目覚しを避けながら部屋を飛び出した。
「一体どうしたんだ、楓ちゃんは…」
 響子が鶴来屋を訊ねて来たその日から、楓は一歩も部屋から…いや、布団から一歩も出てこないのだ。
「耕一さん、まだまだですね」
「千鶴さん…」
 廊下で千鶴が腕を組んで立っていた。
「私に任せてください」


「楓、楓…」
「………」
 楓は頭から布団をかぶったまま動かない。
「いつまでいじけてるのよ、体のカラーパレットがネガポジ反転しちゃったからって」
「………」
「楓、どうしても私達はあなたの力が必要なの」
「…こんな姿で…耕一さんの前には出られない…」
 布団の中からすすり泣く声が聞こえた。
 楓は泣いていた。
「…分かったわ」
「何が分かったっていうのよ!」
 楓は普段の冷静さを完全に失い叫び声をあげた。
「もし協力してくれたら、ふぉとしょ○ぷ…はちょっと無理だけど、ぺい○としょっぷでもとの色に戻してあげるから」
「本当…?」
 布団の中から、色が反転して真っ白の紙が覗いた。
「だからお願い…」

                    ☆★☆

 隆山の山の中にある水門…
 響子はガイドブックや歴史書を片手に双眼鏡を覗いていた。


「くそ…まさかもう水門までつきとめていたとは…」
 ここからヨークが眠る洞窟までは歩いてすぐだ。
 もはや見つかるのも時間の問題…
「う〜む」
 耕一達は腕を組んで最良の策を練っていた。
 ちなみにここにいるのは、耕一、初音ちゃん、千鶴さん、楓ちゃんだ。
「そうね…」
 不意に楓が口を開いた。
「とりあえずヨークの洞窟を隠しましょう」
「そうだな」


 ごろごろごろ…
「楓ちゃん、この岩は?」
「そこに並べてください、あまりきれいに並べすぎないように」
 がさがさ…
「お姉ちゃん、この草は?」
「それはそこに立てて」
 楓はテキパキと指示を飛ばす。
 そのあまりの手際のよさに、耕一は後頭部がまだ反転して白いままである事は言えないでおいた。
「ねえねえ」
 千鶴が何か嬉しそうに耕一に話しかけてきた。
「何?」
「あのね、思ったんだけど…わざとここに誘い込んでダリエリに狩らせ…」
 ずばっしゅ!
 耕一は鬼の剣で邪魔物を切り伏せた。
「全く、相変わらず千鶴さんは…」
「くすっ、本当だね」
 初音の天使の微笑み。
 耕一はHPが150回復した。
「オイ、ヨンダカ?」
 洞窟からひょいとダリエリが顔を覗かせた。
「呼んでねえ」
 邪険に扱われ、ダリエリはちょっとショックだった。
「そうそう、ここしばらく埋めるからな」
「ナゼ!?」
「じゃあまたな」
「マテ、セメテリユウグライハ…」
 がこんっ
 耕一は問答無用で最後の岩をはめ込んだ。


「これでヨークの方は問題無いな」
 一同は水門に戻り、響子の監視を再開した。
「耕一さん、あれを!」
 千鶴が指差す先を見て、観客もざわざわと騒ぎ始めた。
「そんな…!」
 楓も思わず舌打ちする。
 なんと、響子は弁当を広げていたのだ!
「私は…街に戻って食事を採ると思って…いや、信じていたのに!」
「どうしましょう耕一さん、このままでは私達は…」
 なんてこった…
 耕一は頭を抱えて座り込んでしまった。
 このままではみんなお腹を空かせてしまう。
「だ、大丈夫だよ…頑張って我慢すれば…」
「もしお腹が鳴っちゃったりしたらどうするの! 責任をとってくれるの!?」
 千鶴は厳しい目をして初音を見下ろした。
「ううぅ…」
 その勢いに押され初音は後ずさった。
「千鶴さん! 初音ちゃんも…今は仲間割れをしている場合じゃない」
「で、でも…」
 千鶴は両拳を胸のところに合わせて目を潤ませている。
 俺は無力だ…
 耕一は自分を呪った。
 何が鬼の力だ!
 みんなの空腹を癒す事すらできないなんて!
 最悪の場合、飢えた仲間を喰らう事になるかもしれない…

「そうだわ…」
 楓は懐からPHSを取り出した。

                    ☆★☆

 ぶるるるるる…
 ぶるるるるる…
「ん?」
 梓はポケットのPHSが震えているの気が付いた。
「ったく、仕事中なのに」
 ぐちぐち言いながらもトイレに移動してちゃんと応対する。
「もしもし」
『姉さん?』
「なんだ楓か…」
『そんな口を利いていいの? 私が本気を出せば梓姉さんを社会的に抹殺…』
「だーっ! 分かった分かった…一体何の用だ?」
『至急弁当を4人分用意して欲しいの』
「弁当…? まあ理由は聞かないけど、分かった。じゃあ誰かに頼んで…」
『駄目、梓姉さんが届けるのよ』
「え、なんで」
『いいから、早く水門まで持ってきてね』
「ちょっと待て! 水門ってここからどれだけあると…」
 ぶつっ!
 電話はそこで切れた。
「おいおい、どうしろってんだよ…あたしはまだ仕事中だぞ…」

                    ☆★☆

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
「おっ、来た来た」
 砂煙を上げながら紙袋を抱えて走ってきたのは、薄幸巨乳娘こと梓、その人である。
 ずざざっ!
「つ、着いた…」
 見ると梓はシェフの格好をしたまんまだ。
 よっぽど急いで来たのだろう。
「さーて食うか」
「わーいご飯だー」
「…いただきます」
「あ、初音、割り箸とって」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
 梓の叫びが森中に響き渡った。
「んー、何だ?」
 弁当のから揚げを摘みながら、耕一が真剣に訊く。
「感謝の言葉は無いのか!? 鶴来屋からここまで突っ走ってきたんだぞ! 何キロあると思ってるんだ!!」
「あー、ありがとう梓」
 水筒の茶を啜りながら、耕一が心から礼を言う。
「しくしくしくしく…」
「ねえ、梓」
 肩をがっくり落として泣く梓に、ゆっくりと千鶴が歩み寄った。
「泣かないで、梓…」
「これでどうやったら泣けずにすむんだ!」
「違うの梓! 私達がわざわざあなたを呼んだのには訳があるの!」
「え…?」
 梓の顔に少し期待の色が見える。
「あなたにしか頼めないの………お願い、この食べ終わったお弁当箱持って帰って…」
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 梓はエルクゥ全開で走り去った。
「ちょっと梓! プラスチックは土に埋めても分解されないのよ!!」
 後には千鶴の悲しい叫びだけが残された。



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次回予告!
 鬼の伝説の核心に迫る響子。
 はたしてプラスチックゴミは持ち帰られるのか!?
 生き埋めになったダリエリの生死は!?
 次回『柏木家の暴走 SUPERX』
 初音ちゃんの天使の笑顔にくらくらノックダウンだぜ!