このSSは大変危険です。
お読みの際は、精神科医の指導の下、斜めにお読み下さい。
このSSを読んで精神的、肉体的異常を起こした際は、直ちに使用をやめ、速やかに最寄りの精神科医で診察を受けてください。
────────────────────────────────────────
今までのあらすじ
初音「シンクロ率、400%!」
千鶴「まさか……暴走!?」
耕一「足立さんはこのために僕を呼んだの…?」
足立「会長になるなら早くしろ、でなければ帰れ」
楓 「私は三女だから…」
────────────────────────────────────────
登場人物
◎柏木耕一
初音を愛する神聖ロリコン男。失敗続きの千鶴に代わり、鶴来屋の会長に就任する。
◎柏木千鶴
足立の陰謀により会長職を追われた、2○才偽善不器用貧乳。
◎柏木梓
最もまともな感性を持っているゆえに異端視される、不幸の星の下に生まれた少女。
◎柏木楓
毒舌を吐かせたら右に出る者はいない。柏木家最終兵器。
◎柏木初音
耕一の専属秘書。ラブラブエッチ(爆)な愛欲に爛れた日々を過ごす(死)
◎足立
鶴来屋社長。伝説の暗殺拳、長瀬神拳の伝承者。
◎柳川裕也
また出ません。
────────────────────────────────────────
ずず〜〜〜ん……ずず〜〜〜ん……
今日もまた、鶴来屋には激しい振動が響く。
新入社員A「今日は一段と凄いですね〜」
先輩社員B「そ、そうね…」
ずっし〜ん……ずっし〜ん……
新入社員A「ところで…前から思ってたんですけど、この揺れはなんなんですか?」
先輩社員B「………」(真っ赤)
ぎしぎしぎしぎし…ぎしぎしぎしぎし…
新入社員A「なんで真っ赤になるんです?」
先輩社員C「てめえ、新入社員の分際でセクハラとはいい度胸だな!」
新入社員A「えええっ!? 何故?」
☆★☆
新入社員が血の制裁を受け、なんかてきとうにもみくちゃになって粗大ゴミに出されていた頃…
がちゃ、
「ふい〜…堪能したなあ。ねえ、初音ちゃん」
「う、うん…」
会長室から、すっきりした顔の耕一と真っ赤になって俯いている初音が出て来た。
何をしていたのかは知らないが、これは日常の風景である。
「耕一君、相変わらずお盛…げふんげふんっ! 相変わらず元気そうですね」
「これはこれは足立さん、俺はもう元気すぎて絶好調ですよー」
「そうですか、それはよかった」
「ちっ」
窓に張りついてた黒いものが舌を鳴らした。
どうやら、一連の耕一達の行動を観察していたようだ。
かさかさかさかさ、
窓を伝ってベランダに降りると、それは黒いマスクと服を脱ぎ去った。
なんとその正体は柏木家の三女だった。
「耕一さんたらすっかりたぶらかされちゃって…」
クールに決める楓。
鼻にティッシュが詰めてあるのはご愛敬だ。
なんだかコアなファン達からカミソリメールが来そうだが、作者はあえてこの設定をとりやめない。
それは何故か?
今はまだ明かせない。
だから大人しく話の続きでも読んでいてください。
楓は何食わぬ顔でロビーに移動すると、今後の作戦を練り始めた。
(真っ正面からの実力行使はほぼ無理ね…耕一さんの力は私とは比べ物にならない。
初音を闇討ちするのも難しいわね…この前初音が転んで膝を擦り剥いた時、0.01秒(誤差前後10%)で駆けつけて来て、うらやましい事に舐めて消毒してそのまま抱き合って熱い口付…なんか言っててムカついてきたわ)
「何をしているの、楓」
「そういう姉さんこそ何をしているの?」
楓は足を組んで頬に手を当てたまま、目の前の木に問い返した。
「私は…ちょっと従業員の働きぶりを見るためにね。ほら、やっぱりトップの人は下の苦労を知っておくべきだと思うの」
「そうね、それは確かに正しいわ。願わくば現役の間に悟って欲しかったけど」
「………」
楓の毒舌は未だ健在だ。
「それに、もう名誉会長なんだから家で惰眠を貪っていればいいのに…」
「それはそうなんだけど…なんか悔しいじゃない」
木は、どっこいしょと楓の隣に腰を下ろした。
「私はまだ20代なのよ? なのにもう引退だなんて…」
「姉さんは大人しく隠居してた方が社会のためになるわ」
「保護者としてあなた達を養う義務もあるし…」
「耕一さんと初音と梓姉さんの収入があるわ」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「…ねえ、姉さん」
「…何? 楓」
「なんでメタセコイアなの?」
「やっぱり、スタンダートに松あたりが良かった?」
「………」
「なんで黙るのよ」
☆★☆
「よっしゃー! 今日の仕事はここまで!」
耕一はファイルをバタンと閉めた。
「初音ちゃん、今日は飲みに行くか?」
「ええっ、でも私あまり飲めないし」
「大丈夫、酔っちゃったら俺が手取り足取り介抱してあげるから」
「じゃ、じゃあお願いする…」
初音はぽっと頬を赤らめながら、上目遣いに耕一を見あげた。
(おおっ、可愛すぎるぜ初音ちゃん!)
がばっ!
「きゃっ!?」
耕一は初音の腰を抱き寄せた。
「初音ちゃん…」
「お兄ちゃん…」
初音の潤んだ瞳が耕一の劣情を燃え上がらせる。
もうここまで来たら引き返す事はできない。
いい雰囲気になったら最後までやってしまえと法律で決まっている。
ふたりの顔が近づいてゆき…
「あー、お取り込み中悪いんですが…」
邪魔が入った。
「なんですか足立さん。俺達は今、夫婦(になる予定)の愛の営みを開始しようとしているんですが?」
「実は…」
「久しぶりね耕一君!」
「ああっ、やられ役一号!」
「ナイスな愛称ありがとう」
響子の踵が耕一の眉間にめり込んだ。
ちなみに二号は由美子だ。
ぴゅー
ほとばしる鮮血。
「そ、それで響子さんはどういう用で来たんですか?」
初音がこの場を落ち着けようと話題を変える。
「そうそう、すっかり忘れてたわ」
忘れるな。
「実はね、ここの取材をしてこいって言われたのよー」
「この前も取材に来ませんでしたか?」
「ああ、あの時とは雑誌が違うのよ」
そう言って響子はバッグから一冊の雑誌を出した。
『ミステリーを1/256倍胡散臭くする本 オカルト狂時代』
「あっ、この本知ってる! 確か5年と3ヶ月休刊だったんですよね」
「へえぇ、初音ちゃんこの本知ってるんだ」
「はい! 私この雑誌愛読してたんです。恐竜はサイ○人の召喚した幻獣説とか、UFOは実はマンボウの新種で国会議事堂の地下で養殖されている説とか…」
ある意味、非常に興味をそそられる内容ではある。
「あのー、相田さん?」
「なんですか?」
「何故オカルト雑誌がうちに取材に来るんですか?」
足立が当然の疑問をぶつける。
「ほら、ここって鬼の伝説があるでしょ?」
しれっと答える響子。
鬼!?
一瞬にして場が凍り付いた。
(あ、足立さん…)
耕一は声を潜めて足立に近づいた。
(なんですか)
足立も声を押さえて聞きかえす。
(ここら辺ではコニーちゃんの演説があるんですか?)
あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!!!
ひでぶ!
耕一は長瀬百烈拳でいい感じに秘孔を突かれ、四散した。
GAME OVER
「耕一君、今の洒落はかなり苦しいと思いませんでしたか?」
「すごく思いましたです、はい」
耕一はうじゅるうじゅると再生しながら反省した。
「それはそれでさ、とにかく雨月山ってところに案内してもらえないかしら?」
両手を合わせてしなを作り、ぶりっこ路線で攻める響子。
似合わんからやめろ。
「うーん、どうしようかなあ」
耕一は再生したばかりの腕を組む。
「何を言ってるんですか!」
ずばっしゃあ
耕一、今度は両断。
「おじちゃん! いくらお兄ちゃんが頑丈だからって何回も散らさないで!」
「ちょっと待った、今のは私じゃないですよ!?」
「じゃあ誰なの!?」
気配を感じて振り返った足立と初音の視線の先には、一本の木が生えていた。
「おじちゃん、会長室にマングローブなんて生えてたっけ?」
「マングローブを買った憶えはないですけどねぇ」
「………」
「………」
「………」
「…切りますか」
かこーん、かこーん、かこーん……倒れるぞー
ずしゃーん
「見た目より幹がまっすぐで太かったですね」
「うん、寸胴だったね」
☆★☆
関係ないが、その頃梓は鶴来屋の厨房でステーキを焼いていた。
「やっとあたしの出番か…待ってたんだよ」
喜んでるところ悪いが、あんたの出番はもうない。
「はあ? おい、そりゃどういう…」
このまま鶴来屋のシェフとして真面目に精進した方が、絶対あんたの為になる。
ではさらばだ。
「待てぇ〜〜〜! 出番〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
☆★☆
「初音覚悟!」
「!?」
突如飛び込んできた楓の爪は、絨毯を切り裂き床に溝を掘った。
「お、お姉ちゃん…? どうしたの…」
「耕一さんは…耕一さんはあなたには渡さないっ!」
「なるほど、耕一君が戦闘不能な今なら安全に初音ちゃんを始末…」
次の瞬間、足立は物言わぬ肉塊に成り果てた。
「どうして…どうして姉妹で戦わなきゃいけないの!?」
「前世の事を忘れたとは言わせないわよ!」
「うっ…!」
初音はさーっと青くなって一歩下がった。
「思い出した?」
楓は逆に一歩踏み出す。
「ち、違うの…あの時お姉ちゃんのおやつを食べたのはリズエルお姉ちゃんなの! 私じゃないよ!」
「…それがどうしたの?」
そう言いながらも、日記帳にしっかり書き留めておく律義な楓。
「………」
「………」
「よ、ヨークが落ちたのはアズエルお姉ちゃんのヨークへの八つ当たりが原因だからね」
「…それも違う」
日記にもうひと項目追加。
「………」
「………」
「初音…次郎衛門の事は憶えてないの?」
「誰それ? お笑い芸人?」
肝心なところを思い出していなかった。
「………」
「………」
「死んで、初音」
「どうして! 私はなんにも悪い事してないのにぃ〜」
楓が宙を舞う。
「覚悟!」
カシャッ!
がくんっ!
突如楓の体が震え、
こ°きっ
そのまま頭から落下して愉快な音をたてた。
「お姉ちゃん…?」
楓は動かない。
「お姉ちゃん…お姉ちゃん!」
がくがくがくがく
初音は楓の肩を持って前後に揺らした。
なんかありえない角度にがっくんがっくん曲がる首。
そんなまさか…
初音の頭に最悪の事態が浮かんだ。
「あーん、お姉ちゃんがまた狸寝入りしちゃったよー」
「違うわよ初音ちゃん」
取り乱す初音を、響子は優しく抱き留めた。
「楓ちゃんはね、魂が抜けてるだけなの」
「魂が抜けてる…?」
「昔から写真に撮られると魂を抜かれるっていうでしょ?」
「じゃあ、今のカシャッっていう音は…」
「そう、写真に撮って魂を抜いたの」
「すごーい!」
初音は感激して目をキラキラ輝かせた。
「ねえねえ、魂が入ってるの見える?」
「現像すれば多分見えると思うわよ、魂」
「ど、どどどどんな風に!?」
興奮しているのか、初音はどもりまくっている。
「あのね、普通は足のいっぱいある黄色いクラゲみたいな形に見えるの。だけどレベルが上がると破壊爆弾を憶えてノートに円を書くようになるの」
「うんうんうんうん、それでそれでそれで!?」
「その円がミステリーサークルの設計書だっていうのが、どうも最新の学説らしいわよ」
「レベルがいっぱい上がって転職したらどうなるの?」
「んー、職業にもよるけど…モップ持って掃除したり、崩拳をマスターしたりするらしいわね」
「すごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごい!!!」
両手をぱたぱたさせてはしゃぐ初音。
その時だった。
突然悲劇はやって来た。
ぱしんっ
「あ…」
「カメラが…」
初音の手が当たったカメラは、響子の手を離れ…
ガシャーン
砕けた。
何故絨毯を敷いた床で砕けるのかは話すと長くなるので書かないが、とにかくカメラは砕けた。
「………」
「………」
「こわれちゃったね」(棒読み)
「そうね」(棒読み)
「ごめんなさい、ちゃんとべんしょうしますから」(棒読み)
「あらいいわよ。かめらのいちだいやにだい」(棒読み)
「………」
「………」
「………」
「………」
続く…?
────────────────────────────────────────
へーのき「これで暴走シリーズも4本目かあ…」(しみじみ)
綾香 「こんな話、続けても全然威張れないわよ」
へーのき(がーん)
初音 「えーと、今回の新人さんは相田響子さんでした」
へーのき「んでもって、お亡くなりになったのが、耕一、千鶴、楓、足立…と」
響子 「死亡率高いわねー」
瑠璃子 「くすくすくす…でも明日には復活だね」
へーのき「だろうねぇ…」
初音 「それはそれで…なんか私オカルトマニアになってるみたいなんだけれど…」
へーのき「なんか書いてたらなっちゃったの」
初音 「なんかって…」(汗)
へーのき「んじゃまたー」
綾香 「締めるなっ!」(怒)