エクストリームファイターZERO2 投稿者:へーのき=つかさ
 神社にふたりの少女が対峙していた。
 長身の鋭い眼光の少女の名は、坂下好恵
 東鳩学園で『帝王』の称号を欲しいままにしている最強の挌闘家。
 対するまだ幼さの残る青い髪の少女の名は、松原葵
 今年東鳩学園に入ってきたばかりの無名の挌闘家。

 勝負はすぐに決まるはずだった、坂下の勝利によって。
 しかし、現実はそうならなかった。

「昇龍拳!」

 たった一撃だった。
 それはあまりにも大きく、痛い一撃だった。

 坂下は帝王の称号を失った・・・


                   ☆☆☆


「うおおおおお!! 昇龍拳を超える技を! 葵をしのぐ力を得るのだ!」

 坂下はひたすらトレーニングを積んでいた。
 夜も寝ずに授業中眠り、食事の時間も惜しんで早弁した。

 坂下はこれまで圧倒的な力で勝ち抜いてきた。
 反撃を被った時は、それに対抗する技を編み出し、弱点や死角を克服していった。
 それゆえに、今回の圧倒的な敗北を実感する事ができなかった。
 しかし、それは現実から逃げているだけだった。
 坂下は、敗北の怒りを胸に、葵を超えるべく立ち上がった。


                   ☆☆☆


「しまった、弁当を忘れた。これでは早弁ができない・・・しかたない、今日はちゃんと昼に食堂で食べるか・・・」

 そして昼、久しぶりに食堂へ行くと・・・
「捜したぞ坂下!」
 ちょっとかっこいい、でもしょせん脇役の男が坂下に絡んできた。
「二ヶ月前、テメェの片目に怪我を負わせた男を覚えているか!?」
 二ヶ月前・・・そんなことあっただろうか・・・
 脳まで筋肉の坂下は、極端に物覚えが悪かった。
「ホラ、食券が売り切れて争いになって・・・」
 ぽんっ
 手をたたく坂下、ようやく思い出したようだ。
「フン、その男なら一撃のもと血の海に沈めてやったわ」
 坂下の威圧的な態度に目の前の男は顔を歪ませる。
「そいつはなァ・・・オレの先輩だっ!! 今度はオレがテメェをブッ潰す!!」
「フ・・・・・・バカめ! 食事の後で地獄に落としてくれる!」
 そう言うと、そそくさと券売機でAランチの券を買った。
「ば、バカにしてんのかぁ〜〜〜!! こっちは二ヶ月間、ずっとここで張ってたんだぞぉぉぉぉぉ!」
 二ヶ月間、昼になると毎日ここで坂下を捜していたらしい。
 なぜ直に教室に向かわなかったのだろうか?
 どうやらこの男も脳まで筋肉のようだ。


                   ☆☆☆


 Aランチを食べながら、坂下は二ヶ月前の事を思い出していた。

 当時、坂下は学食派だった。
 ぽちっ、ぴー
「ああっ、Aランチがっ」
 坂下のちょうど前でAランチが売り切れた。
「くうううう・・・」
 悔しさに震える坂下に前の男が声をかけた。
「なんだ、これが欲しいのか」
 Aランチの券をひらひらと振っている。
 坂下は無性に腹がたった。
 ちょっとカッコよくて女にモテるからっていい気になってんじゃねーぞ! ああん!? と、本気で思った。
 だから当然のように手を出した。
 しかし!

 シュッ

 !?

 ドカッ

 坂下の正拳より速く、男の膝蹴りが顔面にヒットした。
 が、坂下の正拳も、男の急所を正確に突いていた。
「お、お、お、おぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・」
 男は直ちに救急車で運ばれた。
 その後、その男──どうやら橋本という名らしい──の顔を見た者はない。


                   ☆☆☆


 昼食を終えた坂下は、校舎の裏で例の男、矢島と対峙した。
「ふっ、逃げるなら今のうちだぜ!」
 自分から仕掛けてきたくせにそうのたまう矢島
「・・・・・・・・・」
 その矛盾に全く気付いていない坂下

 ざっ

 矢島が動いた。
「我道拳!」
 右手から青く光る気の塊が放たれた。
「いけぇぇぇぇぇぇ!!」
 しかし、それは1メートルも飛ばずに消えた。
 片手で撃つからである。
 坂下が動く。
「タイガーキャノン!(Lv3)」
「い、いきなりLv3スーパーコンボですかいっ!」
 突き出された両拳から、巨大な衝撃波が打ち出された。

 ズドドドドドドド・・・

 まともにくらい、意識もうろうとする矢島
「ふふ、お前にふさわしい技でフィニッシュしてやる!」
 一瞬で間合いを詰めた坂下は、不意にかがみ込む。
「!? も、もしやその技は・・・」
「くらえ! タイガーニークラッシュ!!」
 閃光のような膝蹴りが矢島の顔面を狙う。
「せ、先輩の必殺技・・・断空脚!?」
 そう! これこそ、坂下が二ヶ月前のあの戦いで編み出した新技だった。
 矢島は避けれない。

「ぐあああああああああ!!」

 矢島の体は軽々と吹っ飛び、二階の窓を突き破って校内に飛び込んだ。
「その弱々しい拳で帝王にむかうとは、愚かな・・・!」
 坂下は、自分の力に対する自信が溢れて来るのを感じた。
「いける、いけるぞ! 必ずあいつを血祭りにあげてやる!!」

 しかしその闘志も、ガラスの弁償代を請求されるまでだった。


                              ・・・つづく?

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 おまけ

「くっそー、今度合った時は覚悟しとけよ! ぶっ殺してやる!! ・・・ってあれ?」
 意識がもうろうとしている矢島は、オカルト同好会の部室で芹香相手にタンカをきっていた。
「・・・あ、すいません、人違いでした! ・・・なんでオレこんなとこにいるんだ?」
 どうやらやっと気付いたらしい。
 が、気付くのが遅すぎた。
「え? 怒りましたって?」
 こくり
「とってもいらいらしていますって?」
 こくり
「だからあなたをギタギタにしま・・・っておい! ちょっと待っ・・・」

 ピカーン!

 芹香はオリコン(オリジナルコンボ)を発動させた。
 10/60秒間芹香以外の時間が止まる。
 さらに、スーパーコンボゲージが満タンなので、9/60秒間完全無敵状態になる。
 そのうえ、間合いが近いので矢島を吸い込んだ。(引き寄せた)
 そこへ・・・

 (小ソウルリフレクトで相手の飛び道具を6〜7発吸っておいてから)
 大足払いキャンセル中ソウルスパーク×5〜6

「そ、即死コンボですか〜〜〜い!!」


 合掌


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 稚拙SS書きにしてSS収集家で、横好き挌闘ゲーマーのへーのきです。
 みなさん知らないでしょうが、ここへは二回目の投稿になります。

 さて、みれば分かると思いますが、これは『ToHeart』とカプコンの挌闘ゲーム『ストリートファイターZERO2』のパロディです。
 よくわからんという人のために一応配役を書いてみると・・・
   坂下   ・・・ サガット
   葵ちゃん ・・・ リュウ
   橋本   ・・・ ダンのオヤジ
   矢島   ・・・ ダン
   芹香先輩 ・・・ ローズ
 ・・・となります。
 それにしても、橋本や矢島はお約束として、坂下をかなりお笑いキャラにしちゃったなあ。
 坂下ファンはどう思ってるんだろう。
 その前にサガット役にした時点でファイナルアトミックバスターだろうか。
 でもなんとなくリュウ、ケン、サガットの関係って葵、綾香、坂下の関係に似てると思いませんか?
 思わない? さいですか、失礼しました。


 それはそれで置いといて、最初、この話はどシリアスで、今とはかなり違う話でした。
 一応あらすじをかいておくと・・・
   芹香(ローズ)は琴音(ベガ)をオカルト同好会に入会させたかった。
   そこで、興味を持ってもらうために力を増幅させる魔法のアイテムを渡してしまう。
   が、琴音はその力を制御できずに暴走してしまう。
   事情を知った、浩之(リュウ)、綾香(ケン)、葵(さくら)は、芹香と共に、琴音を救うために立ち上がる。
 ・・・という話だったんです。
 でも半分ぐらい書いて諦めました。
 とにかく話が重過ぎ!
 ギャグばっか書いてるへーのきには辛すぎました・・・
 で、いろいろ考えた挙げ句、何故かこんな話になってしまいました。(笑)


 もし、万が一、続きがよみたーい、という人がいましたら、へーのき宛てにメール下さい。(もちろん感想、批評もOK カミソリ及び爆弾は不可)
 もし続編が出るとしたら、ロレントなセリオとか、ソドムなレミィ、ナッシュな委員長、ベガな琴音ちゃんとかが出るかも・・・

http://www.alles.or.jp/~vpcrow/