藤田家子育て戦記 その4 投稿者:へーのき=つかさ
                              MISSION 8 テレビに気を付けよ



   ・・・静かだ。
   日曜日の午後・・・いつもなら子供達にもみくちゃにされている頃なのだが、今日は姿はおろか
  声さえしない。
   一体どこに行ってしまったのだろうか。
   とりあえず居間に行ってみた。
  「おっ」

   じ〜〜〜〜〜〜っ

   子供達はテレビの前に固まって、熱心に鑑賞中だった。
   何見てるんだろう、と画面を覗いてみると・・・

  「奥さん・・・いいじゃないですか」
  「ああっ、駄目・・・・・・私には夫と子供が・・・」

  「何見とるんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

   ダダダダダダッ
   ブチッ!

   ったく、こんな時間にあんな物放送するなよ・・・
  「あー」
   子供が見たりしたらどうするんだ。(現に見てたけど)
  「むぅー」
   だいたいドロドロしたやつが多すぎるんだよ。
   もっと家族で楽しめるアットホームなドラマは作れんのか!?
  「んんっ」
   大体不倫を美化するんじゃないっ!!<お前が人のこと言えんのか?
   もっと家庭を大切にせんか!

   かぷっ

  「イテッ! こらひかり! 足に噛み付くな!!」
  「グズッ・・・グズグズ・・・」
  「ああっ! 真瑠、泣くな!!」
  「・・・・・・・・・」(じーっ)
  「せ、芹菜・・・赤ん坊のくせに何だ、その冷たい視線は・・・」

  「うーっ、うーっ」
  「えぐっ、えぐっ」
  「・・・・・・・・・」(じーっ)
  「・・・分かりましたよ、テレビをつけろとおっしゃるんですね? お嬢様方」
   とりあえず別のチャンネルに変えねば・・・
   今の時間ならN○K教育で何かやってるはずだ。
   ええっと、チャンネルは・・・

   プチッ

  「・・・・・・・・・」
  「・・・・・・・・・」
  「・・・・・・・・・」
   つけたとたんに静かになるし・・・
   三人共微動だにせず、熱心に画面を見詰めている。
   食事のときもこれぐらい集中して食べてくれると助かるんだがなあ。

   ・・・それはそれで置いといて、こいつらテレビに近すぎやしないか?
   目ぇ悪くなるぞ。
  「おいっ、三人とももう少し後ろに下がれ」
  「・・・・・・・・・」
  「・・・・・・・・・」
  「・・・・・・・・・」
   聞いてんのかオイ・・・・・・多分聞こえてないんだろうな。
   ならば・・・仕方が無い、実力行使だ。

   ぎゅっ、ずりずりずりずり・・・

   これでよし!
  「・・・・・・・・・」
  「・・・・・・・・・」
  「・・・・・・・・・」
   ・・・こいつら、今移動させられた事に気付いてないんじゃないか?

   ずりっ

   まあいいか、さてと・・・・・・あかりはどこだっけ?

   ずりっ

   上かな? 行ってみるか。

   ずりっ
   ずりっ
   ずりっ
   ずりっ
    ・
    ・
    ・


   数分後、居間に戻って来ると・・・子供達はテレビにへばりついていた。
  「こらこら、離れて見ろって!」

   ずりずりずりずり・・・

  「全く・・・」

   ずりっ

  「小さいうちに目が悪くなっちゃったら大変なんだぞ」

   ずりっ

  「ん?」

   ずりっ

  「おいお前ら、前に移動してるように見えるのはオレの目の錯覚か?」

   ずりっ

  「前に行くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


   以下エンドレス・・・







                              MISSION 9 公園で遊ばせよ



   よち、よち・・・

  「転ばないでくださいよぉ」
  「──後1メートルです」

   よち、よち・・・

  「よし、あとちょっとだ!」
  「ひかり、がんばって!」

   ぱふっ

  「すごいひかり! もう自分で歩けるようになっちゃった」
  「──ひかりさんは、平均と比べると歩き始めるのがかなり早いです」
  「まあ、オレの子供だからな」
  「──しかし、芹菜さんは未だに掴まり立ちができていません」
  「まあ、あかりの子供だからな」
  「ううっ」


   オレとマルチは近くの児童公園に向かっている。
   ひかりはマルチと手をつなぎ、一歩一歩踏みしめるように歩いている。
   歩く事が心底楽しいって感じだ。
   真瑠と芹菜は、オレが押すベビーカーにおりこうに・・・
  「きゃっ、きゃっ」
  「真瑠、芹菜で遊ぶんじゃない」
  「・・・・・・・・・」(ぽーっ)
  「お前も少しは抵抗しろって・・・」
   ・・・ちっともおりこうではではないが、大きなトラブルは発生してないのでいいとしよう。
   元気なのはいい事だ。
   そういう事にしておこう。


   公園に着いた。
  「マルチちゃんこんにちは」
  「あっ、佐竹さんこんにちはですぅー」
   言うまでもないが、あまりの特異さゆえ、我が家の家族構成は町中に知れ渡っている。
   当然マルチやセリオの事もだ。
   始めはどんな噂なのか少し心配だったが、幸い好意的な物だったらしく、みんな優しく
  してくれる。
  「ほら、子供達の面倒は優しいだんなさんに任せて、マルチちゃんもこっちに来なさいよ」
   訂正、オレにはあんまり優しくない。
   って言うか、オレがマルチ達を大切にしてるのを逆手にとって、ちょくちょく困らせたり
  からかったりしてくるのだ。
   オレがまだ若いってのもあるだろうが、こうして子供に付き合って公園にまで来たりする
  のがうらやましいんだろ
  う。
   妬んじゃいけないなぁ、いくら自分達のご主人が子供の相手をしてくれないからって。
  「浩之さん、何ニタニタしてるんですか?」
  「え? い、いや、なんでもない」
   オレ達を見て、先輩ママ達が笑っている。
   見せもんじゃねーっつーの!!
  「マルチちゃん、人通りの少ない所を歩くときは気を付けた方がいいわよ」
   こっちをちらちら見ながらんな事を言う。
  「・・・それはオレがマルチを襲うとでも言いたいんですか?」
  「あら、私は浩之君だなんて一言も言ってないわよ?」
  「ぐっ!?」
   ぐぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
   志保かこいつ・・・


   結局オレひとりで子供達の面倒を見る事になってしまった。
   まあ、井戸端会議からでも学ぶ事はあるからやめろとは言わないけどね。
   でもひとりくらい面倒見てくれたっていいじゃないか・・・
   ああ、マルチのやつすっかりオレと子供達の存在を忘れて話し込んでるぅ。
  「あー」
  「んんー、んー」
   はいはい、わかりましたよおじょーさまがた。
   あそびましょー。


   ざくっ、ざくっ
  「うあっ」
   ざざざざ・・・
  「・・・・・・・・・」
   とりあえず、無難に砂場で遊ばせる事にした。
   まだよちよちとしか動けないから、ひとまとめにしておけば近くのベンチに座って
  見張っていられ・・・

   ざくっ

   ・・・ん?
   だああああ!! 砂を食べるなぁぁぁぁぁぁ!!

   ひゅうううううう・・・

   ああっ!?
   ボ、ボールがこっちにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

   シーン

   ん・・・?
   ゲッ!? やけに静かだと思ったらひかりがいないじゃないかぁぁぁぁぁぁぁ!!


  「ひかり〜〜〜!」
  「ひかりちゃーん! どこですかぁぁぁぁ!!」
   歩けるようになって機動力が大幅パワーアップしてるのをすっかり忘れていた。
   それでなくてもいつもから失踪騒ぎ起こしてるのに・・・
  「こっちにはいなかったわよ」
  「そうですか・・・」
   さっきまでしょーもない事話してけらけら笑ってた奥さん達も、ひかりを探すのを
  手伝ってくれている。
  「浩之さん、しっかり面倒見てなければだめよ」
  「・・・・・・・・・」
  「子供は善悪も常識もわからないんだから」
  「・・・・・・・・・」
  「親でしょ? しっかりしなさい」
  「・・・・・・・・・」
  「ほら、ぼーっとしてる暇無いわよ。早く探しましょ」
  「・・・・・・・・・」
   何も言い返せない。
   情けねぇ・・・
  「ぐすっ・・・」
   !?
  「浩之さんを・・・浩之さんをいじめないでください・・・」
  「マルチ・・・」
  「わたしが、わたしがもっとしっかりしていれば・・・」

   ぽんっ

  「・・・それは違うぜ、マルチ」
  「え!?」
  「頼まれたのはオレなんだから、マルチは悪くない」
  「でも・・・」
  「早く探そうぜ」


   くっそー、本当にどこいっちまったんだ。
   とにかく公園の中にいない事はわかった。
   もう少し操作網を広げないと駄目か・・・
  「浩之さん・・・」
  「大丈夫だって、きっと見つかるよ」

   がさっ

  「あれっ? 今なんか音しなかったか」
  「そうですか?」

   がさがさっ

  「確かに音がしてるよ。こっちだ!」
  「あっ、まってくださーい」

   そこでオレ達が見たものは・・・



  「それでな、オレ達が駆けつけてみると、ひかりのやつゴミ捨て場に捨ててあった
  クマのぬいぐるみにしがみついてたんだぜ」
  「──良かったですね、無事に見つかって」
  「本当だよ・・・・・・・・・って、こらあかり」
  「ん? なあにぃ?」
   あかりが、ゴミ捨て場から拾ってきたクマのぬいぐるみに抱き付いていた。
  「そのクマはひかりが拾ってきたやつだぞ。お前が抱き付いてどうする」
  「だってぇー、こんな大きなクマのぬいぐるみなんて初めてだもん」
  「ううー」
  「ごめんねひかりー、もう少しお母さんに貸してねー♪」
   ・・・をいをい


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 事実上春休みが焼失してしまったへーのきです(大泣)
 理由は言いません。 っていうか思い出したくもない・・・
 ああああああ・・・明日も、明後日も、来週もあるぅ〜〜〜
 (別に危ない事じゃないから安心してください)


感想&レス

福永さん
『そして伝説へ』
 どんな伝説になったんだろう・・・
 とっても気になる。

ゆきさん
『初音の甲斐性っ!』
>因みに、8は実話(めちゃめちゃに驚いた)9は僕の見た夢です。
>でも、初音ちゃんに食べられるのなら本望かも…?
 初音ちゃんに食べられる・・・
 きっとあの作品に対する復讐でしょう。(爆)

まさたさん
『Lメモ 怪奇報告書類 「 悪霊の巣食う館の主 」』
 むっちゃくちゃホラーですねえ・・・・・・・・・・・・<実は苦手

ハイドラントさん
『Lメモ私的外伝1「愛を求めて」』
 怪しいだけじゃなくてずれてもいるんですね。
 ああ、怪しげな姿が目に浮かぶ・・・

AEさん
『メイドロボのお墓参り』
 浩之たちが冒頭にでてきたんで、マルチの方がお墓に入っているのかと思ってました。(汗)
 へーのきは、マルチはご主人様の死を乗り越えられる強い娘だと思っています。
 ただ、周りに支えてくれるひとがいればの話です。
 さあマルチ、このまま永遠に生き続け世界の覇者に・・・・・・・・・・・・ボグッ!!(殴られた音)

まさたさん
『マルチちゃんとセリオちゃん 第4話』
 おおっ、せんた復活か!? <あほ

連載物の感想は、都合によりパス!!(ちゃんと読んでますよ)



Lメモの話

へーのき「まあ、じっくりと腰を据えて考えましょう。Lメモのページでいろいろやってるし」
綾香  「でも、あんたからLメモ取ったら『子育て戦記』しか残らないじゃない」
へーのき「ぐ・・・・・・だ、断片的な物ならけっこうあるんだよぉ、部分的な話なら・・・」
セリオ 「──しかし、断片的なものでは短すぎてひとつの話になりませんが」
へーのき「ぐはっ」(爆死)
葵   「・・・あの、Lメモの話じゃなかったんですか?」

http://www.alles.or.jp/~vpcrow/