MISSION 6 ミルクを与えよ2
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、
あかりが真瑠におっぱいをあげ、マルチがそれを楽しそうに眺めている。
「んふふっ、おいしそうに飲んでますー」
「いっぱい飲んで早く大きくなってね」
そして少し離れた所から、セリオがその様子をじっと見つめている。
「どうしたんだセリオ? なんか様子が変だけど・・・調子悪いのか?」
「──いえ・・・」
オレの問いにセリオは首を振った。
しかし様子が変なのは確かだ。
一体どうしたのだろうか・・・
「!!」
そこである事を思い出した。
「そうか、明日から定期メンテナンスでしばらく帰れないのか」
「──あ、はい」
セリオは複雑な表情をしている。
「大丈夫だって、特に異常が無ければ2、3日で帰れるし、あかりとマルチが頑張って
くれるって」
そう、以前はマルチとセリオは同時にメンテをしていたのだが、今は育児の方がある
ので一週間ずらしてもらっているのだ。
「──そうですね」
セリオがメンテから帰ってきてから1週間程が過ぎた。
「おぎゃーーー!!」
「えぐっ、えぐっ」
おなかを空かせた子供達が泣いている。
「ごめーん、誰か子供達にミルクあげてー!」
食事の支度から手を放せず、あかりが声をあげた。
「はいですー」
すっ
「──マルチさん、わたしがやります」
セリオは子供達に駆け寄ろうとしたマルチを制した。
そして、子供達を抱えて二階へ上がって行ってしまった。
「・・・・・・・・・」
「最近セリオさんばっかりミルクあげてますよねえ」
マルチの言葉通りだ。
セリオは近頃、子供達にミルクをあげる機会をたんたんと狙っているようなのだ。
ちょっと前までは哺乳瓶恐怖症だったくせに、えらい変わりようだ。
まあ、それはそれで結構な事なのだが、その時寝室などに閉じこもるのはなぜだろう。
とっても気になる。
・・・とっても気になるので、覗きに来てしまった。
幸い鍵は閉まっていないようだ。
気付かれないようにそっとドアを開け、隙間から中をを覗いた。
セリオはこちらに背を向けている。
どうやら今、芹菜にミルクをあげているようだ。
ひかりと真瑠は満足げな顔をして転がっている。
オレは音を立てないようにゆっくりとセリオに近づいた。
ふふふふ・・・ミルクをあげるのに夢中でこっちにぜんぜん気付いていない。
ちょろいちょろいい・・・
そう思いながら、セリオの背後から頭ごしに覗き込み・・・
「えっ!?」
オレは思わず声をあげてしまった。
セリオもオレの存在に気付き、小さく声を上げて飛び退いた。
「せ、セリオ・・・・・・そりゃなんだ・・・?」
「──その、せ、芹菜さんです・・・」
真っ赤な顔をして、俯きながらセリオが答えた。
だが、それはオレの求めていた答ではない。
「そんなのは見りゃ解る。そうじゃなくて・・・なんで芹菜がセリオの胸にしゃぶりつい
てるんだ!?」
「─────」
そう、芹菜はおっぱいを飲むかの様に、セリオの乳首を吸っていたのだ。
「・・・・・・・・・・」
「─────」
「・・・・・・・・・・」
「─────」
「・・・・・・・・・・」
「─────」
しばらく両者黙っていたが、セリオが先に口を開いた。
「──長瀬さんに頼んで擬似的に授乳できるようにしてもらいました」
「長瀬さんに・・・? そうか、一週間前のメンテの時か!」
オレの言葉にセリオは頷いた。
「でも、授乳ったってどうやるんだ? 体内で母乳作ったりするのか?」
オレは当然の疑問を口にした。
「いえ、ただ口からミルクを補給して、乳首から出しているだけです。哺乳瓶と同じです」
あ、なるほど。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ
おいしそうにミルク・・・いや、おっぱいを飲む芹菜。
それをやさしい顔で見つめるセリオ。
「・・・なんだか本当に血の繋がった親子みたいだな」
そう言うと、セリオはちょっと困ったような、それでいて嬉しそうな顔をした。
子供達の世話をするようになってから、セリオはずいぶんといろんな表情を作れるよう
になった。
「おまえさ・・・あかりがうらやましかったんだろ」
こくん
オレのちょっと意地悪な問いに、素直に頷いた。
「そっか・・・」
そのときオレの頭にある考えが浮かんだ。
「この事知ったら、マルチもおっぱいあげたいとか言い出しそうだな」
「──そうですね」
セリオはその様子を想像したのか、笑みをもらした。
「でもマルチは無理だなー」
「──どうしてですか? マルチさんもお嬢さんたちをあやすのは得意じゃないですか」
一変し、怪訝そうな顔をするセリオ。
「だって・・・」
「──だって?」
「マルチって胸ないじゃん」
「─────」
セリオは固まっている。
「だろ?」
「──た、確かにそうですが・・・胸を大きくするぐらいなら簡単にできますよ」
やれやれ、解ってないなあ。
「胸があったら駄目なの! 胸がないからマルチなんだから」
「・・・・・・・・・・」
「─────」
「・・・・・・・・・・」
「─────」
「・・・・・・・・・・」
「─────」
「・・・あううっ、ひどいですぅ」
「な・・・ま、マルチっ!? いつの間に?」
振り返ると半べそのマルチがいた。
「なんだかんだ言って、わたしの幼い体が目的だったんですね・・・」
んでもって唐突にとてつもない事を言ってくれたりする。
「ば、馬鹿っ! ほんのジョークに決まってるだろ!! オレは別にその小さい胸に惹
かれた訳じゃ・・・」
気が動転してさらに墓穴を掘るオレ。
「あうぅぅぅぅぅぅ、浩之さんなんか嫌いですー!!」
バタバタバタ・・・
「おい・・・」
どないせいっちゅーんじゃ。
バタバタバタ・・・
「浩之ちゃんっ! 女の子に向かってなんて事を言うの!!」
「そ、それは誤解だ! ただの冗談を本気に・・・」
「マルチちゃんにちゃんと謝って! すごいショックだったみたいでわんわん泣いてる
わよ!!」
「だから・・・・・・ぐへっ! や、やめろ・・・ぐるじい〜〜〜」
「──それではわたしは失礼します」
セリオはさり気なく逃げ出した。
「ま、待てセリオ! お前からも何か・・・ぐえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
気が付いたら次の日の朝になっていた。
MISSION 7 階段に気を付けよ
「あれ・・・? マルチ、ひかりはどうしたんだ?」
「え? あ、あれれ? どこに行っちゃったんでしょう」
「うー、あー」(よちよち)
「ひええっ! か、階段はいけま・・・・・・あ〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜!!」
ごろごろごろごろ・・・・・・ズドン!
「ああっ、まるちぃ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「やっぱりフェンス付けた方がいいよ」
「そうだな・・・」
ここは藤田家の居間。
オレ達は全員集合して相談事をしていた。
「──フェンスとはなんですか?」
「う〜ん、正式名称は知らないんだけど・・・・・・階段とか玄関に取り付けて、赤ちゃんが
通れないようにする門みたいなやつだよ」
「──門ですか・・・」
子供の成長とは早いもので、ひかりはもうハイハイができるようになっている。
次に運動神経がいいのは真瑠、ずりずりと這い回って移動する。
意外にも一番動かないのが芹菜、いつも寝ていて寝返りをうつぐらいしかしない。
「とにかく、ひかりを止めようとするたびにマルチが落ちるからなあ。いくらプロトタ
イプで頑丈にできてるからって、いつかは壊れるぞ」
「そんなに落ちてるの?」
「──ひかりさんを止めようとしての落下は、7回にのぼります。ちなみにその他の場合
を合わせると・・・」
「あうあう、言わないでくださぁ〜い・・・」
「とにかく、フェンスを買おう!」
翌日、階段と玄関にフェンスが取り付けられた。
数日後・・・・・・オレとマルチは二階の寝室で子供たちをあやしていた。
「マルチちゃ〜ん、ちょっと手伝って〜」
「あ、はーい」
一階からあかりに呼ばれ、マルチは部屋を飛び出し・・・
「あ〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜!!」
ごろごろごろごろ・・・・・・ドシンッ!
「おいマルチ! 大丈夫か!?」
オレが慌てて階段を降りようとすると、
「あれ?」
フェンスは閉まったままだった。
・・・こいつ、フェンス開けるの忘れて突っ込んだんだな・・・
マルチが階段から落ちなくなるのは、一体いつになるのだろう。
せめて子供たちよりは早く、落ちなくなってもらいたいものだ。
続く・・・
─────────────────────────────
週末でテストの疲れを癒したへーのきです。
ああ、体力は回復したのにSSがなかなか書けない・・・
ネタは浮かぶんだけどそれをうまく文章に出来ないー!!
これもスランプと言うのだろうか・・・
それともただの表現力不足?
MISSION 6 ミルクを与えよ2
おかしいなあ・・・
始めはセリオが芹菜におっぱいをあげてて、その様子を浩之が暖かく見守ってるって
シーンで終わるはずだったのに・・・
なんでマルチが号泣きしたりあかりが浩之絞め落としたりしてるんだろう。
MISSION 7 階段に気を付けよ
うちではこのフェンスを使いませんでした。
その結果、目を離した隙に弟が一度階段から落っこちました。
幸い大事には至りませんでしたが、みなさん気を付けましょう。
(言える立場じゃないなあ(汗))
へーのき「どーしてだぁぁぁぁぁぁ!!」
綾香 「なんかへーのきがこわれてるけど・・・・・・どうしたの?」
葵 「なんか日曜日に、初めて『マーヴルVSカプコン』っていうゲームを
やったらしいですよ」
へーのき「ラスボス強すぎじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
特に第二形態っ! どうすりゃいいんじゃぁぁぁぁぁぁ!!
それにアポカリプスの立場はどうなるぅぅぅぅぅ!!」
綾香 「自分がへたなだけじゃない」
葵 「そういえば、キャラ的にはジン・サオトメが好きなんだけどため技は苦手で
使えないとか嘆いてましたよ」
綾香 「結局いままで使ってたスパイダーマンと見た目がカッコイイ飛竜を
組ませてるみたいね」
坂下 「見かけだおしか・・・」
セリオ 「──そういえば・・・
『雫』の元ネタではと囁かれている、大槻ケンヂの『新興宗教オモイデ教』と、
短編集の『くるぐる使い』を入手したらしいですよ」
綾香 「へー、雫の元ネタねぇ、どんな話?」
へーのき「電波が・・・電波がくるよう・・・」
セリオ 「──だそうです」
綾香 「それじゃわからないわよ! 姉さん知ってる?」
芹香 ふるふる・・・(真っ青)
セリオ 「──なんでも雫より過激らしいですよ」
瑠璃子 「・・・そう、毒電波・・・この話ではメグマ波っていうんだけど、
それを浴びていっぱい人が死ぬの・・・」
祐介 「この話では、電波は人を壊すためだけのものだからね・・・
僕と瑠璃子さんみたいに心を通わせたりはできないみたい」
月島 「君が心通わせる必要は無い。僕だけがいればいい」
祐介 「なに言ってるんですか、お兄さん」
月島 「・・・壊すぞ」
ばきっ どかっ
祐介 「ぐはっ」
月島 「うぐっ」
綾香 「ふう・・・とりあえず恐い話って事ね?」
瑠璃子 「・・・恐いっていうか・・・気持ち悪いの」
芹香 こくこく・・・(真っ青)
へーのき「ラジオがオレの頭に呼びかけてくるんだぁぁぁぁぁぁ」
綾香 「とりあえずへーのきを黙らせましょう」
Dセリオ「──了解、ブロディアバルカン発射!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
へーのきはお星様になりました。
感想&レス
まさたさん
『愛の天使』
さすがかおり! ウイルスばらまきまくりだぜ!
『マルチちゃんとセリオちゃん』
最近デンジャラスなセリオ急増中っすね。
Dセリオも影響してるのだろうか・・・
>ここに投稿されている作品は、外の場所に転写・搭載してもよろしいでしょうか?
いいんじゃないですか?
個人的にはそう思ってます。
っていうかやって欲しい。
久々野 彰さん
『Lメモ超外伝SP9』
おおっ、Dシリーズが大活躍っ!!(どこが)
ハイドランドさん
>ハイメガ粒子砲って、a・アジールの頭にあった奴でしたっけ? あれは拡散粒子砲か?
>あと、「ブレストファイアー」・・・・もしかしてこれ、「ウォーハンマー」ですか?
ゲーム雑誌などで仕入れたあいまいな知識なので、あまり考えないで下さい。
基本的にへーのきはアニメに疎い奴なんで・・・
無駄口の人さん
>ところで、Dシリーズってリアクターを内蔵しているんです? それとも、外部供給?
リアクターってなんすか?(無知丸出し)
ジン・ジャザムさん
>Dセリオ(ライバル。)
頑張って戦ってください。
学校を破壊すればすぐに飛んでくると思いますよ。(笑)
アルルさん
ええっ、やめちゃうんですか!?
残念・・・
貴重なほのぼの作家がぁ・・・