撮影が終わり、由綺は一人、楽屋に戻った。 「ふう・・。」 疲れてるらしく、うつ伏せに寝ころがった。 ピクリとも動かない。 すぐに部屋に冬弥が入ってきた。 前に、手紙の入ったダンボール箱を抱えている。 「おい、由綺。ファンレターがとどいてるぞ。」 由綺はゆっくり起きあがった。 「あ、冬弥君。今見る。」 由綺は、たくさんあるファンレターの中から数枚取り出し、その中の1枚を開いて読み始めた。 「疲れてるんなら寝とけよ。」 冬弥が忠告する。 「ううん、大丈夫。」 由綺は次のファンレターを読み始めた。 そこには。 「森川由綺さんへ。 応援しています、お仕事がんばって下さい。 しかし、一つお願いがあります。 歌っているときの踊りに、ときおり『不思議な踊り』を混ぜるのはやめて下さい。 うちに居候の子がいるのですが、彼女があなたの踊りをテレビで見るたびに『マジックパワーが減るー!魔力が減るー!』 と、いつも喘ぐのです。 彼女に魔力を失ってもらわれると、うちの店の経営にも響き、大変困ります。 彼女のレベルも上がらないので、ロリコンの道に走りそうです。 どうかお願いします。」 「・・・・。」 由綺の表情が変わった。 「おい、どーした?由綺?」 「ちっ・・・、もうバレたか・・・。」 「お・・おい・・、由綺・・・。」 「ここも限界だな・・・。」 「何?何がバレたんだ!?何が限界なんだ!?おい!由綺ぃ!!」 由綺は冬弥を無視し、無言で楽屋を立ち去った。 続く!! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 続きそうな雰囲気なので「続く」って書いたけど、たぶん続きません。 いや、100%続かないと思う。