スーパーリーフ大戦!!〜聖葉の旗の下に〜 第二話『救出!!Zガンダム』 投稿者:猫玉
「こ、光子力びいぃぃーーーーむ!!」
激闘続くベルファスト基地。およそ戦場に似つかわしくない、マルチの可愛らしい声と共に、マジンガーの両目から光子力ビームが発射される。
光子力のビームだから、光子力ビーム。なんとも安易なネーミングだが、沙織に言わせれば「わかりやすくていいじゃない♪」という事らしい。
「クエエェェェェェェ!!」
まばゆい二条の光線が、飛行型メカザウルス・バドを次々と撃墜してゆく。
「く、ひるむな! 撃て! 撃ちまくれ!!」
名もなき敵司令官の叫びと共に、敵モビルスーツ隊の機銃が激しく火を噴いた。
「あ、あううぅぅ〜〜!!」
激しい砂塵の中にマルチの悲鳴が飲み込まれる。にやりと口元をゆがませる敵兵達。だがその余裕の表情は、次の瞬間驚愕のものに変わった。ようやく収まった砂煙の中で敵兵達が見たものは、力強く眼前で腕を交差させたマジンガーの勇姿だった。
「な……なんなんだ! あの装甲は! 全くの無傷だとぉ!?」
「し、信じられん! あれが一線を退いた旧型ロボだというのか!?」
敵兵達の間に動揺が広がる。その動揺をマルチは見逃さな……
「あ、あうぅぅ〜!! や、やられちゃいます〜〜……あ、あれ?」
『…………』
思い切り見逃した。
「え、ええっと……。ちょ、超合金Zは、そんな攻撃じゃビクともしませーーん!!」
気を取り直して、マルチが再び叫ぶ。おもむろに両腕を水平に構えて……
「ロケットぱぁーーーんち!!」
ゴオオォォォ!!!
凄まじい勢いで、マジンガーの両腕が敵軍めがけて発射される。
パンチをロケットのように飛ばすから、ロケットパンチ。何とも安易なネーミングだが、沙織に言わせれば(以下略)。
ズガガァァァン!!!
敵モビルスーツ隊の中を、マジンガーの拳がまるで意志を持っているかのように突き進んだ。
「があぁぁ! パワーが違いすぎる!!」
情けない悲鳴を上げて、敵兵達はあたふたとロケットパンチから逃げ惑う。
「く! 機械獣をもっと出せ! 数ではこちらが上なのだ!!」
敵司令官の声に焦りの色が浮かぶ。マジンガーZの圧倒的パワーの前に、このまま勝負は決まってしまうものかと思われた。
だが、マジンガーZの最大の弱点は……
ぐらり。
「あ、あわっ、あわわっ、あわわわわわ〜〜〜〜〜〜!!」
ズデーーーーン!!
……パイロットが恐ろしくトロいという一点に尽きた。
ロケットパンチ発射の反動でバランスを崩したマジンガーZは、手足をバタバタさせながら後ろに倒れ込んだ。
「あうぅ、お、起こしてくださぁ〜〜い」
何とか起き上がろうと、ジタバタもがくマジンガーZ。だがいかんせん両腕がないため、うまく起き上がることができなかった。
「……はっ!!」
呆気に取られ思わず見守っていた敵兵達だったが、ようやく事態を飲み込む。
「よ、ようし、止めを刺せ!! いくら超合金Zといえども、頭部コクピットを狙えばひとたまりもないはずだ!!」
敵司令官の声と同時に、敵モビルスーツ隊がマジンガーZを取り囲み、一斉にビームライフルを構える。
「へへへ……念仏でも唱えな!!」
「あ、あうぅぅ……」
思わず目をつぶるマルチ。
だが、その時!
「まて、まて、まてえぇぇぇぇぇぇい!!」
太陽の光の中から、熱き叫び声と共に紅の巨人が舞い降りた!

「そいつは、アンタたちがやるこったぁぁーーーーー!!!」
ズダァーーーーン!!
巨大な地響きと共に、ゲッターさおりんが戦場に降り立った。
「ゲッタアアァァァーー……さおりぃーーーん! 見・参!!!」
沙織の声と同時に、ゲッターの右人差し指が大空をビシッ! っと指差す。
ゲッターさおりん自慢の決めポーズと共に、その背後に稲妻が走ったように見えた。
「あ、あれが……ゲッターロボ!」
「な! あ、あれが……報告書にあった陸海空・万能型スーパーロボットか!」
そんな敵兵達のざわめきをよそに、沙織は湧き立つ闘志と共に声を弾ませた。
「くうぅ!! ゲッターさおりん、久し振りの大暴れよぉ!! るりるり! みずぴー! サポートよろしくぅ!!」
「了解……油断しちゃ駄目だよ……」
「索敵は任せて! 沙織ちゃん!!」
ゲッターチームの三人の心が一つになる。ゲッターロボの最大の武器。それは三つの心が生み出す、何者にも負けない勇気だった。
「うぅ……ざ、ざおりざぁん……」
えぐえぐと声を詰まらせるマルチ。そんなマルチに沙織はウィンクしながら言った。
「よくがんばったね、マルチちゃん!」
「マルチちゃん、大丈夫!?」
あかりのガンダムもようやく戦場に駆けつけた。
「あかりん、マルチちゃんをお願いね!」
そう言うと沙織はキッと敵軍を睨み付ける。
「アンタたち! よくもマルチちゃんを泣かせてくれたわね!! 今日こそ、このゲッターさおりんが引導を渡してやるんだからぁーーー!!!」
そう言うが早いか、腰から拳銃を抜き出し両手に構える。
「おおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」
戦場に沙織の雄叫びが響きわたる。
ドダダダダダダダダダ……!!
凄まじい銃弾の嵐! 嵐!! 嵐!!!
「ぐ、ぐわああああぁぁぁぁぁ!!!」
敵モビルスーツの装甲が紙切れのように吹き飛んで行く。
カチ、カチ、カチ……
弾切れを確認した沙織は不敵な笑みを浮かべながら、銃を無造作に投げ捨てた。
「それじゃ……いぃっくぞぉぉぉーーー!!」
ダン!!
力強く大地を蹴って、ゲッターさおりんが敵陣に突っ込んでいく。
「こ、こいつ!!!」
敵モビルスーツがビームライフルを構える。だがその頭部に、沙織の投げつけたゲッターウィングがまるで蛇のように巻き付いた。
「うわあぁ! モ、モニターが……」
ズガァーーーーーン!!!
敵頭部にゲッターの拳がめり込む。吹っ飛ぶ敵機を意にも介さず、ゲッターの勢いは更に加速していく。
「うおりゃああああぁぁぁぁぁ!!!」
両腕に装備されたスピンカッターが、次々と敵を切り裂いていく。まるで無人の野を行くがごとく、ゲッターさおりんは突き進んだ。
「ゲッタアアァァァァ……ビイィィィィィム!!!」
紅の閃光が敵を薙ぎ払った。次の瞬間!
ドゴゴゴォーーーーーーン!!
激しい爆音と共に、敵機械獣軍団は炎の中に消えた。
「く……さ、さすがは音に聞こえたゲッターロボ……。伊達ではないということか
!!」
ギリギリと歯ぎしりしながら、敵司令官はコクピットの左側にある赤いスイッチを押した。と同時に、ゲッターの足元がボコボコと盛り上がっていく。
『グオオォォォォォォ!!』
「!!――伏兵!?」
ガシッ!!
地面から飛び出したメカザウルス達によって、ゲッターさおりんは背後から取押さえられてしまった。
「こ、こらぁ! はなせ! はなしてよーーー!!」
何とか振りほどこうと、力の限りジタバタと暴れるゲッターさおりん。だがそうはさせじと敵司令官が叫ぶ。
「よーーし!! 撃てえぇぇぇーーーーーーー!!!!」
敵司令官の叫びと同時に、激しい集中砲火が行われる。砂塵が舞いあがり中の様子は分からないが、それでも敵兵達の銃撃は終わらなかった。
ドカン!! ドゴーーーン!!! ドガーーーーン!!!
メカザウルスが連鎖的に大爆発を起こしていく。その爆炎の中に、ゲッターは飲み込まれていった。
「さ、さおりさぁぁぁぁぁん!!」
「さおりん! みんな!!」
マルチとあかりの叫びが戦場に響く。
「ふふふ……。ゲッター合金には超合金Zほどの耐久力はない。これだけの攻撃を受ければ、ひとたまりもあるまい!!」
徐々に収まっていく煙幕のなか、勝利を確信する敵司令官。だが……メカザウルスの残骸の中にゲッターの姿は見当たらなかった。
「き、消えた!? 馬鹿な! あ、あの集中砲火から逃れられるはずは……」
次の瞬間!!
「なぁめるなぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」
沙織の叫びと共に、大空から三機のゲットマシンが舞い降りる。
「ぶ、分離して……回避……あの一瞬で……」
呆然と呟く敵司令官。
『チェーーンジ!! ゲッタァァーーーー!!!』
ガカァ!!
まばゆい光と共に、三つのマシンが一つに重なった。
白色の機体が音も無くふわりと大地に降り立つ。ゲッターさおりんの武骨なフォルムとは異なり、流線形のスピード重視の機体……陸戦用、ゲッターるりるりがその姿を現した。
「……チェンジ、ゲッターるりるり。いくよ……」
ゲッターるりるりメインパイロット、月島瑠璃子が虚空を見つめながら呟く。そして……
――ヒュン!!
風を切る音と共に、ゲッターの姿が見えなくなった。
「な! き、消え……」
「ここだよ……」
背後から聞こえた感情の無い声によって、敵司令官の背中に戦慄が走る。
「――――!!!!」
ドズゥ!!
振り向く間も無く、ゲッターるりるりの左手のドリルが敵司令官の機体を深々と貫いていた。
「つ……強い! 強すぎる……!!」
ドガァァーーーーーン!!
巨大な爆音と共に、敵司令機が大爆発を起こす。
ポーンと飛んでいく脱出カプセルを『うんうん♪』と満足そうに見つめながら、沙織は高らかに勝利の声を上げた。
「陸、海、空! どこからでもかかってらっしゃい!! あたしたちゲッターチームが、いつでも相手になったげるんだから!!」

「あらかた片付いたようだね。まっ、こんなもんだろ」
ホワイトベースのブリッジで、梓が余裕たっぷりに言った。
「ええ。……!! 待って下さい! レーダーに反応あり! もの凄いスピードで近づいてきます! 距離1100m! 800m! 400! ……」
「……!! なんだ、このスピードは! まさか……!?」
レーダーを見つめながら、索敵手と共に驚きの声を上げる梓。
バシュウウウゥゥ!!
激しい土煙と共に、赤くカラーリングされたザクが戦場に姿を現した。その頭に付けられた一本の角が、エースクラスの機体であることを証明している。
「全く……あたしが来るまで足止めもできないなんてね〜。ほんと、情けないったらありゃしない」
まるで緊張感の無い少女の声。だがその声は、得体の知れない迫力を感じさせるものだった。
「し、志保さん!」
「……志保」
その声の主を知ってマルチ、あかりが声を漏らす。
「へえ……。『赤い彗星』自ら御登場ってわけね。でもね、昔から『赤は正義のカラー』って相場が決まってるんだから!! このゲッターさおりんが相手になったげるわ!!」
ジャキン!! とトマホークを構えながら沙織が叫ぶ。そんな沙織に、志保は挑発するように肩をすくめた。
「ふっふ〜ん♪ ゲッターロボねぇ。いくらすごい攻撃力でも、当たらなきゃねぇ……。そんなトロい運動性じゃ、百年たっても当たらないと思うけど〜?」
「む、む、ムカァーーー!!!」
志保の言葉に沙織は顔を紅潮させ、ピーーー!! と頭から蒸気を出した。
「このさおりんを本気で怒らせた事を後悔しなさぁい!! いっくぞぉ! ゲッターー……」
「待って!!」
あかりの強い声に、沙織は思わず手を止める。
「さおりん、ここは私に任せて欲しいの」
「え、あかりん、でも……」
沙織が不満そうな声を上げる。愛機をバカにされた事が、沙織にはどうしても許せなかったのだ。
「お願い……さおりん」
「…………」
「……沙織ちゃん、ここはあかりさんに任せよう」
瑞穂が諭すように沙織に言った。
「……うん、分かった。あかりんに任せた!! その代わり、アイツを必ずぶっ飛ばす事! 約束だからね!!」
「うん、わかった。ありがとう、さおりん……」
そう言うとあかりはキッと志保の方を向き直る。
「いくよ! 志保!!」
「あらら。まだゲッターの方が楽しめると思ったのに……。あかりが相手じゃ、ますます退屈しちゃうわ〜♪」
激しい闘志によって、かつての親友同士の間に見えざる炎が燃え上がった。

「く! こ、このーー!!」
ドキューーン!!ドキューーーン!!
あかりのビームライフルが激しく唸りを上げる。だがその攻撃は、ことごとくかわされていった。
「遅い、遅い! そんな腕じゃあ、この『赤い彗星』長岡志保ちゃんにはカスリもしないわよぉ!」
そう言うと志保の赤ザクは背中からビームサーベルを引き抜き、稲妻のような動きで切りかかった。
バヂヂィ!!
すさまじい音を立てて、二人のビームサーベルが交差する。飛び散る火花の中で、あかりは志保に叫んだ。
「志保!どうしてDCなんかに力を貸すの!?」
「……さ〜てね〜♪ 知りたければ、力ずくできなさ〜い!!」
そう言うが早いか、ザクの頭部マシンガンが火を噴く!
タン!!
すばやく後方に飛び退きながら、あかりは精神を集中させる。
「いって! クマ・ファンネル!!」
ガンダムの背中から、クマ型のファンネル(精神感知ミサイル)が唸りを上げて飛び出した。
『うががあああぁぁぁぁ!!』
キュン、キュン!! と複雑な動きと共に、ファンネル(?)が志保に襲いかかる。
「へえ? いっちょ前にファンネルも搭載してるんだ。でも……」
すっ、と目を細めてファンネルの動きを見つめる志保。その表情はいつものおどけた様子からは想像できないほど、真剣なものだった。
「そこぉ!!」
ズバァ!!
志保のビームサーベルが一閃し、クマ型ファンネルをいとも容易く切り払った。
「あっ!!」
思わず声を漏らすあかり。『切り札』ともいえる武器がこうも簡単に破られるとは思ってもみなかったのだろう。
「ふっふ〜ん♪ 一個だけのファンネルなんて怖くも何ともないわね〜。もっとも、そんな旧式のガンダムじゃあ それが限界だろうけど〜?」
余裕たっぷりに、志保がおどけた声であかりを挑発する。
「………」
顔を伏せ黙ったままのあかりに、志保はなおも挑発を続ける。
「さ〜て、どうする? どうする〜? あ・か・り〜♪」
ぷちん。
何か糸が切れるような音を志保は聞いたような気がした。刹那。志保の体を強烈な悪寒が襲った。
「……怒った」
「え? え?」
狼狽する志保をよそに、あかりは伏せていた顔をゆっくりと上げる。
「ひ、ヒィッ!!」
その目はまるで、月明かりに照らされた真夜中の湖のように、どろりと濁ったものだった。
志保は自分の犯したミスにようやく気が付いた。
『あかりが切れたら何をするか分からない』
昔から何度となく思い知らされていた事だった。
「もう……怒ったんだからーーー!! 志保ーーーー!!!」
怒号と共に、あかりはどこから取り出したのかトゲ付き鉄球、通称『ガンダムハンマー』をブンブン!! と勢いよく振り回す。
「ちょ、ちょっと! 何なのよ、そのガンダムらしくない武器はぁ!!」
そんな志保の叫びも、今のあかりの耳には全く届かなかった。
「あかりーーーん! クラアアァァァァッシュ!!!!」
ズガァーーーーーン!!!
あかりのガンダムハンマーは志保の赤ザクを直撃し、そのまま空の彼方に吹き飛ばした。
「み、認めたくないものね! 自らの、若さゆえの過ちってやつを……覚えてなさいよぉぉ〜〜〜!!!」
キラーーーン!
戦場に響き渡る叫び声を残して、志保はお星さまになってしまった。
『……はっ!』
ポカーンと見つめていたゲッターチームとマルチだったが、ようやく自軍の勝利に気が付いた。肩で息をするあかりの側にマジンガーとゲッターが駆け寄る。
「す、すごかったです!あかりさん!!」
「まっ、当然の結果よね!うちのエースにかかれば、『赤い彗星』なんてチョチョイのチョイよ♪」
喜びの声を上げるマルチと沙織。だが……
「うん……ありがとう、みんな」
二人の意に反して、あかりの声は少し沈んだものだった。
「……?どうしたの、あかりん?」
沙織の問いかけに、苦笑気味にあかりが答えた。
「志保……本気じゃなかったよ」
「え?」
瑞穂が思わず声を上げる。
「志保が本気だったら……私、絶対勝てないもん。昔から、そうだったから……」
「あかりさん……」
心配そうにあかりの背中を見つめるマルチ。戦場にシン、とわずかな静寂が起こる。
「……言ってたよ」
「え……?」
その沈黙を破ったのは、ポツリと漏らした瑠璃子の一言だった。
「志保ちゃん……ずっと言ってたよ。『頑張れ、あかり。負けるな』って。いつかきっと……分かりあえる日が来るよ。だから……」
「志保が……『頑張れ』って……」
あかりの瞳がじわりと滲んでいく。その頬を一筋の涙が伝った。
「……うん。瑠璃子さん、ありがとう……」
ポロポロと涙をこぼすあかり。そんなあかりの肩をポンポンと叩きながら、沙織が明るい声で言った。
「ほらほら、暗い顔しないの〜! 勝者は胸を張るべし!! そうでしょ♪」
「さおりん……」
ごしごしと涙を拭うあかり。
「うん……そうだね! あかりん、完全勝利!! イエイ!!」
少しおどけて言いながら、あかりは元気よく勝利のブイサインを見せたのだった。

「ご心配お掛けしました、皆さん……」
おかっぱに切り揃えた黒髪の少女が、ぺこりと頭を下げる。日本人形のような端正な顔立ち、切れ長の瞳が印象深い少女、柏木楓はみんなを見まわして静かに微笑んだ。
「ほ〜んと。心配したよ、楓ちゃん! ま、無事で何より、何より♪」
いまだ戦いの興奮覚めやらぬ様子で、沙織がブンブンと両腕を振り回しながら楓に言った。
「でも楓。あんたほどのパイロットが、こんなにあっさり捕まるなんて……」
「油断してたんだよね? そうでしょ、楓ちゃん?」
「…………」
梓、あかりの問いかけに、うつむいて口を閉ざす楓。しばしの沈黙の後、楓は静かに顔を上げ語り出した。
「……確かに私が油断していたせいもあると思います。ですが、敵の力が私の想像をはるかに上回っていたのも事実です。特に……あの青いロボットとはもう一度戦っても勝てるかどうか……」
「青いロボット!? それって……」
ハッとあかりが何かに気付いたような声を上げる。だが、その言葉をさえぎって沙織が拳を振り上げて叫んだ。
「だ〜いじょ〜ぶ!! このさおりんとゲッターロボがいる限り、セント・リーフ隊に負けはなーし!! 大船に乗ったつもりでいなさいって♪」
そう言ってウインクする沙織。そんな沙織に、あかりはにっこりと笑顔で答えた。
「……うん、そうだね! みんなで……頑張っていこうね!!」
『おおーーーーーぅ!!』
戦いの後に少女達の笑い声がこだまする。
そして戦士達を乗せた白い木馬は、新たな戦場を求めて、遥かな大空へと飛び立つのだった。<続く>