その後のWA(site由綺) 投稿者: なんちゃってメグ’99
「また、雪降ってきたね……」
誰の声なんだろう。いつも聞いているようでいて、聞いた事の無い声。由綺、美咲先輩、はるか、理奈ちゃん……?いったい誰なのだろう。

「ふう」
冬弥は少し眠そうな目をパチパチしながらぼうっとしていた。部屋の中は暖かく、すでに目をさめているようだった。カーテンは閉まっていたが部屋はほのかに明るく、直接太陽を見たときのような眩しさは無い。そんな事はそれほどきにせず、ぼうっとしていた。

 あれ?昨日からつけっぱなしにしといたかな、ちゃんと消したはずなんだけど。とりあえずカーテンでも開けるか。もしかしたら……、そんな事無いか、あれは夢なんだし。そう思いながら素足で窓までいってみる、床も冷たくないな。
カーテンを捲ってみる。目の前は薄暗く、灰色で染まっていて、そのなかを純白なそれでいて灰色な雪が風に舞うことなくシンシンと降っている。それを見ていると俺は去年の事を思い出した。
由綺が里奈ちゃんと歌い会った前日、突然の電話に少し心配しながら話していると、由綺の告白に驚き、そのあと、俺は自分の気持ちと由綺の気持ちを癒すため1晩をあかしたこと。その後弥生さんに頼んで休みの前日と休みの日は一緒に過ごすようにし、それ以来ずっと由綺が側にいること。それ以来大学にいるときに感じる誰かの視線。
あれから1年かぁ、あれ以来緒方さんもなんもしてこないし。
「あ、おきてたの。オハヨ♪パン焼けたけど食べる?コーヒー入れてくるね♪」
体格がそれほど変わらないせいか、高校のころから着ている、お気に入りの灰色のスエットにパーカとジーパン姿の由綺がエプロンをかけ、ソファの上に座って笑顔で言った。テーブルの上にはこんがり焼けたトーストと、マーガリンと、オレンジのマーマレードが置いてあった。
そしてコーヒーを煎れにキッチンに行った。
「うん、食べようか。それにしてもまだ8時か、由綺何時に来たの?昨日は遅いか
ら自分の部屋で寝るとかいったんじゃない?来るなら電話ぐらいしとけば僕も
早く起きたんだけどな」
インスタントコーヒーを探し、コップの準備をしながら由綺が少し小さい声で、
「ううん、あの後ね、すぐに寝たんだけど6時頃に目が醒めてね。その後急に冬弥
君のアパートに行きたくなってね、7時半頃に行ったの。そしてね、ストーブの
スイッチ入れてね、それからずーっと冬弥君の顔見てるとね、なんか夫婦みたい
な感じがして、そしたら急に朝ご飯作ろうかなって思ったの」
その間にコーヒーをコップに入れ、それをこっちに運んできた。途中、夫婦と言ったとき俯き、消え入りそうな声で注意しないと聞こえなかった。
「あ、ありがと。あれ、これブラックじゃないよ。そっちが僕のじゃない?」
「ん? にがぁ。ハハ間違えちゃったね、はい、交換」
おかしいなそんな事間違う人そういなけどなぁ。
「疲れてるの?だったら寝とけばいいのに、俺も今日バイト無いし、1日中家にい
るし」
「うん、実は少し眠たいのでも冬弥君今日バイトかなあと思ってね、そしたら早く
会いたいなと思って」
いいねえ。こんなに思ってくれて、あの時くじけなくてとかった。お互い信じていれば何とかなるもんだな。
「よし、今日は一緒に寝よう!2週間ぶりだね、一緒に寝るの」
はずかしまぎれに少し大きな声で言うと、少し照れた顔の由綺がこくっと頷く。
「うん……。2週間ぶりだね」

二人はベッドに入って、手を繋いで寝だした。これがずっと続く様にと思いながら。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ふう。どうでしょうか、初めてです。小説を書いたことなんかは。読むのは面白いけど書くのは難しいですね。できれば感想とか、注意点を指摘して下さい。

でわ!