マルチの休日(前編) 投稿者: ニャンヒデ
私が、お洗濯物を干していると、
「マルチ、今日は一日休んでていいよ」
浩之さんがいきなり、そうおっしゃったんです。
「えっ?そんな、浩之さんはどうするんですか?」
「俺は大丈夫だから、そうだ。街にでも行って遊んで来いよ」
私は、一人で遊ぶということをした事がありませんでしたので、浩之さんに聞いてみました。
「どうしたらいいんでしょうか」
「・・・・・え?」
「私、一人で遊んだ事がありませんので、どうしていいのか解りません」
私は、少し涙目になってしまいました。
「そ・・そうだな。あかりでも誘ってみちゃぁどうかな」
「はい!!」

というわけで、浩之さんのご厚意によってお休みを頂きました。
「あかりさん、すいません。付合って頂いて」
「いいの、マルチちゃん。丁度私も、欲しいものがあったから」
あかりさんは、とっても優しく私に言ってくれました。
「そうだ。映画を見に行きましょ」
「はい!!」

私たちは映画館で「炊いた肉」という映画を見る事になりました。
「いらっしゃいませ」
「あっ!!はい。いらっしゃいました」
「マルチちゃん。そんな事言わなくてもいいんだよ」
「えっ、でも開発部の皆さんからお返事はちゃんとするようにって」
「そう、マルチちゃんって、礼儀正しいんだね」
「そんな事ないですよ」
「兎に角、入りましょ」
「はい」
「わぁぁあぁ、綺麗ですぅ」
「マルチちゃん。座りましょ。あっ、あそこが開いてる」
「あっ、はい」

「炊いた肉」という映画は、炊いたお肉を巡って、男の方と女の方が出会い、
そして、炊いた肉の前で会いを誓い合うのですが、その女の方には、婚約者がいらっしゃって、
婚約者の方が、その二人の間を裂こうとなさるのですが、炊いた肉のお陰で、その二人の愛が結ばれるという。
とっても不思議でいいお話です。

「あぁ、面白かったね。マルチちゃん」
「ぶぁび、ぼっべぼびびおばばびべびば」
私は、あまりにもいいお話でしたので、感動して泣いてしまいました。
「マ・・・マルチちゃん。まず、涙拭こうね」
あかりさんがハンカチを貸してくれました。
「ばびばぼうぼばびばず」
「マルチちゃんって、優しいんだね」
私は、お借りしたハンカチを返しながら
「そ、そ、そ、そんな事ありませんよ。あかりさんの方が、ずっと優しいです」
あかりさんは優しく笑われて、
「ありがとう」
と言われました。
「そうだ、マルチちゃん次は、本屋さんに行こう」
「はい!!!」

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あとがきの前のあとがき

というわけで、第3作目です。
今回も、微妙にほのぼのさをだしつつ書いたつもりです。
そして、初の前後編、まぁやる必要はないのではないか?
という意見もあったりなかったり。

前回のあとがきに書いたモノに
貴重なご意見をご頂戴して、誠にありがとうございました。
皆様の貴重なご意見を頭に詰め込んで、これからも精進いたしますので、
よろしくお願いいたします。