私が、お洗濯物を干していると、
「マルチ、今日は一日休んでていいよ」
浩之さんがいきなり、そうおっしゃったんです。
「えっ?そんな、浩之さんはどうするんですか?」
「俺は大丈夫だから、そうだ。街にでも行って遊んで来いよ」
私は、一人で遊ぶということをした事がありませんでしたので、浩之さんに聞いてみました。
「どうしたらいいんでしょうか」
「・・・・・え?」
「私、一人で遊んだ事がありませんので、どうしていいのか解りません」
私は、少し涙目になってしまいました。
「そ・・そうだな。あかりでも誘ってみちゃぁどうかな」
「はい!!」
というわけで、浩之さんのご厚意によってお休みを頂きました。
「あかりさん、すいません。付合って頂いて」
「いいの、マルチちゃん。丁度私も、欲しいものがあったから」
あかりさんは、とっても優しく私に言ってくれました。
「そうだ。映画を見に行きましょ」
「はい!!」
私たちは映画館で「炊いた肉」という映画を見る事になりました。
「いらっしゃいませ」
「あっ!!はい。いらっしゃいました」
「マルチちゃん。そんな事言わなくてもいいんだよ」
「えっ、でも開発部の皆さんからお返事はちゃんとするようにって」
「そう、マルチちゃんって、礼儀正しいんだね」
「そんな事ないですよ」
「兎に角、入りましょ」
「はい」
「わぁぁあぁ、綺麗ですぅ」
「マルチちゃん。座りましょ。あっ、あそこが開いてる」
「あっ、はい」
「炊いた肉」という映画は、炊いたお肉を巡って、男の方と女の方が出会い、
そして、炊いた肉の前で会いを誓い合うのですが、その女の方には、婚約者がいらっしゃって、
婚約者の方が、その二人の間を裂こうとなさるのですが、炊いた肉のお陰で、その二人の愛が結ばれるという。
とっても不思議でいいお話です。
「あぁ、面白かったね。マルチちゃん」
「ぶぁび、ぼっべぼびびおばばびべびば」
私は、あまりにもいいお話でしたので、感動して泣いてしまいました。
「マ・・・マルチちゃん。まず、涙拭こうね」
あかりさんがハンカチを貸してくれました。
「ばびばぼうぼばびばず」
「マルチちゃんって、優しいんだね」
私は、お借りしたハンカチを返しながら
「そ、そ、そ、そんな事ありませんよ。あかりさんの方が、ずっと優しいです」
あかりさんは優しく笑われて、
「ありがとう」
と言われました。
「そうだ、マルチちゃん次は、本屋さんに行こう」
「はい!!!」
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あとがきの前のあとがき
というわけで、第3作目です。
今回も、微妙にほのぼのさをだしつつ書いたつもりです。
そして、初の前後編、まぁやる必要はないのではないか?
という意見もあったりなかったり。
前回のあとがきに書いたモノに
貴重なご意見をご頂戴して、誠にありがとうございました。
皆様の貴重なご意見を頭に詰め込んで、これからも精進いたしますので、
よろしくお願いいたします。