小澤昭一的ココロ「HMについて考える」火曜日 投稿者:戸津都 投稿日:1月13日(日)15時03分
この番組は・・・フロムハート、トゥハートの来栖川自動車と、
来栖川ディーラー各社の提供でお送りします。

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 小澤昭一の「小澤昭一的ココロ」

 今週は・・・

 「私の人形は良い人形、動く人形『HMについて考える』」

 講演 小澤昭一 筋書 戸津都凵@お囃子 山元直純

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 今日日の世間の娘さん達の変わり様は、諸行無常の心をもって
しても!!些か受け入れがたい程の変わり様でございます。

 「ちょっとぉ〜 そこのオジさぁん!!」

 ・・・ならば、まだ良いのであります。

 町を闊歩する「これでもかぁぁぁ!!」と言わんばかりの短い
チェック柄スカートのヒラヒラする裾に見とれておりますとぉ

 「お!! そこのオッサンよぉ〜!! なにジロジロ見てんだよぉ!!」

 ・・・なんてセリフが、その言葉使いからは信じられないような
可愛らしいアンヨと御顔を持つ「お嬢ちゃん」から発せられる事に
驚くなんてのは、日常生活で奇特な事ではございません。

 荒れた言葉使いだけならば良いのであります。
 我らが宮坂オトーサンの青春時代においても、教養学部1号館の
バリケードの内側に暮らす住人達には・・・

 「宮坂クン!! キミはさぁ〜、その件について自己批判すべきだよ。」

 ・・・なんて男言葉で喋り、

 「このヤロォ!!国家のクサレ犬がぁ!!クソでも食らえぇ!!」

 ・・・とゲバ棒を振るっていた女傑がいたことは事実であります。

 しかし!! しかしであります!!

 「このような事例は、もはやワールドワイドな現状では常識と思われ
ますが? 何卒、早急に改善される事をお奨めいたします。」

 ・・・と先日、宮坂課長の起てたプロジェクト企画を実に「優雅に」
罵倒した、まだ20代だという関連子会社の「切れ者」と巷で噂される
女性課長の、完璧無欠な敬語を使いながら、まるで、かのクレオパトラが
北京原人を見下すが如きの、他人を終始、小馬鹿にすることに全力を
注いでいるその態度には!!「心だけは」未だに正義に燃えたぎる青年で
ありたい宮坂オトーサンには、もはや!!我慢ならなかったのであります!!

 残業なんか自宅のパソコンで片づけるという若者達が会社の幹部に
まで及んで、最後の鍵締めと警備員さんへの引継は課長が自らすると
いう、誰もいない昨今の夜の職場でございます。
 最近、その夜の人影少ない職場を、宮坂課長は「秘密の花園」とぉ
呼んでおりますなぁ・・・。

 「なぁマルチちゃ〜ん・・・セリオさ〜ん・・・聞いてくれよぉ。」

 近くのコンビニで買ったビールを紙コップで煽りながら、寝床は
HMドック、つまりは会社が自宅なので、年がら年中が残業時間に
なってる件の「お嬢さん」達に嘆く宮坂さんの姿がそこにあります。

 お嬢さん達も健気なもの!!しっかりとお酌なんかしてくれるのよ!!

 ウチに帰ってグチりゃいいだろうって?
 とんでもございませんのよ!! それをやろうものならば!!近所の
コンビニでパートの店員で家計を助ける奥方からは・・・

 「もう!!いい加減にしてちょうだい!!子会社出向でもしなければ
課長にもなれなかったアナタのために私は・・・」

 ・・・と、逆に深海魚でも食わないグチを並べられます。

 小さい頃は「おとーたん・・・おとーたん」と自分ベッタリだった
長女は、もう社会人のクセに未だ茶髪の彼氏の許にベッタリです。
 キャッチボールを教えた長男は何浪めかの受験勉強中で、言葉の
キャッチボールすらしてくれません!!

 唯一、宮坂オトーサンのグチの聞き手だった三毛猫のタマも・・・
最近は魚屋のクロとの逢瀬に夢中なようでございます。

 「−−やはり宮坂課長との年齢差による気後れを埋めるための、
必死の勢い付けだと思われます。余り気になさらない方が良いかと。」

 冷静なセリオさんの分析と理屈付けは、宮坂さんのやりきれない
心を実に明快な形で解きほぐしてくれます。
 何でも衛星からのダウンロードで心理カウンセラーの情報を得て
いるとかの話ですから流石のものです。

 そして!!

 「元気出して下さいですぅ〜。じゃぁ、私がしてもらうと嬉しい、
とぉ〜っても元気の出るオマジナイを宮坂さんにもしてあげますぅ。」

 ・・・といってマルチちゃんが何度も、最近、白髪と抜け毛が目立つ
「枯れススキの原っぱ」になりつつある頭をナデナデしてくれるという
「天国の日々」に思わず!!涙する宮坂さんであります。

 因みにぃ・・・。
 こうやってお嬢さん達を相手に、コンビニで買ってきた酒とおつまみ、
そして会社の応接セットで上機嫌になれるという、別名「社内スナック
『秘密の花園』」の恩恵を受けまして宮坂オトーサンのフトコロもまた!!
「天国の日々」となっていると言うことは奥方には内緒であります。

 給湯室で、お手洗いで、社内各課各係のスズメちゃんたちのピーチク
パーチクの容赦ない噂話が飛んでおります。

 「第3課の宮坂課長でしょ〜ぉ。ロボットにお熱のぉ〜!!」
 「私らにセクハラトークしなくなったんだから、いーじゃないのぉ!!」
 「でもぉ『人間の娘っ子なんざ、もう要らねぇ!!』って言ったのよぉ!!」
 「え〜!!なぁ〜んかキモーイ!!」

 しかーし!! 今の宮坂さんの耳にとっては届くどころか聞こえませんし、
そもそも聞く耳なんかドッコにもありませ〜〜〜〜ん!!

 「耳のアンテナぁ〜?関係あるかぁ〜バカヤロ〜!! こんなに可愛くて
優しい娘達ならぁ〜例え肌が緑色でもオレは好きだぞぉ〜!!」

 たまに誘われて行く「外の世界」で上機嫌の宮坂課長は、もう誰と
構わず自慢しまくるのでございます。

 というわけで、今週は・・・

  「『私の人形は良い人形』動く人形、HMについて考える」

・・・と題しまして、人間社会で健気に働くこのお人形さんたちと、
彼女たちに勇気付けられる宮坂オトーサンの姿を、アレコレと考察
しているわけでございますがぁ〜。


          @@@【御囃子】¥¥¥


 ある金曜日の終業後であります。
 いわゆる!!宮坂さんのいう「秘密の花園」の時間!!
 しかも!!金曜日ということもあって、宮坂オトーサンの「天国の日々」。
 思う存分お嬢さん達と話せる日であります。

 しかし!! 件のお嬢さん達は4時半を過ぎた頃から、何故か終ぞ御姿が
お見かけできません!!

 「あー、青木君、マルチ君とセリオ君はぁ・・・どうしたんだろう?」

 彼女らに何かあったんじゃないかと思った宮坂さん、青木君を呼びます。

 「課長、彼女らは只今、HMドックでメンテナンス中です。」

 「なに!? 何か緊急なことでも起こったのか?」

 最近は何だか実の娘の様にすら思えてきた件のお嬢さん達でありますから、
宮坂オトーサンの顔にも不安が過ぎります。

 「課長・・・社内メールをご覧になりませんでしたか?」

 やや怪訝な顔をして青木君は返します。顔にはしっかり書いてあります。
 "もう・・・しょうがねぇなぁこのオジサンは"・・・と。

 「や・・・これは済まなかった・・・失敬失敬。」

 "どうせ読まないんでしょ?" という顔をしながら青木君が説明します。

 「彼女たちは異常がなくても、定期的に各機能の可動チェックを掛け、
また記憶装置等の情報を整理するんです。その時にはスイッチを切って、
まあ『眠らせる』方がやりやすいんですね。」

 せっかくの「花の金曜日」が露と消えた宮坂オトーサン、その落ち込み
ようは、結局、その帰り道、何処の「止まり木」にも寄らず帰宅された事
からも、皆さん御判りでございましょ〜。

 何でも彼女たち、月曜日の朝までは睡眠時間ということで、どうにも
諦められない宮坂さんでありまして・・・

 「ちょっと会社に忘れ物をした。行ってくる。」

 ・・・と土曜日の昼近く、奥方にそう言って電車を乗り継ぎ、会社の
自分の課の隣、HMドックのある第6小会議室にまいりました。

 マルチちゃんとセリオさんは安らかな顔で眠っております。誠にこの年頃の
女性・・・という設定で創られたお嬢さんの寝顔は可愛いものであります!!

 宮坂オトーサン、年甲斐もなく童話「眠り姫」を思い出すのであります。
 あぁ、この頬に・・・唇に・・・王子様のようにチューしてあげたい!!

 しかーし!!
 そんな姿を見られようものなら、社内で何言われるか判りませーん!!
 宮坂さん、隣の我が課に誰か居ないかを確かめに向かったのであります。

 予想通り、課には誰かが居た後がございました!!
 青木君の机の上では2台のノートパソコンが稼働中にも関わらず、やや
液晶画面を伏せる形で置いてあります。

 何やら!!面白い物かもしれないぞ・・・宮坂さんは直感します。
 もう宮坂さん、こういうとき「だけ」は勘が働くんですなぁ・・・。

 青木君は外に食事に行ったようでして・・・宮坂オトーサン、もう生来の
スケベ心と申しましょうか、こういった物を見るといじりたくなります。

 1台の液晶を少し開きますと・・・。
 なんと!!セリオさんの整備の画面とおぼしき物が写っております!!

 「なになに・・・特殊設定画面?」

 宮坂さんの感は見事に当たっておりましたぁ〜!!
 どうやらセリオさんの性格なんかを設定する画面でございます。

 性格ということは、相当に突っ込んだ設定に違いありません。
 本当にこういうときは宮坂オトーサンの感は冴えに冴えます。

 「これは余りイジると取り返しが付かなくなるなぁ・・・。」

 取り敢えずサラリと流し見ようと画面をスクロールして間もなくの事!!

 なんと!! 宮坂さんの目を疑うような文字が飛び込んできたのであります。

                    「宮坂課長 特定基本設定」

 さすがに宮坂さん、この設定だけは見ないわけにはまいりません!!

 「詳細」をクリックしますとぉ〜!!
 もう出るわ出るわ、人の心を見透かすような赤面の言葉が並びます。

 「セクハラ許容限度−−−100分以内に2回までは笑って許す。3回目
については社会的地位を緩やかに示し自制を促す。4回目からは・・・。」

 宮坂さん、赤面の思いで、もう1台のノートパソコンのマルチちゃんの
設定を読みあさりますと!!
 やはりそこには「宮坂課長特定設定」が存在するのであります!!

 「セクハラ許容限度−−−(中略) なおマルチ型へのセクハラは他人の目
からはロリコンとの解釈をされる恐れがある事を付け加えて諭すこと。」

 そして!! 何より宮坂さんを驚愕させたのは、どちらのお嬢さんの「設定」
にも書き加えられていた、この一言でございます!!

 「但し時々は無抵抗に尻を触らせること。対象者の"生き甲斐"である。」

 宮坂さ〜ん!!世間はお見通しなのよぉ〜!!

 ピンポーンという遠くのエレベーター到着音にせかされて、詳細画面から
素早く!!普通の画面に戻すと、宮坂さん、自分の机に走り、捜し物をする
ふりをしたのでございます。

 「あ・・・課長!! 何かありましたかぁ〜?」

 帰ってきた青木君の呼びかけに、

 「あ・・・うん・・・ちょっと名刺入れを忘れてな・・・。」

 ・・・と誤魔化したものの何とも居づらい気持ちに、そそくさと会社を
出た宮坂さんでございます。
 青木君に「特殊設定」の件など、聞けるわけはございません!!

 何とも言えない空しさに宮坂オトーサン、一人、土曜日の午後を彷徨い、
まだ御天道様も煌々としてる内から、飲み歩いたのでございます。

 「もう!!せっかくの休みだというのに!!何処をほっつき歩いてたの!!」

 12時も回り午前様になってから、ドロドロの泥酔でタクシーの運転手
さんに支えられ帰還した亭主に奥方が浴びせる罵声なんか馬の耳に念仏。

 次の日曜も殆ど布団から起きあがることもなく、宮坂オトーサンは
惚けるように過ごしたのであります。

 あのセリオさんの優しさもマルチちゃんの無邪気な笑顔も、所詮は
作り物で、ましてや自分の心を見透かすような設定の結果だった。

 その事実が二日酔いの宮坂さんの頭を、地球の周回を回る人工衛星の
ようにグルグルと何時までも何時までも回り続けるのであります。

 思えば・・・今となっては懐かしい中学時代、

 「宮坂くぅ〜ん、一緒に帰りましょう〜」

・・・なんて気兼ねなく男子にも声を掛けてくれた、近所に住むクラス
1番のカワイコちゃんで人気者であった美佐子さんが、自宅2階の自室で
家庭教師の大学生と熱い接吻を交わしていたところを、手作りの望遠鏡で
目撃してしまった時の、憧れの女性に裏切られて、しかも!!その事を誰
にも打ち明けられない心痛と同じ物を!!何十年ぶりかに宮坂オトーサンは
再び!!強く強く噛み締めているんですなぁ。

 「所詮は機械でも『女』だったか・・・。」

 やっぱり世の中、そうは気楽に進まないのよ!!宮坂さん!!


            @@@【御囃子】¥¥¥


          @@@【CMと天気予報】¥¥¥


 さて「甘やかしません!!」と申し上げている当番組も、死人・・・
いや死人同然の宮坂オトーサンを鞭打つ非道は幾ら何でも致しませ〜ん!!
 生きる死ねバカ・・・もとい、屍と化した宮坂さんに救いの女神が
現れたという話は〜また明日の「お人形さん」のココロだぁ〜


          @@@【エンディング御囃子】¥¥¥