ここは・・どこ? 暗いよ…どこなの? (……瑠璃子) え? お兄ちゃん? どこ? (ここだよ…瑠璃子) わからないよ… お兄ちゃん? どこにいるの? (ほら…すぐそばだよ…僕はいつも瑠璃子のそばにいるよ…) 暗くて何もみえないよ、お兄ちゃん。 私はどうすればいいの? お兄ちゃん…怖いよ…。 (怖がる事なんてないよ、瑠璃子。だって僕はいつもそばにいるから) うん、お兄ちゃんはずっと一緒にいてくれる。 でも、どこ? 私には見えないよ。 (手を伸ばしてごらん、僕はここにいるよ) 手? うん、わかったよ。 ・ ・ ・ あ、お兄ちゃん。 (瑠璃子、僕の瑠璃子) うん、お兄ちゃんの瑠璃子だよ。 (やっと戻ってきてくれたね。僕はずっと待っていたんだよ) でも、私もずっとここにいたんだよ? (そうだね。瑠璃子はいつもそばにいてくれたね) うん、お兄ちゃんのそばにいたよ。 (でもね、僕にも見えなかったんだ。) 真っ暗で怖かったの? (うん。瑠璃子が見つけられなかったんだ。) ふふふ、私と同じだね。 私もお兄ちゃんが見つけられなかったんだよ。 (瑠璃子もなのかい?お互い、こんなに近くにいたのにね。) ふふふ、なんだか可笑しいね。 (ははは、僕もそう思うよ。) お兄ちゃん? (ん?なんだい瑠璃子。) ここはどこ? (ここかい?) うん。 (ここはね、僕が瑠璃子のためだけに作った世界だよ。) 私のためだけの世界? (そうだよ。ここには、太田さんもこれないんだ) 太田さん?ああ、お兄ちゃんの彼女だね。 (彼女?違うよ。太田さんは「鍵」だったんだよ) 鍵? (そうさ。瑠璃子を捜すためのね。) 太田さん、お兄ちゃんの鍵だったんだ。 (僕が作ってしまった扉だからね) 違うよ、私が作った扉だよ。 (じゃぁ、二人で作った扉だね) うん、そうだね。 (でも、その扉も、もう開いたんだ。) うん。だからお兄ちゃんに会えたんだもん。 (これでずっと一緒にいられるね。) ずっと一緒だよ。 私はずっとお兄ちゃんのそばにいるよ。 だから、もう帰ろう? (帰る?どこへ?ここが僕と瑠璃子の家なのに?) 違うよ。 ここは私たちの家じゃないよ。 (どうして、そんなこというんだい?瑠璃子。) だって。 ここは暗いもの。 (暗い?僕には瑠璃子が見えるよ。) 私にもお兄ちゃんが見えるよ。 (じゃぁ、いいじゃないか。ここにはあの長瀬とか言う男もいない。) うん、長瀬ちゃんいないね。 (二人だけの家だよ?僕と瑠璃子の。) でも、長瀬ちゃんいないよ? (瑠璃子、なんであんな奴の話なんかするんだい?) 長瀬ちゃんは一緒にお兄ちゃんを捜してくれたんだよ? (探してくれた?僕には瑠璃子を奪おうとしてるようにしか見えなかったよ。) そんなことないよ。 だって長瀬ちゃん優しかったもん。 (優しかった?) うん。 優しく抱きしめてくれたよ。 お兄ちゃんと同じように。 (僕と同じ?僕は瑠璃子を傷つけることしかできなかったよ。) そんなことないよ。 だって、私はお兄ちゃんのこと大好きだもん。 (瑠璃子、約束したよね。僕が守ってあげるって。) うん。 覚えてるよ。 (僕ではだめなのかい?) そんなことないよ。 だから、一緒に帰ろう? (……) お兄ちゃん? (だめだよ、僕は帰れないよ。) どうして? (だって、瑠璃子を泣かせてしまったから。) 私は元気だよ。 ほら、ね。 (だめだよ。だって瑠璃子は今も泣いているよ。) 泣いてないよ。 ほら。 (……) お兄ちゃん、どうして? (ここにいれば、瑠璃子は笑っていてくれる。でもきっと帰ったら泣いてしまうよ。) 私、強くなったもん。 大丈夫だよ。 だから、一緒に帰ろうよ、お兄ちゃん。 (僕は、ここで瑠璃子のことを待っていたんだ。) でも、長瀬ちゃんが見えないよ。 (ここでしか僕は笑えないんだ。) お兄ちゃんはいつも笑っているよ。 ほら、今だって。 (でもきっと帰ったら僕も泣いてしまうよ。) 私が一緒にいてあげるから怖くないよ。 (だめなんだ。あそこはもう僕の居場所じゃないんだ。) 私たちの家があるよ? 一緒にいられるよ? (優しいね。瑠璃子は。) お兄ちゃん? (僕はもう戻れないんだ。僕はそれだけのことをしてしまったから。) 長瀬ちゃんだっているよ。 きっとお兄ちゃんを守ってくれるよ。 (だめだよ。長瀬を見たら、きっと僕は同じ過ちを繰り返してしまう。) お兄ちゃん…。 (だから、僕は帰れないよ。瑠璃子も一緒にいておくれよ。) でも…。 (長瀬のことが好きなのかい?僕よりも?) そんな、比べる事なんてできないよ。 (長瀬が必要なのかい?) 長瀬ちゃんは、私を呼んでくれるから。 (僕には聞こえないよ。) 私には聞こえるよ。 瑠璃子さんって。 私のこと探してくれるの。 (僕だって探したさ。) うん。 感じたよ。 お兄ちゃんの電波。 でも、だめだよ・・・。 長瀬ちゃんが泣いてるから。 私、長瀬ちゃんのところへ行くよ。 (どうして?僕がきらいなのかい?) ううん。 そうじゃないの。 本当は、お兄ちゃんと一緒がいいけど…。 ここにいなくても、お兄ちゃんのことは感じられるから。 (僕はいつでも、瑠璃子の事を見ているよ。) うん。 でも、長瀬ちゃんは私が探してあげないと見つけられないんだよ。 長瀬ちゃんは、ここを知らないから。 だから私は長瀬ちゃんのところへ行くよ。 (瑠璃子、また僕を一人にするのかい?) 大丈夫。 いつでもここにくればお兄ちゃんには会えるから。 (瑠璃子・・・。) ごめんね。 でも、私は行かなきゃ。 (どうしても・・行ってしまうのかい?) うん。 私は帰るよ。 (僕と一緒にいるわけにはいかないのか?) だめだよ…。 だって…。 (だって?) ・ ・ ・ 長瀬ちゃんが呼んでるから。 The end -------------------------------------------------------------------------------- 読んでの通り、雫のお話です。 設定は、トゥルーエンドを迎えて、瑠璃子が帰ってきた場面。 原作では、祐介視点で話が進むため、月島兄妹の話しの細部は語られませんでした。 それで、瑠璃子はどうして現実世界に戻ってきたのか? ってところを自分なりの解釈で書いてみました。 もっと他の解釈の仕方も多数有ると思うので、「趣味」だと思って下さい(爆) しかし、瑠璃子の性格がつかみ切れていないため(つかみ切れている人はいるのだろうか?) 予想以上に苦戦しました・・。 最後のセリフ。 どっかで聞いたことがあるなぁと思ったかた。それは図星です。http://user2.allnet.ne.jp/tuna/