To Heart WDASH7(5)  投稿者:闘魂秋吉


あ・ら・す・じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!
・ なんか幼稚園で唄ってたら敵がせめてきたのでいつも通りにヴァルキリー乗って
また唄ってたら芹香市長がピンチでそれを救ったはずなんだが本人にはその自覚がなく―――――――
以下略!!!!!


「で?いつになったらこの失態を挽回してくれるの?」
暗い一室。
明かりと言う物は、蝋燭に灯された火がぽつり、ぽつりと幾つかあるだけ。
その一室では、その暗さのため、互いに相手の顔も満足に見ることが出来ない。
だが、人…が二人ばかりいるのは、辛うじて確認できた。
「ハッ…申し訳ありません!この汚名は必ずいつか挽回…」
会話をする二人の男と女…その男のほう、こちらはまだなんとか顔が見える。
キギルだ。
「もういい!言い訳は聞き飽きた!男なら態度で示してみなさい!」
女が怒りのこもった声でそれに答える。
影が掛かり、その顔は確認出来ない。
「ハッ!ならばシティならずとも、その護衛艦どもをわが手中に収め、
貴方様の元に差し出す次第!」
「いいでしょ。なら早くやって見なさい」
「了解しました!」
そう言うとキギルはフッ、と掻き消えた。

3秒後、すでにキギルは自分の指揮する艦のブリッジに座っていた。
「くそがぁ!あの女!でかい顔しやがって!今に見てやがれ…!!
野郎ども!出撃だ着いて来い!!」
その言葉を合図に、キギルの乗った艦を始め十数隻で構成される艦隊が、
バトル間を目指しフォールドして行った。


第5話 戦場のオルゴール(前)


シティ内に存在する、捕虜収容所。
シティ建設時から『使い道が無い』『税金の無駄』などの声が挙がり、
芹香自身もこれは使う事が無いだろう、と思っていたりしたのだが、
意外にも、遂に使うときが来た。
しかも中身は捕虜収容所とは思えないほど奇麗で、
下手なホテルより住み心地は良さそうだ。
その一室のベッドに、一人の捕虜が座っている。
「………?」
捕虜の様子はどうです?と、芹香は聞いた。
その微かな声に、ぴくっ、と白衣を着た、研究者らしきもの…が反応した。
「あ、はい…今のところは特に何も変化は無いのですが…
一つ興味深い事を発見しました。これを見てください」
「…脳波反応装置……ですか?」
「そうです。データ収集の為に…と言うよりかはどうやっても口を割らないので
ヤケになって、歌なんかを聞かせてみたのですが…不思議な事に、このバンドの曲を
聞かせたときだけ、脳波に反応が現れるんです。まあ、聞いてみて下さい」
そう言うと研究者は少し離れたスイッチを手を伸ばし入れた。
そこから流れてきた曲は――――――――
「………」
(浩之さんの…曲?)

「えぇ?また仕事かよぉ。俺らプロでもないのに忙しいこったなぁ…」
浩之はそう言うと溜息を一つ吐いた。
「それは言わない約束よ。でも今回は姉さん直々の依頼だから…もしかしたら超VIP客
かもよ?」
「くだらねぇな。…だが…市長直々の依頼とあっちゃあ断れねえな…」
浩之は綾香が言うVIP客には興味が無かったが…まあ、そう言う事だ。
「決まりね。あかりとレミィも準備して!」
「うん、分かった綾香(最近わたしこんな役ばっかり。もっと目立ちたい…)」
「OKネ!(イツカ主役を……)」
完全に日陰族と化した二人の陰謀を、なんかそのつもりは無いのに目立つ二人は知らない。


バトルトゥハート7、通称バトナナ艦。
その中身は広く広く、パイロット3000人を含む4300人がこの船で生活している。
そこの兵舎の廊下。葵は、外(宇宙)を見ているマルチを見つけた。
「どうしたの?マルチ」
「あ、葵さ…葵隊長」
葵はそのマルチの言葉を聞きなんだか無償に可笑しくなって、
「いいのよ、『葵』で。私達同期なんだから。高校の学年も一緒だったし…」
と、途中何度か笑いながら答えた。
なんかこのSS、こんなんばっかりやな。
「は、はい!わかりました!葵…葵さん」
「だから葵で良いって…」
「い、いえ、でも私はメイドロボですし……」
葵はまたクスッ、微かにと笑い、
(隊長なんて堅苦しい呼び名じゃなくなった分いいか…)
なんて思ってたりした。
それを見ていたマルチは不思議そうに、「どうしたんですか?葵さん」と聞いてきた。
その言葉で葵はハッ、と我に帰り、「い、いや、なんでも無いのよ」
とたどたどしく答えた。
葵は咳払いを一つ、「それよりマルチどうしたの?外なんか見てたりして」
「あ、いえですね、シティは今どうなっているんでしょうかなんて事を考えたりして…」
その事は葵にとっても心配事だったので、相槌を打った。
「そうね…敵の手に落ちた…なんて事は無いと信じたいわね」
そこまで言って、葵はマルチが何か持っている事に気がついた。
「…マルチ、なぁに?その持っている物」
マルチは「あ?これですか?」と、その物を持ちなおして、葵の前に差し出した。
小さな箱だった。マルチの手に収まるのだから相当小さい。
「これはですね、今日私とセリオさんの再起動1周年だったんですよー。」
「へぇ…」葵はそんな事知っていなかったので、その事実を始めて認識すると共に、
その箱がどういった理由でマルチの元にあるのかを判断した。
「…つまり、それはマルチの再起動一周年記念のプレゼントなんだ。」
マルチは心底驚いた顔をして、「はわ〜、良く分かりましたねぇ〜」
などと感心していた。
「長瀬主任に頂いたんですよ〜。」
そう誇らしげにマルチは語り、その箱の蓋を開けた。
中からは、音楽が流れてきた。
電子音ではなく、安心できる、温かみのある音楽―――――
オルゴールだ。
「へぇ…この曲、何て言うの?」
そのメロディが強く心に残った葵はマルチにそう尋ねた。
途端にマルチは生き生きとした表情になって、語り始めた。
「私達と同じ高校に通ってて一年先輩だった、藤田浩之さん、って覚えてますか?」
浩之の事なら葵もいろいろ親切にしてもらった覚えがあるので、忘れているわけが無かった。
「その浩之さんがですねぇ、卒業してからバンドというものを始めたらしいんですよ〜」
流行に疎い葵ではあったが、バンドがどういう物かぐらいは分かるので、「へぇ」
と驚き気味の声を上げた。「藤田先輩が…」
「でですね、それを知った主任が私の為にこのオルゴールを作ってくれたんですよ。
わ、私、嬉しいですぅ〜…」
そこまで言うと、自分で話して感動したのかマルチは涙をこぼし始めた。
マルチの涙を拭く為に、葵がハンカチを差し出そうとしたその瞬間―――――――
『敵襲です!各ヴァルキリー隊パイロットは至急機体に搭乗し、発進して下さい!』
オペレーターの声と共に、艦内のランプが敵襲を告げる赤色に代わった。
ふと葵が気付くと、向こうでセリオが「早く行きましょう」と言っているのが分かった。
葵はマルチの手を引っ張ると、「マルチ、出撃よ!ほら涙拭いて!」とハンカチを差し出した。
「は、はいですぅ〜」
ぐしぐしと涙を拭くマルチ。
やがて涙を拭き終わり、二人はカタパルトへ向かって走り出した。
その途中。
「葵さん、もしシティとまた無事にドッキングしたら、浩之さんのバンドのライブを見に行きませんか?」
葵は一瞬悩むフリをしたが、実際のところ悩む問題でもなかった。
「いいわね。久し振りに藤田先輩にも会いたいし…」
「セリオさんも誘いましょう!」
「セリオねぇ…遠慮しそうじゃない?」
「大丈夫ですよ。セリオさんも浩之さんの事大好きですから」
「そう…じゃ3人で行きましょうか!」
「はい!」
楽しげな二人の会話。それは戦争中であることをつい忘れてしまうかのようなものであった。


だが、数十分後、彼女らは―――――




戦争と言う残酷な事実を、体験する事になる。


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次回予告(もうめんどくさいのでフツーに行きます、これからは編)
キギルとバトナナ艦、決戦のときは来た。
戦いの行方は!?トゥハート・キャノンとは?
そして今回殆ど出番の無かった浩之たちの行動は!?

次回!!『戦場のオルゴール(後)』!!

読んで下さいよ…お願い!

ちなみに今回、予告と内容著しく食い違っていた事をお詫びします。
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闘魂「石を投げないで下さい。」
影「オチが見えたな、前編で早くも」
闘魂「んん、思ったことを書いていたら前後編になってしまった…」
影「呪いメールとかはおくんないで下さい。怖いから」
闘魂(最近HN変えようかと思ってる)「そうそう。勘弁して下さいな。
これでも本人は真剣に書いているんですよ、そう見えなくても」
影「はぁ…ラスボスの正体みんな分かっただろうなぁ…不用意に書くから…この屑が…」
闘魂「く、屑ッス!(MIO師匠ゴメンナサイ、というか覚えてる?)」