To Heart WDASH7(4)  投稿者:闘魂秋吉


人工物の街にも秋は来た。
街を彩るその葉が、赤みを帯びてきた頃…

じゃん♪
じゃんじゃかじゃかじゃかじゃんじゃかじゃかじゃか…♪
じゃ〜ん……♪
そこまで演奏すると、浩之はその手を止めた。
そして、横に居る綾香の方を見て、
「で?ライブの日が、急に今日になったって?」
と、いかにも機嫌が悪い、と言った顔で聞いた。
「ええ。確かに急だけど、浩之なら出来るでしょ?」
「あんましおだてんなよ。しっかし、我が侭な客だな〜、来週の予定を今日やれなんてよぉ」
「まあまあ、いいじゃない。今月厳しいんでしょ?」
浩之は図星を突かれました、と言わんばかりに一瞬動きを止め、
「お、俺は金の為に唄を唄ってるんじゃねえ!」
「あ〜らそう、じゃギャラ全部3人でもらっていいのね?」
コレはもう、完全に綾香のペースだ。
ダイナマイトボンバーのボーカルは浩之一人ではなく、
持ち歌によって分担する、いわば全員ボーカルなのだ!
まあ、確かに浩之の担当曲が他のメンバーと比べると多い感は否めないのだが、
それでも3人を合計した数にはかなうわけが無い。
「ぐッ…分かったよッ!!やりゃあいいんだろ、全く」
浩之は防戦一方の末、遂に終戦協定を打ち出した。
藤田浩之、敗戦である。


第4話 戦え!女市長芹香


ブロロロロロロロロ…
ハイウェイを、綾香が運転するワゴンが滑る様に走る。(無輪車なので、まあ確かに滑っているのだが)
「あ゛〜、だりぃな〜、くそっ」
まだ浩之は納得いかない、と言った表情で文句を言い続けているが、
「だめだよ浩之ちゃん、折角聞いてくれる人が居るのに文句言っちゃ」
あかりが上手くなだめた。
が、しかし。あかりのそのセリフが浩之に素朴な疑問を感じさせる事になった。
「…おい、綾香。今回の仕事、全部お前が引き受けてきたんだよな?」
「そうよ?それが?」
何気なく返した綾香だったが、浩之がこの後どんな質問をするかは読めていた。
「今日の仕事よ、一体どんな客なんだ?」
綾香はやっぱり、と内心思った。
「着いて見れば分かるわよ」
浩之はやはり納得しなかった。
「んだとぉ?教えろよ綾香ぁ」
「別にそんなのいいじゃない、浩之ちゃ…」
あかりが浩之を抑えようとした。
が、今の浩之にそんな言葉は通じず、
「黙ってろ」
「…うぅ」
あかり、玉砕。
そして浩之が綾香に食って掛ろうとした、まさにその時――――
ダダダダダドドドドド…ドムドムッ!
けたたましいドラムの音が、車内に響いた。
「うるせえぞ!レミィ!!」
浩之は怒りの形相で後ろを振り返った。
が、レミィは動じもせず、すっ、と掛けていたサングラス(10月にか?)を外すと、
「ヒロユキ、怒りすぎは良くないヨ?」
浩之はそのズレた返答に怒気を削がれた様で、へろへろともとの席に座り込んだ。
ともあれ、レミィのお陰で車内の出来事は至極平穏にすんだようだ。
綾香がここまで予想したのかは知らないが。


浩之達ご一行が到着したライブの場所、そこは…
「…おい、綾香」
「何?浩之」
綾香は臨戦体制を取っていた。
「ここがライブをやる場所かぁぁぁ!!!!」
浩之はそう言うと同時に、その右腕を力一杯伸ばした。
が、その拳は空気を切っただけだった。
浩之がそれに気づくのと同時に、綾香の右膝が…
(やられたッ!)
浩之は目を閉じた。
が、蹴りは来ない。
寸止めだった。
目を開けると、笑いをこらえている綾香の姿がまず浩之の目に写り、
その事が更に彼の不快感を増長させることになった。
体の奥から溢れ出ようとする殺意の波動を抑えながら、浩之はもう一度聞いた。
「ここは何処だと聞いている!」
「だ、だから…ぷッ、見れば分かるでしょ…ククッ!
よ、幼稚園よ…も、もうダメ!わ、笑うわ!あ、アハハハハハハハハ!!!!」
「てめえ…ぶっ殺すゥ!」
浩之が、今まさにその殺意の波動を放出し、綾香に飛び掛ろうとしようとした時。
「あらあら、着いていらっしゃったのですか。」
園長が出てきた。
狙い済ましたようないいタイミングである。
「あ、どうも。リーダーの来栖川綾香です。本日はよろしくお願いします」
ちなみにここまで語る機会が無かったが、上の通り一応リーダーは綾香である。
「いえいえ。子供達も待っていますので、早速…あ、楽器類は先に運んで置きますので」
そう言うと園長は職員らしき者数人に楽器を運ばせ、自分は綾香らを園内に招き入れた。
渋々ながら、勿論浩之もついて行った。

「へぇ…結構広いじゃねえの」
浩之がそんな事を口に出した。
彼が地球で通っていた幼稚園とは規模が明らかに違っていたからである。
このシティにはここも含めて幼稚園が4個しかない。
その為、一つあたりの面積が多くなる、という当然の結果から生まれたものと考えれば、
この広さも納得はいくが。
長い廊下を延々歩き、園長の足が止まった。
「ここです。もう子供達は中で待っているので、準備が出来次第中に入って演奏して下さい…。」
「はい、分かりました」
「ガキは苦手だ…」
「ヒロユキ、子供好きなんじゃナカッタノ?」
「え?あー、今のはウソウソ、気にすんな」
「ほらほらそこのお二人さん、準備はよろしいかしら?」
浩之は何も持ってない自分を見て、「準備って言ったってなあ…」と呟いた。

幼稚園にしては立派過ぎるほどのホールに、浩之達が姿を現した。
「おらぁガキども!乗ってるかぁ〜!?」「おーーーう!」
最近のガキはひねくれてるっていうけど、ありゃウソだな、なんて事を浩之は考えた。
「それじゃぁ早速行くぜぇ!曲名は…」
どがあぁぁぁぁぁん!!
爆音が響いた。勿論演出などではない。
「敵!?」
綾香が言った。
浩之は思わぬ敵の出現に一瞬戸惑ったようだが、何かを思いついたらしく、
「ガキども!外に出て待ってろ!屋外ライブだ!」
とか言いながら、幼稚園を出て行った。
あかりはその行動に何か感づいたらしく、「頑張ってね〜、ひろゆきちゃ〜ん」とか、
呑気な声援を送っていたりした。
浩之はワゴンに乗り込み、轟音を立てながら悪所のほうへと車を走らせていった。
「あ、私のワゴン…」
綾香が呟いた。


10分後。
敵が暴れつづけているようで、シティの中心部では、人々が逃げ惑い、
恐怖していたりした。
そのシティの中でもひときわ高くそびえる建物。
頂点は宇宙空間にまで出ちゃったりしている建物。
それは…市庁舎。
その市庁舎から出てくる女がひとり。
支持率脅威の90%を誇る言わずと知れた現市長、来栖川芹香(20)その人である。
その現市長ともあろう御方が、黒いマントに身を包み、魔術書片手に歩くもんだから
さっきまで逃げ惑っていたはずの市民も一瞬歩みを止めて何事かと見入る始末。
果たしてこの市長、これから何をしようというのだろうか?

「ん…っ、ありゃあ市長じゃねえか!アレをやる気か?」
彼女の知人でその行動をいち早く察したのは浩之だった。
彼はそれだけ見ると、敵のほうへと「俺の唄を聞けぇ!」といつも通りのフレーズで突っ込んで行った。

芹香は近くのビルの屋上に上がると、魔術書を片手に、呪文を唱え始めた。
(シティの平和を乱す者達…許せません)
「Σ…Υ……Θ…」
その呪文は、かけた相手の筋肉を一時的に麻痺させ、行動不能に陥れるという、
単純かつ非情に効果的な物であった。が、弱点も存在していた。
呪文が長いと言う事。そして、詠唱しきらなければ効果を発揮しないと言う事。
それまでの間、敵に存在を知られるか知られないかは、完全に運だのみと言うわけである。
しかし、いくら彼女の声が聞き取れないくらい小さいと言っても、
声を発している限りは、いつかはばれてしまう訳である。
相手が機械なら…尚更。

「!?」
不幸にも敵の兵士が最初にその声をキャッチした。
集音マイクより聞こえる微かな声。
「何だコレは…呪文か?」
敵はその呪文に言い知れぬ不快感を感じ、その元を探した。
そして……見つけた。

「…Π…」
芹香の呪文は終わりかけていた。
しかし同時に敵も来ようとしていた。
(…間に合わない!?)
芹香の目の前に、敵のマシンが現れる。
その銃口は確実に芹香を捕らえ、寸分たりとも動かない。
呪文の詠唱はまだ終わってはいなかった。
芹香が絶望しかけた、その時―――――
「おらぁてめぇら!俺の唄を聞けって言ってんだろぉが!!」
浩之がどこからか現れ、唄い出した。
その瞬間、芹香は敵の動きが一瞬鈍くなったように見えた。
(この隙に呪文を…)
「……………ξ!」
呪文が終わると同時に、敵のマシンは動かなくなった。
「浩之さん…今です」
芹香ははっきりと、そう言った。
それを聞いた浩之は、意気込み、
「応!俺の唄を聞かせてやるぜ!」
「……違います」

敵兵士は捕虜となり、連行されて行き、シティには活気が戻った。
ビルの屋上には、浩之と芹香が二人。
「よっ市長、大丈夫だったか?」
「…………」
「ん?前みたいに『芹香先輩』でいいって?とんでもない。市長に対してそんな恐れ多い…」
この話し方は恐れ多くないらしい。
「………」
「え?どうも有難う御座いましたって?いや…そんな事言われたって、俺は何も…
唄だって聞いてもらえねえし」
「…いいんです…有難う御座いました」
「…まあ、市長がいいって言うなら良いけど…あっ!やべぇガキども待たしてるんだ!
ごめん市長!またな!」
軽軽しく浩之は言うが、市長の仕事は忙しい。
そう何度も会える物ではないのにあっさりと別れてしまう事が、芹香には寂しかった。
が、彼女には予感があった。
(浩之さんの唄を聞いたとき…確かに敵の動きが一瞬止まりました…
成る程、綾香の言う事も浩之さんなら可能かもしれませんね…準備を急がないと。)
そして彼女は身を翻し、既に夕刻の街へと消えた。
市庁舎へと向かう芹香は、少し笑っていたように見えた。
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次回予告(あ〜ネタが無い…なガンダ○0080編…ガン○ムばっかやな、おい)
浩之「VIP客だって?」
綾香「準備は出来てる?姉さん」
矢島「…この敵!挑発しているのか!?」
セバス「トゥハートキャノンチャージ!早くせんか!」
長瀬「いよいよ本領発揮と言うわけかい?親父」
次回『戦場のオルゴール』
※セリフなどを含め、内容は全て仮の物です。
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闘魂「おっひさっしぶりー!」
影「どこがや、この糞」
闘魂「ひでぇ……最近俺言われるがままだなぁ…あ、後半の
黒魔術うんたらについては、適当に記号並べただけなんで、反論受けない…というか受けられませんね。
…そこんとこ、ヨロシクお願いします…あ〜ビーストウォーズメタルス楽しい」
影「…逃避したか」
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感想&レスっす…ん〜、シリーズものの感想って書きにくいなァ…よって今回はパスっす!すんません!
<パイロット(長瀬祐介視点)>  ざりがに様
闘魂「………」
影「感想はどうした?なんか言え。それにコレはシリーズものじゃないのか?」
闘魂「…ベストオブメカニカル戦闘描写。…それだけ言いたかったです」
影「…まあ確かにお前のよりかは100段以上うえをいっとるな」
<芹香と免許>  ギャラ様
こんな試験だったら、他のリーフキャラにも引っかかる奴がいそうだな。
>第三部もそろそろ本格化、といったところでしょうか?
 はい。とりあえず次の話で一人死に(?)ます。お楽しみに。見たら多分怒ると思いますが。
<答え:三十路>  紫炎様
MMR…なんかあのめちゃめちゃな理論が面白かったんですが
…アレ真面目に受け取る読者っていたんでしょうか?
だってピラミッドは地球を守るバリヤーなんですよ!すげぇ!(笑)
あの最終回も、なんというか、話題になったなぁ…俺の周りで。感想じゃないですね。スイマセン。
<蒼い魔王 紅い魔王>  M(匿名希望)様
…誰なんでしょう?気になって夜もグッスリさ!(ダメじゃん)
<緊急会議 外伝>  Ken-G様 
力水…飲んだ事ないなぁ。不味いの?
…ちなみに俺がこれまでで一番不味いと思った飲み物はド○ターペ○パーです。
でも友達は美味いって言ってたなあ。う〜ん、俺の舌がおかしいのか?(だから感想書けよ)
<鬼の死んだ日>  柄打様
ほぅ…カッコイイです。柳川の葛藤とかがとても丁寧に書きこまれていて…
ふぅ。タメになることばっかしだ!頑張れ柳川!(最早疲れがピークの為文章が意味不明)
<瑞穂の細腕乾燥機> MIO師しょ…様
MIO師匠のりーふ図書館唯一のシリーズものが復活ですね!
相変わらずのノリ!楽しいッス!!美しいッス!!
そういや…某所で言ってた痕の真面目な話は?
もしや…あの地蔵だったのかッ!?
> Get Free! Get Free! Get Free!!!
Behold the everything too much is your fences.
               in the world!!
ファイアーボンバーとかって、既にバーチャルアイドル化してるんじゃないか?
まあこの曲はハミングバードですけどね。VF−X2一面ムズ過ぎるんじゃないか?とか。

つっ疲れた…今日はここまで!こうしてみると後半の感想は支離滅裂な文章だなぁ。
持続力を向上させるのだ!!俺!