矢島は夕日を見ていた。 矢島には、それが酷く紅く染まっているように見えた。 運命って…残酷だ。 「どうした矢島?涙なんか流して」 橋本先輩が何時の間にか俺のすぐ側にいた。 涙…? 俺は先輩の言葉で、自分が涙を流している事に始めて気がついた。 俺…泣いてたのか…。 「よかったら、話してみろよ。矢島…ん? 見かけたような気もするが見かけないような気もする顔がいるな」 俺の横には、垣本もいた。 コイツはさっきから、俺と一緒に夕日を眺めていた。 「なんだなんだ、こいつも泣いてるのか?辛気臭いツラしやがってよぉ、話してみろって」 俺は一瞬躊躇したが、ゆっくりと口を開いた。 この先輩になら、全てを打ち明けてもいい…そう思ったから。 「実は…」 「実は?何だ言ってみろ」 そこから先は、正直言うのが辛かった。 運命と言う物は、あまりに残酷過ぎる。 「矢島…もういい!俺が代わりに言ってやる!」 垣本が頬を濡らしながら、俺をフォローしてくれようとしている。 俺は垣本の行為にいたく感動したが、ここで根性をみせなければ、俺はただの腑抜けになってしまう。 俺は少しはメインシナリオに関ったが、垣本にはそれがない。 メインシナリオに入らなかった奴に俺のセリフは奪わせない。 その思いが、俺に言葉を続けさせた。 「PS版の…トレカが…出ました…よね…」 先輩はちょっと意表をつかれたようで、一瞬驚いた顔をしたが、 「ああ…出たな。それがどうかしたか?」 何事も無かったかのように、言葉を続けた。 「俺のカードも用意されてたんですよ…」 「良かったじゃないか。嬉し泣きだったのか?」 「いえ…用意されてた事は確かに嬉しいッス…でも!」 「でも…何だ?」 俺は言葉にならない声で、続ける。 「森本美紀…宮沢雅美…小村明美…鈴木寛子…誰だか分かります!?」 「…いや…知らん」 「俺らと…俺らと一緒のサブキャラ軍団です!何で奴らに…なんで女は優遇されるんだ!(答・ギャルゲーだから) 同じサブキャラなのに!男女差別だ!くそぉぉ!なんで男は名前つけてもらえないんだぁぁぁ!!!」 声にならない声で、俺は最後まで言いきった。 「そうだ!そうだよ!なんでなんだぁぁ!!」 隣で垣本も泣いていた。男2匹が泣いた日だ。(意味不明) しかし忘れてはならない。そのとき電柱の影に、「例外だっているのよ…」と、 しくしくとすすり泣く3人がいることを。委員長をいじめたし返しが、名前を与えられない、という 最悪のカタチで返されたわけだ。と、別段関係の無い人達はこれくらいにして、 橋本の手が、崩れ落ち泣いている矢島の肩に置かれた。 矢島は、その行為を、橋本先輩が慰めてくれるものだ、と感じ顔を上げた。その瞬間… ぐしゃ。 「ぐはっ!!」 顔面に強烈な一撃を食らい、矢島はまた地面に崩れ落ちた。 仰向けに倒れた矢島の上から影が射した。橋本だ。 「ふざけんなお前…話する奴間違えてんじゃねぇのか…!?」 明らかに橋本が怒っていると言う事は、口調から明らかに推測できる。 彼が怒るのは当然だ。 彼はPS版に出してさえもらえず、仕方が無いのでラジオ番組にせっせとハガキを送りつづけて、 自らの悲劇性をアピールしようとまでした人物である。 低くくぐもった声で、橋本が言った。 「死ぬか?お前…」 明らかに橋本に隙が出来たのがその時であった。 そして、バスケで勘を鍛えられている矢島がそれを見逃すわけは無かった。 「それは…お前だよ先輩さんよ!」 しかし矢島は素早く立ちあがり、余裕ブッコいてる橋本にカウンターをかましてやった。 「がはっ…俺が避けられなかっただと…何故だ…。」 そう言うと、今度は橋本が膝から地面に崩れ落ち、そのまま起き上がる事は無かった。 矢島は物言わぬ橋本に向かい、こう言い放った。 「簡単な事…お前はPS版に出なかったばっかりに、ラジオ番組にハガキを送りつづけていたが為に、 自らの鍛錬を怠った…ただそれだけの事!」 なぜか矢島は、厳しい修行を行い、悟りを得たような者の口調だった。 そして矢島は橋本に背を向けると、夕日に向かい、一人歩いて行った。 さらにいうと垣本は、例の3人組と『名前が無い記念お茶会』を開いていた。 矢島○○←好きな名前をお入れ下さい 男一匹、今日も行く。 「フッ…夕日が眩しいぜ。」 完 ==================================================== トレカ1BOX買ったけど、レアカード出る確率が低すぎるような… 俺はあまりトレカ買わないから知らんけど、みんなこんなもんなんですかねぇ? だって1BOX買っただけでノーマルカードは全部そろっちまいやがったし… さあ!レアカードの為に続けるか! それとも終わりにするか! 決めろ、シャア(違う)!! …終わりにします。(金ないから) そういや、これも矢島いじめか?違う…よね? あ、そうそう。ちなみに名前がついた人達がPS版で誰だったかと言うと、 左から森本さん、弓道部の先輩ズ、あかりに肩貸してた人です。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 久々野様、夜蘭様、感想有難う御座います。まだいらっしゃったらスイマセン。