To Heart WDASH7(3)  投稿者:闘魂秋吉


前回までのあらすじというもの。
浩之「さて…敵のど真中であらすじをやる事は無いのでは?」
綾香「仕方ないでしょ、前回そういう所で終わったんだから」
レミィ「コレがアラスジ?」
浩之「う〜ん、そうかも?」
綾香「そうね。それでいいか」
レミィ「そうそう、難しく考えないほうがイイヨ」


第3話 フォールドアタック!


「シティがそんなに離れてなくて助かりましたねぇ」
「…ああ、そうだな。」
そう言った会話を長瀬親子がした後、ヴァルキリー隊が発進して行く。
と、そのときオペレーター5人組(増えた)の一人、岡田が悲鳴ともとれる声で叫んだ。
「敵艦4!シティの影に隠れていました!」
「いて当たり前だ!シティは敵の手の中にあるんだからなッ!!
ヴァルキリー隊の展開を急がせんかッ!!」
「了解!!」


「おい!管制室はどっちだ!」
浩之が綾香に聞いた。
が、綾香も人間。
「…忘れた」
マップも持っていない状態で、狭くは無いフォールド施設の全構造を把握しろと言うのは
土台無理な注文であった。
「…マジかよ!!くそぉぉ…どうする!?」
方法は二つ。
3人で一緒に行動するか、二手に分かれて別々に探すか。
当然、安全なのは前者だが、いつフォールドするかも分からない彼&彼女らにとって、
この決断は重要な物となる。
が、浩之は、悩みもしなかった。
「綾香とレミィは二人で右!俺は左!反論は受け付けん!」
どうもこのSSのキャラクターは潔すぎるようで。
「ヒロユキ、一人でダイジョブ?」
「当たり前だろ!」
「逃げ足だけは天下一品だものねえ〜」
「俺を逃げ足だけの男と思うな!俺には必殺の超正拳突きがあるんだ!!」
−超正拳突き−
TH7世界の浩之の超必殺技らしいが、基本的に暴力するくらいだったら歌うので、
それを見た者は実際にはいない。消されていると言う噂もある。
              −志保ちゃん情報 20044年1月21日号より抜粋−
「んなわけねーだろ!」
「浩之、誰に突っ込んでるの?」
「いや…過去の記憶が…」
浩之は一瞬昔を思い出したらしい。
「そんな事ヨリ、早くしないと!」
浩之はそのレミィの言葉で、やっと我に返った。
「そうだそうだ。時間がねえかもしれないからな」
「全く…トリップしてたのはあんたでしょうが」
綾香のカウンター。口喧嘩でも強いのか?
「うるせー!とにかく早く行くぞ!気ィ付けろよ!二人とも!」
「私達より自分の心配したら?」
「ヒロユキ、怪我しちゃダメヨ」
「そんなつもりはねえよ!」


「ちぃぃぃ!!落とせねえのか!このクソが!!」
キギルは前回からキレっぱなし。いつか血管も切れるに違いない。
「おめえらみてえな無能な部下に頼った俺がバカだった!俺自ら出てやるよ!」
そう言い残しキギルは、どすどすと音を立てながらブリッジを出ていった。

「うおおおおっ!!」
ガンポッドが命中し、矢島は4機目を撃破した。
久し振りの出番で張り切っているのだろうか?
「橋本隊長!残りは僅かです!このまま押し切りましょう!!」
矢島はこのままの勢いで、残りの敵に突っ込もうとした。
が、それを橋本は止めた。
「馬鹿野郎!どんな伏兵が潜んでいるかも分からんのに、迂闊に突き進むんじゃない!」
橋本は矢島を叱った。
しかしそれは後輩を思いやる気持ちから出る物であって、けっしてキギルと同質の物ではない。
まああの二人の場合、それだけでは無い気もするが。
「…ハッ!失礼しました!橋本隊長!!」
いい信頼関係である。こういう舞台こそが戦果を挙げるのだ。
と、そのとき垣本から通信が入った。
切羽詰った声だった。
「T3よりT1,T2へ!敵一機が急速接近中!味方は既に2機やられました!!」
「なにぃぃ!…何処だっ!!」
そのとき、火線が走った。
それは矢島機の左足に着弾し、轟音をあげ、砕け散った。
「くっ…上だとっ!!」
矢島は今だ姿の見えない敵に対し、焦りを覚えた。
今度は左から弾がきて、左腕を粉砕した。
「ぐぅぅぅっ!!」
矢島は、戦場に立ってから始めて、恐怖という感情を味わった。
そして、矢島がその敵機を始めて確認したとき、その銃口は確実にコクピットに向けられていた。
(俺は…死ぬのか!?)
そんな感情が、矢島の意識を駆け巡る。
しかし、何か反撃をするにも、あまりにも時間が無さ過ぎた。
(…ここまでか。)
矢島が覚悟を決めたのと、敵機の銃口が火を吹こうというのはほぼ同時だった。
しかし。
「さぁぁぁぁぁせるかぁぁぁぁ!!!!」
橋本が、その敵機にタックルをかまして、その銃口からは、見当違いの方向に弾が飛んで行った。
「今だ!撃て矢島ぁぁ!!」
「了解!!」
そういうと矢島は敵機目掛けて一心不乱にガンポッドを連射した。
しかしその敵は、その弾すべてを難なくよけた。
「な…何だと!?」
矢島と橋本は、ただ呆然とするほか無かった。
「…甘い…甘いぜっ!」
キギルは勝利を確信した。
だがそのときキギルの気を削ぐように通信が入った。
「なんだ!短く伝えろ!俺は今戦闘中なんだ!!」
『至急ご帰還下さい。間も無くフォールドします。』
「ちっ…分かったよ!」
本拠地までシティごとフォールドさせる気の彼らにとって、
シティそのもののフォールドシステムでは、何回フォールドが必要かも分からない。
フォールドを複数で行うと、その囲みの中にある物も一緒にフォールドさせることができる。
そこで彼らは、自分たちの艦でシティを囲み、
シティのフォールドシステムも合わせて一気に本拠地までフォールドさせようとしていたのだ。

「奴ら、またフォールドする気か!!」
セバスチャンが吼えた。
「この艦を敵艦にぶつけてやれぇぃぃ!!」
「え?ちょ、ちょっとマジですか!?」
オペレーター(吉井)が反論するが、
「悩んでいる暇は無い!いいから行けっ!!」
あっさりとその反論は叩き潰された。


「…どうやらこっちが外れか」
浩之は、そう呟いて、ため息をついた。
もぬけの殻となったそこは、フォールド発生器そのものの場所であった。
高いところに窓が見えるが、きっとそこが管制室だろう。
と、そこへ。
『浩之!フォールドシステムがもう動き出しているわ!』
管制室の綾香から、スピーカーで綾香が話していた。
「な、何ぃぃ!?」
見ればフォールド発生器は、紫色の光を放っていた。
「止めかたはわかんねえのか?」
『分かるわけ無いでしょ!!後1分しかないわ!』
(どうする…ッ!?)
浩之は一瞬躊躇し、フォールド発生器の前に立った。
『ちょちょっと浩之、何するつもり!?』
浩之は綾香の問いには答えず、構えた。
そう、その構えは…


「フォールドまで、あと10.9.8.7…」
オペレーターの声の響く敵艦の中で、キギルがにやり、と笑った。
しかし、その笑みは一瞬にして凍りつく事となる。

「総員、対ショック防御!ぶちかませぇぇぇい!」
バトナナ艦は、それが掛け声のように、キギルの艦にその船体をぶつけた。
フォールドのフォーメーションが崩れた。


「こういう我が侭な機械にゃあ、コレが一番効くんだよぉぉぉッ!!
超!正・拳・突きィィィィ!!!!」
浩之の拳が、フォールド発生器に突き刺さる。
そして、一瞬の沈黙の後、フォールド発生器は爆炎を上げた。
しかし、それは既に遅かった
敵艦、そしてシティは、またもフォールドの光の中に消えた。
しかし…浩之の正拳突き、バトナナ艦の特攻。
それによって、それぞれのフォールド座標が狂った。
つまり、シティは敵の支配化に置かれる心配は暫くは無くなったが、
孤立無援となってしまった、と言うわけだ。
シティの放浪は続く…話も続く。

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次回予告(いつまでここのネタ持つか心配…なGガン○ム編)
さて皆さん、シティは何とか敵の手に渡ることを逃れました。
しかし潜入部隊がまだシティ内に潜み、淡々とチャンスを狙っているのです!
浩之は果たしてそれを防ぐ事が出来るのでしょうか?
To Heart WDASH7、次回『戦え!女市長芹香!?(仮)』に、
レェディィィ…ゴォォォォッ!!
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感想あ〜んどレス。
なんか書きたい事をNTTT様が殆ど書いてた…
<放課後> NTTT様
委員長と雅史、という妙なマッチがこれまた妙にハマッていますね。
いい作品です。
厳しい感想ありがとう御座いました。
誉められるだけじゃ、いつかは堕落してしまいますからね。
<『月は、太陽に』第30話> ARM様
ついにクライマックスですか。
なんかフェイントかけられたような気がしますが(笑)、最終章、楽しみにしてます。
<彼方> 皇 日輪様
気になります。他のSSなんかいいからコレの次を書いてください。
それ程気になります。いやマジで。
<パイロット(長瀬源五郎視点)> ざりがに様
緊迫感がでていて非情にいいです。戦争とか、戦場ってえのはこうあるべきだ!
俺なんかがかなうところじゃねえや!とか思ってたら… 
>闘魂秋吉氏のSSに触発されただけですから。
 …そんな立派な作品、俺書いたかなぁ?
<みどりいろのいきもの>MIO様
NTTTさんの通り、今回は何だか変化球。まあもともとどんなのでも書けますもんね。
ところで師匠、例の『痕』のヤツはいつ?
夜蘭様
 ありがとう御座います。ホントに励みになりますね、感想ってえのは。