To Haert WDASH7(2)  投稿者:闘魂秋吉


前回までのあらすじ
あかり「前回まで、っていっても第3部はまだ一話しかやってないよね?」
浩之「この作者、頭どうかしちまったんじゃねえのか?」
綾香「そういえば前回は私の出番なかったわよね。珍しいわ〜」
レミィ「珍しいノ…?私なんかしょっちゅうヨ?さぁ、このままアヤカも、出番無し組へ
オイデヨ……」
矢島「そうですよ!来栖川綾香さん!こちらへどうぞ!!」
橋本「ほらほら、躊躇してないでこっちに来い」
垣本「待ってますよ〜」
葵「…何で私達もこっちに居るの?一応前回出番あったじゃない」
セリオ「…あんなの出番なんて言いません、只のチョイ役です」
マルチ「私なんか、ちょこっと戦ってただけです。話の本筋にも入れてもらえなかったんですよ…」
(まだまだ沢山居ます。)
一同「と、言うわけで、こっちにおいで!」
綾香「誰が行くかぁぁぁぁぁ!」
分からんぞ。


第2話 システム奪回計画


敵は去った。
だが…誰も、口を開こうとしない。
目の前で起こったそれは、間違い無く現実。
唖然とする者。
自分の無力さ故の悔しさに打ち震える者。
信じようとしない者。
状況を理解できない者。
それらの思いが重なって、敵の去った戦場には、奇妙な沈黙が続くのであった。


「…どうしたんだ?」
浩之もまた、シティの中に留まっていた。
あかりの引越し準備中だった為、出撃できなかったのである。
これは、幸運と言うべきだろうか。
「浩之ちゃん…様子が変だよ?」
「ああ…分かってる」
あかりも、この異変に気づいている。いや、気づかないわけが無い。
一瞬にしてシティは戦場を離れ、孤立してしまったのだから。
そして、そこから導き出される結論…
シティは、敵の手に落ちたと言う事。
「浩之、どうなってんのコレ?」
「どうしてしまったんでショウ…?」
浩之が、知るはずも無かった。
だが、今の浩之に思いつく事…
それは、フォールド施設を奪回しなければならない、という事だ。


「……チッ!?どうした、予定距離の半分も移動してねえぞ!」
フォールドシステムを見、他の部下を見、指揮官が叱咤する。
それは激励する、といった意味合いではなく、ただ怒りのみの感情であった。
その指揮官は、とても戦争をやるような体格ではなく、むしろ普通の人より細めだと言える。
だがその優男風の男からは、何か近寄りがたいオーラが発せられていて、
部下を精神的に圧迫しているのは、目に見えて想像できる事であった。
「…しかしキギル指令、このフォールドシステムではこの距離が限界です。
再フォールドまでのチャージ時間は6時間程必要です」
それは当然だ。元々シティのみでフォールドすることなどある筈も無く、
シティのフォールドシステムがそれ程高機能ではない事は容易に想像できる。
しかし、その指揮官…キギルは、そんな部下の話など聞こうともしない。
「俺はてめえらの言い分け聞くためにここに居るんじゃねえんだぞ!
ぶっ殺されたくなかったらとっとと準備しろ!!4時間で済ませろ!
いいな!!」
「…了解。キギル指令、どちらへ?」
「スピリチアを採取してくる。さぼるんじゃねえぞ!てめえら!!」
最後にそう一喝して、キギルはフォールドシステムの管制室を後にした。


キュイイイイイイン!
「ぐわあああああああああ!!」
どさり、と音を立てて、青年が前のめりに崩れ落ちた。
見ればその周辺には、ぽつぽつと同じように人が倒れている。
その人々は、死んでいるわけではなかったが、ピクリとも動かない。
まるで、動くのも面倒臭い、と言った感じに。
そして、その屍…いや、屍同様になった人々の中に一人、立っている男がいた。
「…結構集まったな。こんだけありゃあ、ジビルを…」
そう呟いて、キギルはその場を後にしようとした。
かさり。
「!!!!」
キギルは草むらの中に人の気配を感じ、そこにビーム…いや、レーザーだろうか?
実態は分からないが、とにかくそのような物を放射した。
そしてそれは、草むらから飛び出し、逃げようとする男に命中した。
「うわぁぁぁっ!!!」
そう叫んで、その男は草むらの中に倒れこんだ。
そのビームこそが、スピリチアを吸収するものだったのだ。


「俺は行くぜ」
浩之は集まった3人の前で、そう答えた。
「……どうしても行くの?浩之ちゃん」
あかりが、浩之に聞いた。
あかりはこの状態になった浩之には何を言っても無駄だと分かっているのであるが。
「止めても無駄だあかり。俺は行く…お前らも行くよな?綾香、レミィ」
「当然。久し振りに腕が振るえるわ〜」
「フフフ…楽しみデス」
この二人がこういう計画に乗ってこないわけが無い。
「じゃ、ちょいと行ってくるから、おとなしく留守番してろよ、あかり。」
「……うん…」
やはりまだあかりは納得できてはいないが、
ここで自分が無理やりついていってどうなるかを予測できないほど子供ではない。
それに、彼女は浩之を信頼できているのだ。
だから、納得できなかったりする事があっても、それが原因で浩之が死んだりするとは思ってはいない。
まあ、心配していない、と言ったら嘘になるが。
「あ、そうだ。」
玄関から出て行こうとした浩之がふと、あかりの方に向き直った。
「腹減ると思うから、メシ作っといてくれよ。綾香とレミィも食ってくよな?」
「Oh!アリガタクいただきマス!」
「そうね、二人の邪魔しちゃ悪いけど、たまにはご馳走になろうかしら」
浩之はまんざらでもない、と言った顔で、
「なんだよ…二人の邪魔ってよ。まあとにかく食うんだろ?
…というわけであかり、お前の分も含めて4人分、美味いメシ作っといてくれよ」
あかりは是までの心配や納得できない部分を振りきるように、
「うん。わかった」
と、とびきりの笑顔で答えたのであった。


「さて…問題はどうやって潜入するかだが…」
明らかにこのシティの人間ではない人間二人が、
フォールド施設の入り口を護衛していた。
「どうやってもこうやっても…中央突破でイイじゃない」
「アヤカの意見に賛成ネ!」
このメンバーならこうなるよな…
我ながら分かりきった事を聞いた、と浩之は思った。


中央管制室に警報が響いたのはその11秒後の事であった。
「キギル指令!敵が3人突入してきました!」
「なんだと!警備は何をやっていた!!」
「そ…それが…」
モニターには、あっさりと伸びている警備員の姿が写っていた。


「さて…とりあえず、左と右の分かれ道に辿り着いたわけだが」
浩之が説明的なセリフを吐いた。
「左よ」
綾香が間髪入れずに答えた。
まるで道を知っているかのような綾香の答えに二人は困惑したが、
浩之はやがてその理由がわかったらしく、顔を上げた。
「せんぱ…芹香さんか」
「ピンポーン、当たり〜」
フォールドシステムは市の施設なので、
綾香は、芹香から施設のマップなどを聞き出せたというわけだ。
「ナルホド!綾香のオネーサン、市長だもんネ!」
「ま、そういうわけよ」
こうして3人は左の道に進んだ。


「何故だ!」
モニターの前では、キギルが驚愕の声をあげた。
「…あの3人の中に、この施設のマップを知っている物がいると思われます」
部下は意外に冷静だ。
「……チッ!ケルガーゾルンを1機出させて、奴らをぶち殺せ!」
キギルはもう完全にキレている。
「しかしそれではスピリチアが…」
部下が異論を唱えるが、キギルはそれを無視した。
「奴らを殺せ」
「……了解」


「さて…肝心のシステムがある部屋までどのくらいだ?」
「う〜んと…あ、そこ右」
寄ってくる敵兵を薙ぎ倒し、3人は進む。
「それにしても、思ってたよりもラクネ。これじゃ狩りがいがないヨ」
「…それは、他のところで求めてくれ」
ずしん…
「!?何だ?」
浩之が身構えた。
ずしん…ずしん…
その地響きから、相手は巨大だという事は容易に想像できた。
この施設は、マイクローン化していないぜんとらーでぃにも通れるように、廊下など、
全てに置いて天井が高い。ヴァルキリー一台分なら楽々通れるくらいだ。
「チッ…やっぱりか」
現れたのは、キギル達が『ケルガーゾルン』と呼んでいた、敵側のロボットであった。
巨大な銃口が、浩之のほうを向く。
しかし、浩之は動じない。
物怖じしない浩之の憤然たる態度に、中のパイロットが一瞬ひるんだ。
そこを逃す3人では…無かった。


10秒後、そこには倒れている一人のパイロットが倒れているだけであった。


「ちっくしょうめ!あんの役立たずがッ!!」
遂にキギルの怒りは頂点に達したらしい。
そこへ、さらにヤな知らせが。
「敵艦、フォールドアウトしてきました!!」
「なんだとぉぉぉぉ!!」
キギルは予測しなかったバトナナ艦の出現に焦った。
しかし、こういう時の決断は早い。
「俺は自分の艦に戻ってあの戦艦を迎え撃つ!てめえはフォールドの座標軸を調整してから来い!!」
「…はっ。あと7分でフォールド準備が完了します!」
それだけ言葉を交わすと、キギルは倒れた兵の所へと移動し目を覚まさせ、
自分の艦へと導いた。捕虜になられては困るからである。


===============================================
次回予告(ガン○ムW風)
ちゃ〜ら〜ららら〜ら、ちゃ〜ら〜ららら〜ら♪
何とか合流しようとするバトナナ艦の前に、キギルが立ち塞がった。
彼はこの戦争で何を目指し、何を目論んでいるのだろうか。
そして敵の正体とは、一体いつになったら分かるのか。
不安が募り、それは浩之に強攻策を強いる事になる!
次回、To Heart WDASH7 第3話『強攻策(仮)』 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
レミィが英語を全然使わないのは、共通語を使っているからなんだ!
決して作者が英語ダメダメ君だから、という訳ではない!
本当だっっ!!
多分信じてはもらえんだろう。だって嘘だし…ハッ!!聞いてた!?

なんか最近こっちから感想書く事って無いよな…次回はダーッ、と書くつもりです!
あくまでも、『つもり』…