To Heart DASH7 第5話  投稿者:闘魂秋吉


そうか…俺は、間違ってたな。
敵に聞かせたいから唄うんじゃない。
俺が……
俺が歌いたいから唄うんじゃねえか!

第5話 唄、そして再会

「よう」
浩之は、女に声をかけた。
「?」
女は振り向いて、
「何だ?気持ちよく唄っていたのに」
と、ちょっと不満気な顔だ。
浩之は苦笑して、
「俺も混ぜてくれよ、姉ちゃんよ」
と、彼持ち前のチンピラ的口調で語りかけた。
女は、押し黙り…
「勝手にしろ」
それを聞いた浩之は、また苦笑。
「勝手にさせてもらうぜ、で、どんな曲なんだ?」
女はさも面倒臭そうに、
「楽譜見せてやる、ついて来い」
と、地響きを鳴らしながら歩き出した。
一応、まだ雨は降っているし、風も強い。
浩之は見失わないよう、慎重について行った。

やがて、明かりの灯った洞窟が見えた。
「?何だ、あの洞窟…」
浩之は誰に聞くでもなく、独り言を言っただけのつもりだったのだが、
「私の家だ」
女は、自分への質問と受け取って、そう答えた。
「…あ」
「何だ?」
浩之は、いまさら重要な事に気がついた。
「…あんた、名前は?」
「……名前か?そんなものを知ってどうなる?…フッ、まさか私を口説くワケじゃあるまい?」
「いや、わかんねえぜぇ〜?」
「…バカが」
「バカで結構」
「……エレア」
「ん?」
「エレアだ。私の名前。」
浩之は、ワリと素直なその女…エレアに向かって…
「いい名前じゃねえか。いや、いいのは名前だけじゃねえな…顔も…体も」
「…本当にバカだな……」
セクハラ王浩之は、もう口説く気満々(?)であった。

その頃…
とりあえずエアギリギリの所でパーキングに機体を止めた3人は…
「何か南天の方から気分が悪くなる感触が…」
「あら、あかりあなたも?偶然ねぇ〜、私も何か不快感が…」
「Oh!二人ともワタシと一緒でしたか?ワタシもデス!」
「「「…行ってみましょうか…」」」
…女のカンとは、怖いものである。

「フンフンフンフフ〜ン♪」
浩之は、譜面の音符を口ずさんでいた。
「……どうだ?」
エレアが聞いてきた。曲の感想を求めているのだろう。
「…いいじゃん。コレ。山相手に唄うのは勿体無いぜ」
「…そうか?そう言われると…照れるな」
早くもエレアは浩之の毒牙(?)に掛かってしまうのか?
「……よぉし、じゃ唄ってみるか」
「…ああ。唄うか。…ただし、あとでお前の唄も聞かせてもらおうか」
「ん?やっぱ分かった?俺も唄歌いだってこと」
「こんな山奥をギター持ってうろついてるのに違う、って言うほうが難しいと思うが?」
「…全くだな。」

その頃ぉぉ!!
「あのさ綾香、私この不快感があの惑星から来てると思うんだけど…」
「あらら、やっぱりあかりもそう思う?偶然って重なるものね」
「お二人サンも、そう思いマシタカ?」
「「「んじゃ、あそこの惑星に行きますか」」」
おお、怖い怖い。

山奥では既に二人のデュエットショーが始まっていた。
熱く歌う浩之。
やはり熱く歌うエレア。
二人の唄は、いつ果てるとも無く続いた。
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「…ふぅ〜、こんな歌ったのも久し振りだぜ」
「私もだな」
浩之は、思い出したように立って、
「さて、俺はそろそろ行くか……」
「……行くのか?」
「…ああ。俺を待ってる奴らが居る。」
「…そうか…。いい男なのになぁ、いつまでも私の側に置いておきたいところだったんだが…」
「はは、冗談はよせよ」
「冗談では…無いよ」
浩之は、ちょっと驚いた。
そして…
「…わかった。」
「ここに居てくれるのか?」
エレアの紫がかった、ぜんとらーでぃの女性、めるとらんでぃ特有の瞳…が輝いた。
「お前も来ればいいじゃねえか。お前いい女なんだしよ、山奥に閉じこもるにゃ勿体無いぜ」
エレアは、成る程、そういう考え方もあるんだなと思い、思わず笑った。
「ふっ…ぷくくっ。」
「おいおい、何で笑うんだよ」
「いや、何でも無い。…分かったよ。今すぐ…は無理だが、いつか必ず行くよ。待ってな。」
「おう。トゥハート7で待ってるぜ!」
…流石浩之。また一人口説き落とした。


帰り際、浩之は見知った影を見た。
「…何やってんだ?お前ら……」
「あ、浩之!?」
最初にその声に反応したのは綾香。
「浩之ちゃん!」
「ヒロユキ!会いたかったネ!」
続いてあかり、レミィ。
「いやあね、あかりが浩之が帰ってこないから心配になって探しにいこうってね?」
「綾香…私そんなこと言ってないよ!」
「似たような事は言ってたでしょ?それより浩之…」
「ん?なんだ?」
「ここでまさか、新しい女とか作ってなかったでしょうね?」



                                 To Heart DASH7 完
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闘魂「いやっほー!第2部完結ゥゥ!!」
影「…何喜んでんだか…」
闘魂「さて、今回はオリキャラのエレア。名前の由来について…」
影「ほうほう?」
闘魂「…な〜んも考えてなかったんだな〜、これが。ボ〜ッとしてたら何となく浮かんだ…
ってヤツよ。」
影「もう少し真面目に考えろよ…」
闘魂「もう遅いと思うが…?ちなみに第3部の予告をチラリと。
舞台は再びTH7に戻り、遂にメインキャラ初の戦死者が出るか…?」
影「おい、まさか…」
闘魂「安心しろ、矢島じゃない。」
影「…じゃ誰?っていうか矢島はメインキャラじゃねえな。」
闘魂「To Heart7第3部(仮)お楽しみに〜」
影「楽しみにしてる人いるのかなぁ…」