To Heart DASH7 第2話  投稿者:闘魂秋吉


浩之がTH7を離れた。
その話は、綾香を通じてすぐにあかりとレミィの知る所となった。
「浩之ちゃんが…?」
「ホント?アヤカ?」
レミィの台詞は、えらく久し振りの気がした。
まあその事については、あまり深く追求しないでいただきたい。
「……ええ、本当よ。浩之はこのTH7を離れて、旅に出る、と言ったわ。」
「浩之ちゃんは、旅に出る……って言ったのね?綾香。」
「ええ…」
あかりは暫し考えて、
「じゃ、浩之ちゃんが戻ってくるのを待とうか。」
と言った。
綾香とレミィは驚いた。
あかりの事だから、当然追いかけていく事だろうと思ったのだ。
「追いかけなくていいの?アカリ……」
レミィが思った事を素直に口に出した。
「ん?何で?浩之ちゃんは旅に出る、って言ったんでしょ?
旅ってものは、戻ってくるから旅なのよ。だから浩之ちゃんが戻ってくるまで、
ここで待ちましょう。」
「ほぉ〜」
「へぇ〜」
これには二人とも、感心した。

第2話 旅路の果て

「……さて、これからどうするかな…」
浩之はダイナマイトヴァルキリーの中で考えた。
口にも出したように、これからの事。
そして、自分が唄うワケを。
(バンド始めたのは、そうだな…高2のときかな?何で始めたんだっけ…
思い出せねえ…)
思い出せないのは、それ程今の浩之にとって唄う事が自然な事だった、
唄うからこそ俺だ、という意識の表われでもあった。
だが、今の浩之は、唄う理由を見失っていた。
(あの時…俺は唄を聞かせようともせず…撃った。俺の『唄う理由』ってのは、
そんなチャチなものだったのか?…いや、そもそも俺は何で戦場に出て唄ったんだ?
敵に歌を聞かせる為…なんで敵に聞かせようと思ったんだ?
なら、何で俺は撃ったんだ…?
……わからねえ…)
浩之は、出口の見えない悩みに、翻弄されていた。

「ねえ、あかり?」
「ん?何、綾香?」
綾香があかりに話しかけた。
それは、彼女の本心を確かめる為。
さっきはつい感心してしまったが、
彼女がこのままおとなしく待っているだけとは思えない。
なぜなら、彼女はあくまでも、浩之の『犬』なのだから。
「……あかり、何日待つのがが限界?」
ストレートに聞いてみる。
これが、一番答えやすいだろうと思ったからだ。
案の定、あかりは、
「う〜ん…3日…かな?」
と、クスリと笑い、答えた。

浩之は、ある惑星に降り立っていた。
ヴァルキリーを宇宙ステーションのパーキングに置いて、
銀河鉄道(999にあらず)を乗り継ぎ2日。
まだ開発途上にあるであろうこの田舎と呼ぶに相応しいこの惑星。
すぐに乗り継いで、浩之は他の惑星に行っても良かった。
だが、このひなびた雰囲気…だろうか。
それに、惹かれた。
所持金は殆ど持ち出していなかった上、鉄道代で殆ど吸われた。
多分今戻ったら、パーキング代で破産だ。
だが、浩之はこの惑星に暫く滞在する気であった。
この星の名は、惑星ゾロ。
浩之が、旅路の果てに選んだ惑星。
                                      (続く)
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次回予告
レミィ「ヒロユキ〜、どこにいるのデスカ〜!?」
浩之「ふふふ…探せるモンなら探してみろ!!」
レミィ「ここにいますネ」
浩之「…まぁ…次回予告だしな。特別に出てきてやったぞ」
レミィ「デモ…予告になってないヨ?」
浩之「そこらへんはあんまし追及すんな」


                次回 『巨人の山』
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闘魂「ん〜、短いな」
影「…あんたの貧困な想像力の賜物では?」
闘魂「ん〜、その通り」
影「……認めたか」
闘魂「ちなみに〜、この第2部は〜、あと3〜4回で終わります〜
っていうかさぁ、元ネタバレバレ〜というかそのまんま?」
影「はぁ〜、分かってて書くかねぇ、この人は…」
闘魂「皆の衆、予定が全5部に縮まった!」
影「唐突だな。でも皆喜ぶぞ〜。」
闘魂「はぁ…このSS,図書館の場所塞ぎになってるんじゃないか…?」
影「多分そうだと思うぞ?」